「配達時間、19時以降でいい?」…|プロライターがエッセイにこめた ”ほっとするもの”
みなさん、11月も残りわずかですね。どんな11月になりましたか?寒くなって、布団が恋しくなる季節ですね~
エッセイコンテスト、11月のキーワードは「ほっとするもの」!ぜひあなたにとっての「ほっとするもの」を教えてください!
そして、今日はいつも協力をしていただいているプロのライター、田中青紗さんから、”ほっとするもの”を表現したエッセイをいただきました~
エッセイを応募してみたいと思っても、中々書けないそこのあなた!田中さんのエッセイを読んでみて、何かヒントを得られるかもしれません。ぜひ参考してみてください!
『段ボール箱の内側には愛』/著者:田中青紗 さん
952文字/3分かからないくらいで読み終わります。
「配達時間、19時以降でいい?」
姉からのLINEに「OK」のスタンプを送る。先日北海道旅行に行ってきたそうで、お土産を送ってくれるらしい。何が届くのだろう。私の好きな焼き菓子だろうか。家族から荷物が届く知らせは、いつだって私の心を躍らせる。
インターホンとともに到着した段ボール箱は、想像よりも重かった。これはお土産の他に何か別のものも入っていると予想する。段ボール箱にまだ余裕があるときの、「できる限り詰めておきたい」という気持ちはよく分かる。
ベリベリとガムテープを剥がす。段ボール箱を開けた瞬間、お土産よりも先にいつものメッセージが飛び込んできて思わず笑ってしまった。
「こっちに帰ってくる日楽しみしてるね〜」
「今後〇〇行こう」
姉は誰かに荷物を送るときに、段ボール箱のフタの内側にメッセージを書く。昔は紙にメッセージを書いて入れてくれることが多かったけれど、最近ではもっぱら段ボール箱のフタの内側に何かを書いているのだ。姉はイラストを描くのが得意なので、メッセージの隣にイラストが描かれていることもある。
どのメッセージも簡単なものばかり。ふざけた内容のときもあって、爆笑してしまうことも多い。一つ年上の姉とは年齢が近いこともあり、今でも友達のようにふざけあってしまう。私を楽しませようとして企んでいると思うものの、なぜ段ボール箱の内側なのか。開けたときに驚くように書いてくれているのだろうか?とにかく、毎回毎回よく書いてくれているものだ。
シンプルで味気のない段ボール箱のはずなのに、開けるとフワッとその場が明るくなった。メッセージを読んで、賑やかな段ボール箱の中身を出して、そしてまたメッセージを読んで。気がついたら私の心は軽くなっている。ただの荷物なのに、毎回ホッとしてしまう不思議。家族からの“ただの荷物”が思い出になる瞬間である。
きっと世の中にはやらなくていいことが沢山あると思う。時短や効率を求めている現代で、手間をかけることは良いのか悪いのか分からないときがある。しかし、いつだって心をホッとさせてくれるのは誰かの“手間”なのかもしれない。
今度私が姉や実家に荷物を送るときは、うんと派手な段ボール箱にしてやろう。内側に何を書こうか、考えている時間も楽しい。
田中青紗(たなか あさ)
テレビ番組制作会社勤務からフリーライターへ転身。現在は、取材・コラム・短編小説を中心に執筆中。過去にマイナビ学生の窓口にて短編小説を掲載。
2021年には、LivingAnywhere Commons×新しい働き方LAB 創作コンテストの企画・運営・審査員を務める。
note:https://note.com/tanakaasa_life
キーワードからどんなお話が生まれるのか楽しみです。自由な発想で“大学生の今”を表現してください!
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あなたもエッセイを書いてみませんか? まだまだ間に合います!
文字数規定は500~1500文字なのでサッと書けちゃいますよ。
締切は11/30(水)23:59まで!
11月のキーワードは“ほっとするもの”
みなさんからのご応募、お待ちしております!
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田中さんによるエッセイの作り方のアドバイス記事もぜひ参考にしてください!