受験と恋愛は似ている! 大学と両思いになれる志望校の選び方 #大学1年生の転び方
勤め先の大学が冬休みに突入しました。今年もどうにかこうにか走り抜けたぞ(息切れ)。つかの間の休息は大変ありがたいのですが「これが終わったら本格的な受験シーズンの到来や!」という気持ちが一気に高まってくる時期でもあるんですよね……。
大学の主役はなんと言っても学生さんですから、どんな受験生が来てくれるのかは、大学にとっても気になるところ。いい学生に来てほしい。一緒にいい大学を作っていきたい。期待と不安で一杯なのは、受験生だけじゃありません。大学側の人間も同じ気持ちなのです。
しかし、受験には恋愛と少し似たところがあって、なかなか両思いになれないんですよね。合格を出しても別の大学に流れていく人がいたり、第一志望に落ちてしぶしぶ入学してくる人がいたり、といったことも当然あって、こちらとしては「もっと好きになってくれるようにがんばるね!」と言うしかないのですが、うまくいかないこともあるわけで(泣)。
言うは易く行うは難しいのが下調べ
今回のお便りは、大学とうまいこと相思相愛になれなかった方からのものだと言えそうです。さっそくご覧下さい。
(女性/大学4年生)
「下調べは大切」というのは、本当にその通りなんですが、大学受験を検討している人達(およびその保護者)の中で、調べ方をちゃんとわかっている人が一体どれぐらいいるんでしょうか? 進路指導を熱心にやってくれる学校に通っている人はいいけれど、そうじゃないと、みんななんとなーく調べてるだけなんじゃないかという気が……。
恋愛にたとえると、ひと目ぼしたけど、付き合ってみたらなんか違った、みたいな。下調べが足りないと、選ぶほうも選ばれるほうも不幸!
そこで、今回は、後悔しないために最低限やってほしいことを伝授したいと思います。あくまで「トミヤマ式」ではありますが、参考になれば幸いです。
トミヤマ式・志望校の選び方
レベル0:書店で大学受験案内を入手し、なんとなくの目星をつける。
レベル1:その大学のホームページを見る。ウィキペディアがあったらついでに見る(有名な卒業生の項目を見ると楽しい)。
レベル2:各大学が公式に出している紙モノ(パンフレットや募集要項)を入手。整理された情報ばかりなので「ぶっちゃけ感」はないけれど、その大学が何を「理想」としているかを知ることも大事。
レベル3:オープンキャンパスや学園祭など、大学の中に入れる系のイベントに行く。このとき、在学生と話して、学生生活全般について詳しく教えてもらうとよい。気になる大学については、1回行ったら終わりではなく、何度か行っていろいろな人と話をするのがオススメ。
レベル4:学部や学科について知りたいときは、教員の名前で検索をかける。グーグルだけでなく、「CiNii」のような論文検索サイトでも調べるとよい。これをやると、その学部・学科が、どういう教員(=研究者)によって支えられているのかが見えてくる。
ちゃんと学問に取り組みたい人にとってはすごく大事な情報。カリキュラムも大事だが、新年度から変更になったり、授業名はそのままだけど担当教員が変わったり、といったこともあるので、信じ込みすぎない方がいいかも。
……とりあえずここまでやってくれたら、大失敗することはないと思うんです。が、心配症の方は、次の「レベル5」までやっていただければより安心です。
レベル5:大学によっては、授業評価アンケートの結果を公表しているところがあるので誰がどんな授業をしているか見てみる。「評価が低い=学生ウケが悪い」からといって、その授業がダメな授業とは限らないので、鵜呑みにしてはならないが(つまらなくても大事な授業はある!)、自由回答欄などに、ちょっとしたヒントが落ちていることはある(板書の字が汚いとか、けっこうリアルな苦情が書かれていておもしろい)。
あ、ちなみに、レベル4と5は、これからゼミ選びをする現役大学生にもオススメします。これにゼミ見学をプラスして、先生と先輩達の人となりを把握すれば完璧だ!
下調べをすることは、人生をデザインすること
いま書いたことは、わたしの教え子にも教えていることです。そうすると、「レベル4」の段階で「あ、トミヤマ先生って、雑誌記事はいっぱい書いてるけど、論文はそうでもねえな」ということがハッキリわかっちゃうんですよ(笑)。
でも、それでいいと思っています。研究の道を突き進みたい方は別の先生のところへどうぞ。研究はそこそこでいいから、ライティングの技術を磨きたい方はどうぞこちらへ。精一杯やらせていただきます!
どんな大学にも長所と短所があることを知った上で、どこから何を学ぶかを考える。それは、学生生活をデザインすることであり、大袈裟に言えば、この先の人生をデザインすることでもあります。
だとすれば、下調べは受験勉強と同じくらい大事なのでは……なーんて、偉そうなことを言っているわたしは、「いとうせいこうと真心ブラザーズを輩出した早稲田に入りたい!」という動機のみで大学入学を果たしております。最後にこんなことを言ってアレですが、強固な愛校心さえあれば、細かいことはどうでもよかったりするものですよね、ハハハ。
まあ、全ての方にオススメできる志望校の選び方ではありませんが、愛の力は偉大です。
ライター、大学教員。早稲田大学法学部、同大大学院文学研究科を経て、2019年春から東北芸術工科大学講師。ライターとして、日本の文学、マンガ、フードカルチャーなどについて書く一方、大学では、少女マンガ研究を中心としたサブカルチャー関連講義を担当。
書籍:『大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(清田隆之との共著)
Twitter : @tomicatomica