イベントレポート前編『投資にも就活にも活きる10年後につぶれない企業の見極め方とは!? ~投資先を選定するプロ 野村アセットマネジメント河合さんに直撃~』

編集部:ろみ

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この記事は2021年1月21日に行われた公開取材のログ記事(前編)です。今回は「学校では教えてくれないお金の授業」第三弾!野村アセットマネジメント河合さんをゲストにお迎えし、インタビュー形式の公開取材を行いました。
インタビューしてくれたのは国際教養大学4年、株式会社Media Beatsの代表を務めている櫻庭さんです。
それでは、本編をご覧ください。

お話してくれるのはこの2人

野村アセットマネジメント株式会社 河合若葉さん
責任投資調査部
シニアESGスペシャリスト

国内の投信投資顧問会社、外資系アセットマネジメント会社を経て、2005年に野村アセットマネジメントに入社。2009年7月~2020年3月までシンガポール拠点にてアジア株の運用を担当。2020年4月より現職。

【野村グループの紹介】
世界30カ国・地域を超えるネットワークを持つグローバル金融サービス・グループ。営業、アセット・マネジメント、ホールセール、マーチャント・バンキングという4つの部門が連携し、国内外のお客様に付加価値の高い商品・サービスを提供しています。


インタビュアー 櫻庭 悠汰さん
株式会社Media Beats代表/国際教養大学在学中

大学3年から広告代理店でインターンを始め、多くのWeb事業を経験。その後、国際教養大学在学中に株式会社Media Beatsを起業。現在はWeb広告やメディアの制作、運用をワントップで行うWeb会社を経営。50種類以上のメディア制作、運用経験からクライアントにとって最適なコンテンツを制作、運用している。


目次

1.投資すべき企業=就職先の企業としても優良企業であると考えて良いの?
2.企業情報を掴む際、IR情報を読みこむことは重要?もっと簡単に把握する方法は?
3.5年後生き残る企業=10年後も生き残る企業?その基準は?

▶後編はこちら

本日は、「投資にも就活にも活きる10年後につぶれない企業の見極め方とは!?」と題して、野村アセットマネジメント株式会社の河合若葉さんに、将来有望な企業の見極め方についてお聞きします。

私は15年ほど前に野村アセットマネジメントへ転職し、主にアジア域内の株式の運用を担当してきました。
昨年3月まではシンガポール拠点で10年以上勤務し、4月に東京の本社に戻り、責任投資調査部という部署で責任投資=ESG投資を推進しております。ESG投資とは、現在世界で急速に注目が高まっている投資手法です。

次に野村アセットマネジメントのご紹介です。野村アセットマネジメントは野村グループの持ち株会社野村ホールディングに属する、国内最大手のアセットマネジメント会社です。
運用資産残高は昨年3月末現在で55兆円以上、個人や年金基金のお客様から資金をお預かりし、運用を行っております。国内のみでなく、ロンドンやニューヨーク、シンガポールや香港などにオフィスがあり、グローバルにビジネスを展開しております。

ありがとうございます。それでは早速、投資にも就活にも活きる10年後につぶれない企業の見極め方について聞いてみたいと思います。

投資すべき企業=就職先の企業としても優良企業であると考えて良いの?

投資すべき企業=就職先の企業としても優良企業であると考えて良いのでしょうか?

完全にイコールで結ぶことはできないかもしれませんが、投資家が企業を分析・投資する時の視点と就職先として優良企業を選ぶ視点には共通点も多いので、皆さんにご参考になると思います。
まず、10年先まで長期で企業の行く末を考え予想するというのは、非常によい視点だと思います。投資でも就職でも、現在業績がよく、人気のある会社に目を奪われがちですが、環境次第では、企業の業績は大きく変化する可能があります。新型コロナなどの感染症、異常気象などの気候変動のリスクなど、多くのリスクがある中、長期的な目線で企業を選定することが重要です。
最初に、数多くある企業の中から投資先を絞り込んでいく方法をご紹介します。


お預かりした資金を運用する際、それぞれの商品の運用方針に従って、一定の基準で銘柄ユニバースを選定します。
これらの銘柄群をアナリストと運用者が調査・分析し、財務情報(企業の売上や利益、負債比率など)をベースにした分析に加えて、非財務情報の分析(商品開発力や技術力など)も同時に行うことで、長期的な成長が期待できる銘柄を選定します。
就職先として優良企業を選ぶ場合も、このような分析が参考になるはずです。
ただし、実際の投資プロセスでは、銘柄をさらに絞り込む必要があります。例えば、その銘柄を購入するタイミングとしてふさわしいか、株価が短期的に上昇しすぎていないかなどで、ここが投資すべき企業が就職先としての優良企業と完全にイコールで結べない点だと思います。

企業情報を掴む際、IR情報を読みこむことは重要?もっと簡単に把握する方法は?

企業の情報を掴む際、IR情報を読みこむことは重要ですか?もっと簡単に企業情報を把握する方法はありますか?

