就活を期に友人と絶縁状態に……変わりつづける人間関係への向き合い方 #大学1年生の転び方
早いもので、今年もあと1カ月ほどで終わります。
大学1年生のみなさん、かつては大学1年生だった気がしなくもないみなさん、いかがお過ごしですか?
12月というと、学生のみなさんは冬休みの計画を立てたり、社会人のみなさんはボーナスの使い道を考えたり、恋人がいる人はクリスマスをどう過ごすか考えたり、わくわくするイベントが盛りだくさん。中には、旅行に行く人もいるかもしれませんね。
今回の転びエピソードは、就職活動を経て友人と疎遠になってしまい、バイト先で「友達と卒業旅行は行かないの?」と何気なく聞かれたことで、ウッ……と心臓を抑えているであろう学生さんからいただきました。
ちなみにわたしはお金がなさすぎて卒業旅行にいけなかったクチです。
サークルに参加して、バイトを週5でやって、ゼミの活動もまじめに取り組んで……と、文面からはとても充実した大学生活を送ってらっしゃったように感じました。
サークルも入らず、ゼミの研究もほぼやっつけでやっていた大学生活を送っていたわたしからすると、なんて羨ましいんだ! と思います。
そんな忙しい毎日にもかかわらず、公務員になるために猛勉用をされていたなんて、メリハリをつけて目標に向かって努力もできる人のようで、心から尊敬もします。
環境が変われば付き合う友達も変わる、というのはどうしても仕方のないことなんですが、ただ、相談文の「完全に絶縁状態になってしまった」という言葉には、少々驚いてしまいました。
就活は人間関係にも影響を与える一大イベント
大学生にとって、就職活動は一大イベントですよね。だからこそ、大きな環境の変化があるのだと思います。
わたしの話をして恐縮ですが、わたしが通っていたのは私大の薬学部だったため、大学院に進学する人はほんの一握りで、学生のほとんどが就職を選びます。
就職先は病院や薬局が多く、中にはドラッグストアや製薬メーカーの営業職を就職先に選ぶ人もいましたが、卸業や公務員、研究職を選ぶ人たちはかなり珍しい存在でした。
就活シーズンが近づいてくると、研究室やサークルの繋がりで付き合っていた友達以外に、就職活動の情報交換も兼ねて、志望する就職先が同じ人との交流が盛んになっていた記憶があります。特に、先にも挙げたような卸業や公務員など、就職する人数が少ない職種だと、それがより顕著でした。
就活時期が終わればまたサークルやゼミのつながりで仲がよかった人たちとの交流も復活してしましたが、よくも悪くも、就活時期は人間関係にも大きな影響を与える期間だったなぁと思います。
人間関係には「縁の寿命」がある
人間関係には「縁の寿命」というのが存在します。
それは、細くなったり、太くなったり、短くなったり、長くなったり、気づいたときにはプツッと切れていたり、まだ繋がってはいるけれど「こうなってしまったのなら…もう付き合いをやめたほうがいいかもしれないな……」と気づいたり。
置かれている環境や自分を取り巻く人間関係によって、自分の価値観には変化がありますので、これはどうしたって仕方のないことなんですよね。
たとえば、結婚して子供を産んで家庭に入った人と、独身で外でバリバリ働いている人とでは、環境がかなり違いますから、使えるお金の額、自分に使える時間の多さ、自由に過ごせる時間帯も異なり、それ以上におそらく頭のキャパシティーを占めるものにも変化があるでしょう。
それによって、今まで通りの付き合いがしにくくなったり、共通の話題が少なくなってかつての頃のような楽しみ方ができにくくなったり、といったことはあると思います。
しかし、だからといって仲が悪くなる、ということはないのではないでしょうか。
たとえ疎遠になったとしても、また環境が変わったり、現状が落ち着いたりすれば、元のような関係、もしくはより仲が深まることはよくあることです。
もちろん、これは縁があれば、なんですけどね。
どちらかが、自分のいる環境こそが常識だと思い込み、相手に対する思いやりとリスペクトがなくなって、卑屈や見下しをしてしまい、信用や信頼を失う行動や自分勝手に相手を深く傷つける発言をして初めて、“絶縁”というものを招いてしまうのではないでしょうか。
“絶縁”とは、縁を断ち切るという意味なので、長い時間をかけて仕方なしにそうなってしまったり、自分を守るために自らの意志で決断することだと思います。
だから、わたしはあなたの相談文の中にある「完全に絶縁状態になってしまった」という言葉に驚いてしまったのですが、「疎遠になってしまった」とも書かれていますよね。
その相手と、どういった経緯で「完全に絶縁状態になってしまった」のかは、就職活動がきっかけだとしか相談文には書かれていないので、一概に言い切ることはできませんが、もしかしたら大きな出来事があったのかもしれません。
たとえば、どちらかが相手の選んだ就職先をひどい言葉で馬鹿にしてしまったとか、どちらかが違う職種なら話が合わないからと仲間はずれにしてしまったとか…あくまでもわたしの憶測ですけどね。
そういったことがあったのなら、それこそ縁の寿命がきたとも考えられるので、ある程度は割り切った考え方をしてもいいのだと思います。
まずは一歩、踏み出してみよう
しかし、ただ環境に変化があったせいで「疎遠になってしまった」というのであれば、「もう友達じゃない」と関係性を完結させなくて大丈夫ですよ。
持っていた縁が遠くなったり、細くなったり、寿命が近づいてしまっていると感じたときは、能動的に動けば解決することが多いのです。
なんだか、あなたは環境が変わってしまった友達に対して、遠慮をして勇気がなくなってしまっているように感じました。
友達に限らず、恋人でも職場の同僚でも、人間関係は常に受け身でいてはいけません。
受け身でばかりいると、相手からしたら「ほんとうは一緒にいても楽しくないのかな?」「もしかして関係性を終わらせたいと思っているのかな?」と誤解をされ兼ねませんからね。
あなたからその友達に話しかけたり、連絡をしたり、遊びに誘ったりすれば、案外簡単に関係性は復活すると思いますよ。
最初は勇気が出ないかもしれませんが、せっかく学生生活でできた大切な友達なのですから、縁を持続させるために、能動的にやっていきましょう。
人も環境も変化して当たり前。
だから、変わってしまって残念に思う部分に注目をするのではなく、変わったことで見えてきた新しい発見や、今でも変わらない好きな部分に注目するよう意識してはいかがでしょうか。
相手の状況を慮る、自分とは違う部分にばかりこだわらない、ということを忘れずにさえいれば、最初の一歩のハードルは低くなるはずです。
そして、「学生時代の友達は一生モノ」なんて言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、それに囚われなくても大丈夫。
大人になってからでも、社会に出てからでも、いつだって信頼できる友達はできます。
大学を卒業して、ますます世界が広がったら、おもしろくて気の合う人たちにきっと出会えますよ。
もうすぐ始まる社会人生活を、より一層謳歌してくださいね。
北海道出身。心身ともに健康だけが取り柄の、元社蓄のしがない主婦。洗濯洗剤はジェルボール派。AMにて『命に過ぎたる愛なし』を連載中。
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北海道生まれの関東在住。文字とイラストを描きます。好きな食べものは梨。
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