「辛い経験を経て、4つ葉のクローバーになれる」保育士と歌手を目指していた小林愛香を支える言葉 #19才のプレイリスト
人生はきっかけの連続だ。だからこそ、自分のやりたいことをどう選べばいいのかわからない。今何をするべきなのか迷ってしまうという大学生のために、「音楽」という道を選んだアーティストに直撃し、19才の頃に聴いていた楽曲を元に人生観を語っていただく連載『#19才のプレイリスト』。
今回は、6月23日に1stアルバム「Gradation Collection」をリリースした、歌手で声優の小林愛香さん。初アルバムの制作秘話や、保育士と歌手を目指していた学生時代、そのときに出会った今でも小林さんを励まし続ける言葉との出会いなどについて話を伺いました。
文:於ありさ
写真:島田香
編集:学生の窓口編集部
小林愛香の可能性を詰め込んだ名刺がわりになる1stアルバム
――1st アルバムのリリースおめでとうございます!まずは、今の率直なお気持ちをお聞かせください。
小林愛香:アルバムを出させていただくというのは、歌手になると決めたときからの1つの夢だったのですごく嬉しいです。曲調もさまざまで、いろいろな角度から楽しめる作品になったと思うので、早く皆さんに届いてほしいなとワクワクした気持ちでいっぱいです。
――ずばりどんな1枚になりましたか?
小林愛香:小林愛香を自己紹介するような、名刺代わりになるようなアルバムになったと思います。バリエーションが豊富な全13曲を通して、いろいろな可能性をお見せできたらいいなって思います。それに全曲、全力で取り組んだので通しで聴いたときに1つのライブを観終わったような満足感を得られるんじゃないかなと思ってます。
――タイトルが「Gradation Collection」とのことですが、タイトルは小林さんが決められたんですか?
小林愛香:はい!わたしが決めました。メジャーデビューしたときから、“グラデーション”というのが、1つの軸となっていることもあって、いろいろなグラデーションを集めたような1枚になりました。
――グラデーションを1つの軸としているのはなぜなのでしょう?
小林愛香:デビューして間もない頃に、Q-MHzの田代智一さんから「あいきゃんのテーマカラーは何色ですか?」と聞かれたときに、「白とか透明とか何色にもなれるけれど、何にも染まらないような心を持っていたいです」と答えたんです。その時に田代さんが「グラデーションだね」って言ってくださって、それがわたしの中でしっくり来たんですよね。
「道は行きたいと思ったときに、初めて見えてくる」
――今回、完全生産限定盤にはBlu-rayDiscが初回生産盤にはDVDが付くということですが、見どころを教えてください。
小林愛香:そうですね。これまでに発表した4本のMVと、昨年10月に開催したオンラインライブのライブ映像が収録されているのですが、オンラインライブの映像はライブの感覚そのまま、自宅で楽しめるようなものになっています。
また、未公開ライブ映像が2曲追加されますし、何回でも繰り返し見られるところもBlu-rayやDVDの良いところだと思うので、ライブの映像を見て、本当のライブに備えていただけたら嬉しいです。
――5曲目の「たたたんばりんりずむ」は、小林さんが作詞された曲なんですよね。どんな曲になりましたか?
小林愛香:この曲は、田代さんから「何かできる楽器はある?」と聞かれたときに、「タンバリンだったらできます」と、軽い気持ちで言ったのが楽曲になりました。それで、せっかくの1stアルバムだからと、作詞に挑戦したんです。
まずデモをいただいたときから、タンバリン曲として制作されていたので、タンバリンの音と恋心をリンクさせて、ルンルンと踊り出したくなるような心の動きを表現できたらかわいいんじゃないかなと思いました。
バイト先のちょっと年上の先輩に、恋をする強気な女の子みたいなイメージをして、ストーリーを組み立てて何度もフィードバックをいただきながら仕上げていきました。
――学生におすすめの曲というのがあれば教えてください。
小林愛香:デビューシングル「NO LIFE CODE」がおすすめです。自由に楽しんでいいんだよというような、楽しい方向への招待状のような曲なので、いろいろな視野を広げられるきっかけにもなるかなと思います。
特に2番サビの冒頭の「大きな野望悪いことじゃないって〜」の部分は、曲調的にも他のサビとは違って、曲でも詞でも「決まりのなさ」が表現されています。
実はわたし、保育士の免許を持っているんです。受験した専門学校で夢を聞かれて、「歌手と保育士になりたいです」と答えたら、そのことを「夢がたくさんあることはいいことですね」と言ってくれて、その学校に進学しました。
そのときに「道はたくさんあるけど、それは行きたいと思って初めて見えてくるものだな」と感じたんです。
2番のサビに「道はいくつだってあって 行きたい人にだけは見えて」という部分があって、わたし自身、その歌詞がすごく刺さりました。
「傷つけられた3つ葉が、4つ葉のクローバーになる」
――小林さんは19才、もしくは10代の頃に何かに悩んでいた経験はありますか?
小林愛香:「歌手になりたい」という夢はずっと変わらずにあったのですが、努力したからといって報われるわけではないとわかっていたので、胸を張って「歌手を目指してる」と言ってもいいものかと、なかなか言えずにいました。
――叶うかわからない夢でも胸を張ってやりたいと言えるようになったきっかけはあったのでしょうか?
小林愛香:声優のオーディションを受けたことが、大きいですかね。それまで声の演技をやったことがなかったので、消極的だったのですが、今思うと自分から視野を狭くしていた気がします。
最初は自分の声がそんなに好きじゃなかったのですが、何回も練習を重ねたり、キャラクターと出会う中で、どんどん楽しくなっていきました。
――当時の小林さんの支えになった曲があれば、教えてください。
小林愛香:絢香さんの歌をよく聴いていました。歌い方がすごく好きな上に、勇気付けられる曲が多くて。特に「夢を味方に」という曲がすごく好きでした。冒頭部分の「泣いて 笑って 悩んで そんな日々も全部 全部 未来へ」という歌詞が好きです。
――なるほど。曲を聞く以外に、落ち込んだときの解消方法があれば教えてください。
小林愛香:落ち込むこともありますけど、悩んでもどうにもならないことってすごくあると思うんです。だから、必要以上に悩まず、できるだけ明るく、楽しい方向にこそ、楽しい未来があると考えるようにしています。
あとは、ぐるぐると考えずに寝ること。寝て朝起きると「なんで、昨日、あんなこと考えてたんだろうな」って思うことも多いので、1回、頭で考えることをやめて意識を切り替えることも1つの手かなと思っています。
――最後に大学生の方にメッセージをお願いします。
小林愛香:専門学校時代、保育士の実習に行く前に先生から「4つ葉のクローバーは、4つ葉として生まれてきたわけじゃなくて、最初は3つ葉だったのが踏まれて、傷がついて傷がついたところから葉っぱが生えてきて、4つ葉になったんだよ。だから傷つくことも、つらいこともあるかもしれないけど、みんな4つ葉のクローバーになって帰ってきてね」って言われたんです。それを聞いて、実習はもちろん歌手としての活動にも精力的に取り組めるようになりました。だから、傷つくことを恐れず夢を叶えられることを応援しています。