IR情報(投資家情報)を読むことは非常に重要です。IR情報には、決算関連の報告書の他、アニュアルレポート、コーポレートガバナンス報告書などがありますが、企業の長期成長戦略を理解する上では、統合報告書を読むことをお勧めします。

統合報告書とは、企業の財務データと非財務データの両方の観点から、自社の独自の強みや経営ビジョン、今後の事業展開とその見通しについてまとめた報告書です。
統合報告書が発行されるようになったのは次のような背景があります。
一つは、経営者の資質やブランド価値、情報など、直接数字として表れない無形資産と呼ばれる資産の重要性が高まり、これらの非財務情報が、企業の中長期的な成長を予想するために重視されるようになってきたため。
さらに、経済のグローバル化に伴う競争激化、自然災害の頻発など、経営の不確実性が増してきたことから、予想されるリスクへの対応策や事業戦略など、首尾一貫した経営方針の開示が企業の持続性を理解するために必要になったためです。

統合報告書は、企業がどうやって経済的価値や社会的価値を生み出していくのか、企業理念や重要課題は何か、などについて分かりやすくまとめてあります。 機関投資家も企業と対話する際にはこの統合報告書の内容に沿ってディスカッションし、目に見える財務的情報のみでなく、見えない資産価値や企業の実力を正しく理解するようにしています。
恐らく就職活動においても、企業のカルチャーや将来に向けた投資をどれくらい行っているか、社員のモチベーションや働きやすさはどうか、総合的な観点で企業を見る必要があると思います。

直近で大きな利益が出ていることを理由に、「この会社に就職しよう」とか「投資をしよう」と考えるのではなく、企業全体としてどんなブランドイメージを作っているかまでしっかり確認したほうがいいということですね。

そうですね。長期的な目線で確認するということですね。

私もシンガポールでアジア株運用を行っていた時には、長期的な成長が期待できる企業を発掘するために、アジア各国の企業の経営者と直接話したり、出張して工場見学を行ったりなどして、様々な角度から分析をしていました。
アジア各国の厳しい競争環境の中で成長している企業の共通点として、経営者が一貫した経営哲学を持っていることや、経営戦略に説得力がある点があります。

今までで、一番印象に残った経営者の特徴はありますか?

お名前を上げることはできませんが、世界的な危機が来たときにも方針がぶれない会社の競争力をきちんと話せる経営者のことが印象に残っていますね。

5年後生き残る企業=10年後も生き残る企業?その基準は?

5年後生き残る企業は10年後も生き残る企業なのでしょうか?その基準はどのようなものなのでしょうか?

まず、企業が生き残るためには継続的に利益が出続け、しかも成長しないといけません。
我々の世界ではフリーキャッシュフローという概念で企業を評価するのですが、この概念でカギとなるのは、企業が自由に使える資金を生み出し続けるかどうかという点です。

フリーキャッシュフローと普通のキャッシュフローとは、別のものなのですか?

そうですね。フリーキャッシュフローというのは、営業キャッシュフロー(本業で賄ったキャッシュフロー)から投資に必要なキャッシュフローを引いた額になりまして、これが実際に企業が自由に使える資金になります。
投資家は、企業がどのタイミングでいくら投資し、いくら稼ぐのかを予想し、将来企業が生み出す資金=フリーキャッシュフローを予測します。
ところが、昨今企業の経営を取り巻くリスクが高くなっており、予測が立てにくくなっています。
経営にとってのリスクが5年後に出現するか、10年後に出現するか見極めるのは困難であることから、5年後に生き残る会社と10年後に生き残る会社というような判断は行っていません。重要なのは将来可能性のあるリスクに備えて戦略・体制を準備しておくということです。

長期的なフリーキャッシュフローの予測については、企業が起こりうるリスクにどう対応するか、どのように社会的ニーズに答えていくかという非財務情報の分析が欠かせません。非財務情報は、将来の企業の業績を生み出す元となっている企業の力ですから、時間の経過とともに企業の業績に反映されて、財務情報となって行きます。
非財務情報のうち、企業活動における長期的なリスクと機会を評価する切り口として近年注目度を増しているのがESG情報です。

ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の略語です。ESGを重視して投資を行うことをESG投資(責任投資)と呼んでいます。
ESGに関連する課題が世界的に注目されている背景には、異常気象を背景とした山火事や大型台風の頻発、大気汚染などの環境問題が企業経営にも大きな影響を与えていることがあります。社会課題では、人権や人的資本などの課題があげられます。また、多様な人材が能力を発揮できるように、人材の多様化が図られているかどうか、従業員が能力を発揮やすい職場環境になっているかどうかなども重要です。企業統治では、株主の権利を守り不祥事などを防ぐために、経営が適切に監督されているかどうかが課題となります。


ESGは社会貢献性が強い活動というイメージがありますが、どちらかというと企業が成長するために必要不可欠な要素ということでしょうか。

そうですね。最近はそういった角度からESGが注目されるようになってきました。


後編では企業のESGの取り組みやその評価方法、ESGに取り組む企業側が学生に望むことなどを聞いてみました。

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