【歴史を探求してみよう♪】江戸幕府はどうして滅んだ?『中学校の歴史が1冊でしっかりわかる本』 #Z世代Pick
こんにちは。Z世代ブックピッカー・lunaです。
みなさんは歴史の授業どれだけ覚えていますか?
「覚えることが多くて嫌いだったけど、今なら歴史もおもしろいかも」という方も多いのではないでしょうか?
代々木ゼミナールで日本史の講師をしている重野 陽二郎氏は、歴史を学ぶことの意義をこう述べています。
歴史は、人々が暮らしてきたあゆみであり、行動の“あしあと”です。昔の人々が書き残した書物などを手がかりとして、それらをじっくりと読み解いていくのが、歴史という学問のおもしろいところです。
文明の発展、大衆に受け入れられてきた文化、国と国とのつながりなど、過去に起こった出来事は、私たちにいろいろなことを教えてくれます。歴史に学び、歴史を知ることで、未来を豊かにすることもできるのです。
そこで今回は重野 陽二郎氏の著書、『中学校の歴史が1冊でしっかりわかる本』より一部抜粋して、歴史の面白さをお届けしたいと思います!
※本記事は重野 陽二郎著『改訂版 中学校の歴史が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)より一部抜粋し、再編集したものです。
江戸幕府はどうして滅んだの?
1.江戸幕府の内部でどんな対立があったの?
幕府が条約を結んだことで、強い危機感が生まれました。国内では、薩摩など力を持った藩(これを雄藩と呼びます)は、危機を乗り切るために有力な大名で政権をつくり、世の中の意見を広く取り入れようと考え、将軍の後継に水戸藩出身の徳川(一橋)慶喜を迎えようとします。この勢力は一橋派と呼ばれました。
しかし、大老の井伊直弼は紀伊藩の徳川慶福を将軍におし、慶福は家茂と名前を変えて将軍に就任しました。そして、一橋派の大名やその家臣を処罰しました。これを安政の大獄と呼びます。しかし、井伊が天皇の許可なく通商条約を結び、安政の大獄で公家や民間の志士も含め多くの人々を処罰したことで、幕府に対する非難の声が急速に高まってきたのでした。
2.尊王攘夷運動ってどんな運動?
幕府が外国の圧力に負けて朝廷の許可を得ずに通商条約を結び、鎖国をやめて開国したことで、国内では天皇を尊ぶ尊王論が高まってきました。そして同時に、外国勢力を打ち払えという攘夷論も高まり、2つが結びついて尊王攘夷運動へと発展したのです。
そんななか、1860年に藩を抜けた水戸と薩摩の志士たちが、安政の大獄の処罰に怒って井伊を暗殺する事件が起こりました(桜田門外の変)。この事件が起こったことで、人々の間には朝廷を政治の中心にして、外国人を追放しようという尊王攘夷運動が広がっていったのです。そこで、幕府は、孝明天皇の妹和宮を14代将軍の徳川家茂の妻に迎え、朝廷(公家)と幕府(武家)で協力し合う「公武合体」を進めますが、長州藩を中心とする尊王攘夷運動がますます激しくなり、外国人の殺傷事件なども相次ぎました。薩摩藩もイギリス商人たちを殺す事件(生麦事件)を起こしたため、イギリス艦隊に鹿児島を砲撃されてしまいました(薩英戦争)。
3.薩長同盟って?どうして幕府はなくなったの?
尊王攘夷運動の中心にいる長州藩は、孝明天皇が攘夷を唱えていることで幕府に攘夷を迫り、1863年に関門海峡を通過する外国船に砲撃し、イギリスをはじめとする四国連合艦隊に攻撃されて損害を受け、攘夷が不可能であることに気づきます。その後は京都に戻り幕府を倒そうとする倒幕を計画するようになったのです。
攘夷が困難であることを悟った薩摩藩と長州藩は接近するようになり、土佐藩出身の坂本龍馬らの仲立ちで薩長同盟が結ばれ、倒幕を目指すようになったのです。こうした情勢のなか、将軍徳川慶喜は、天皇のもとで大名の会議を開き、自分は議長として実権を持ち続けようと考え、土佐藩からの提案で政権を朝廷に返上する大政奉還を行ったのです。
■実際に読んでみた感想
この本は、まだ歴史を学んだことがない人やこれから学ぶ人におすすめしたい一冊です。見開き1ページで1つのトピック※(下記イメージ参照)について書かれている構成になっています。扱っている内容は、中学校で習う歴史の初歩的なもので、視覚的に覚えられるように関連したイラストや人物の肖像画が付いています。トピックの最初には、そのトピックの流れを大づかみするイラストがあります。これによって、文全体を読まなくても大まかな流れを理解することができます。
また、上の方に書かれている年表で、一目でどの時代に起こった出来事かということがわかります。そのため、自分の苦手なところなどやりたい単元から読んでいっても問題なく時代が把握できます。最後に「コレだけはおさえておこう!」という確認問題で自分の理解度を単元ごとに確認できるコーナーや、内容が簡単だと感じた人のための補足情報が書かれている「ひとことポイント!」を活用することで、より深く理解できるのかなと思います。(luna)
※見開き1ページ1トピック
改訂版 中学校の歴史が1冊でしっかりわかる本
定価 : 1,375円(税込)
判型 : B5判
体裁 : 並製
頁数 : 152頁
ISBN : 978-4-7612-3038-8
発行日 : 2021年5月19日
■著者情報
重野 陽二郎( しげの・ようじろう)
◉─代々木ゼミナール日本史講師。神奈川県厚木市出身。
◉─大阪市立大学文学部卒業。大学卒業後より大学受験予備校の講師を務め、2001年から代々木
ゼミナールの講師となる。「日本史論述」「ハイレベル日本史問題演習」「センター試験日本史」「高校日本史」など、代ゼミで開講している日本史講座をすべて担当し、あらゆるレベルの受講生から絶大な支持を得る。
◉─講習会では、一部講師しか開講が認められていないオリジナル単科講座(「重野陽二郎の日
本史」)も担当。現在は本部校(東京・渋谷区)・大阪南校・福岡校に出講し、「詳説日本史講義」「標準日本史問題演習」が全国の校舎・サテライン予備校に映像配信されるなど、全国区の講師として活躍中。
◉─文学部日本史学科で学んだ視点から、史料をもとに歴史をさまざまな角度より俯瞰する講義
を展開する一方、歴史の“語り部”としてストーリーを生き生きと語るその授業は、生徒から「わ
かりやすくておもしろい」「歴史なのに楽しい」「歴史の本質がわかった」との声多数。日本史学科に進学し、高校の日本史教員になる受講生も多い。
◉─著書に、累計15万部のベストセラー『改訂第2版 センター試験 日本史Bの点数が面白いほど
とれる本』をはじめ、『重野式スーパーシート 日本史Bの必勝講義』『センター試験 日本史Bの点数が面白いほどとれる 超重要問題の解き方』『大学入試 日本史B論述問題が面白いほど解ける本』『センター試験 ネライ撃ちの日本史B』(いずれもKADOKAWA)などがある。