丸山さんのガクチカ（学生時代一番力を入れていた活動）は？

▲大学時代の丸山さん(写真中央)

最初は教師志望だったこともあり、家庭教師や塾講師のアルバイトを頑張りました。塾には意欲の高い子ばかりでなく、勉強なんてしたくないのに親に無理矢理通わされている子もやってきます。でもせっかく指導を担当したからには、勉強に対する苦手意識を払拭して、少しでも学力を上げてもらいたい。そんな子たちにどう働きかければ勉強と向き合ってくれるのか、真剣に考えて授業に取り組んでいました。

例えば勉強に対して少し反抗的な子でも、塾の先生とおしゃべりする時間は楽しそうにしている場合があります。だからすぐに参考書を開くのではなく「今日学校でなにがあった？」「今月はなにか行事があるの？」と5~10分ほど雑談をします。そして「今日はせっかく来たんだから、テキストのここまでやってみよう」と提案し、子どもたちの気持ちを引きつけてから授業に入ることを心がけていました。

最初はテストの点数も低く、本人たちも「なにをしても成績は上がらない」と思い込んでいるので、そんなときは小さくてもいいので目標を作ります。「次は何点くらい取れるといいね」と具体的な目標を立てて、「そのためにはここまでドリルを進める必要があるよ」というように、子どもたちに寄り添って勉強を進めていきました。その結果勉強に取り組むようになり、諦めていた高校に進学できた子もいました。生徒と一緒に試行錯誤しながら課題を1つ1つ解決していくという意味で、塾講師の経験は自分にとって学びの多い時間だったと思います。

仕事で役立っている大学時代の経験は？

大学時代は塾のほかに、バーでカウンター係のアルバイトもしていました。そこで企業の偉い人たちとたくさん会話したことは、私にとって貴重な体験でした。接客をしている間は、どうしたらお客さまとの会話が弾むかということや、話しかけてもいいタイミング、間合いというものを常に考えていました。また、バーを訪れる社会人の方たちと趣味の話ができるように、自分なりにいろいろなことを勉強して知識を蓄積したりもしました。大学時代に年上の方に対する接客術を磨いたことは、今の営業先で先生たちと円滑にコミュニケーションを取ることに生かせていると感じています。

また、お店にはMRのお客さまも多く、就活のときは製薬業界のお話をいろいろ聞くことができて参考になりました。数社から内定をいただいた後も、「この会社に受かったのですが、〇〇さんはどう思われますか？」と単刀直入に聞いていました。MRとして働かれている方からの客観的な意見がもらいたかったからです。実を言うと、ある外資系企業に勤めるMRの方が「第一三共はいい会社だよ」と言ってくださったのが、入社を決める後押しのひとつになりました。

就活前にやっておいたほうがいいことは？

私の場合は教育実習もあったので、他の学生に比べると就活に使える時間は限られていました。その中で効果的だったことはやはりOB・OG訪問です。実際にその会社で働いている人に話を聞くことが、「自分に合う・合わない」を判断する上で重要な基準になったと思います。

もうひとつは資格の取得です。大学の間は時間を作ろうと思えばいくらでも作れますし、資格はあっても絶対損はしませんから。たとえばビジネスのグローバル化が進んでいる現代では、どこに行っても英語は大事です。また、もし将来経営に携わりたい気持ちがあれば、経営や労務などに関する資格を取っておくのもひとつですね。就活の場面でも、その後のキャリア形成においても、「私はこれを持っています」「これを活かしてこんな仕事がしたいです」と言えるものがあれば、武器になるはずです。私自身も学生の頃に取っておけばよかったと思う資格がいくつかありました。現在はMBA（経営学修士）取得を視野に入れています。今後の自身のビジョンをより具体的なものにするために挑戦してみようと思っています。

「入社○年目にはこうなりたい」という明確なキャリアプランを立て、文系出身でも製薬会社で存分に活躍できることを示していきたいという丸山さん。「将来的には経営に関わる業務に就いて、この会社をもっと盛り上げたいですね」と意欲を見せます。どこかで方向転換をしたとしても、常に向上心を持って自分を磨き続ければ新しい道は開ける。そう感じさせてくれたインタビューでした。

文：鈴木恵美子
写真：中邨誠
取材協力：第一三共株式会社