春休みに好きな人をデートに誘おうと思った。高校2年生が終わろうとしていた......|エッセイ企画「#Z世代の目線から」キーワード:勝負服
エッセイキーワード:勝負服
エッセイタイトル:『デート』/著者:ゆう さん
755文字/2分くらいで読み終わります。
春休みの直前、私の所属する合唱部は定期演奏会を開く予定だった。好きな人は同じ合唱部の卒業生で、きっと演奏会に来てくれるはずだから、その時にデートに誘おうと思っていた。春休み、よければ一緒にお出かけしませんか?って。だが、演奏会は延期されてしまった。どこぞの大迷惑なウイルスが猛威を振るっていたのだ。
でもいいんだ。春らしい色で選んでもらった勝負服は使えなくなるけど、夏休みにデートをしよう。だから5月に延期された演奏会で、今度こそデートに誘うんだ。
だが、どこぞの空気の読めないウイルスは猛威を振るい続け、ついに演奏会は中止になってしまった。次の年は先輩の都合がつかなくて来てもらえなかった。その次の年には私は高校を卒業していて、演奏会を行うような団体に所属していなかった。デートに誘う機会を逃し、勝負服は一度も勝負しないまま普段着になった。
そして今年、一年遅れで大学生になった私は合唱のサークルに入った。春には演奏会をするらしい。きっと私はまた先輩を演奏会に誘うだろう。それでもし先輩に会えたら、今度こそデートの約束を取り付けるんだ。あの時の友人にまた勝負服を選んでもらおう。勝負服を纏った私は世界で一番可愛い女の子になる。そして今度こそ、春の街に繰り出そう。
著者:ゆうさん |
学校・学年:同志社大学 1年 |
著者コメント:文章で会話をするのが苦手なので直接会って話してデートに誘おうと思ったら、数年経ってもいまだに達成できていないというお話です。 |
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