物語の「視点」に注目! 読書がもっとおもしろくなるコツ ライトノベル編【学生記者】 2ページ目

高晃

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2.三人称視点

三人称視点の物語では、登場人物ではない第三者を語り部として設定し、その第三者から見た物語が描写されていきます。第三者の視点は、物語世界の中に置かれたカメラの映像だと考えるとイメージがつきやすいかもしれません。三人称視点の物語は、そのカメラの置き方により、いくつかの表現方法に分類できます。

1.三人称限定視点

三人称視点のなかでも、視点のカメラをある登場人物に向けて固定したものを三人称限定視点といいます。語り部は人物密着型のドキュメンタリー番組のナレーターだと考えるとイメージがつきやすいかもしれません。この視点が用いられている作品には「青春ブタ野郎シリーズ」や「アクセルワールド」などがあります。

この技法の特徴としては、語り部が第三者であるにも関わらず、カメラを固定された一人の人物だけは内面の描写が可能とされていることです。視点が固定されているために描ける場面の制約は一人称と同様に多いですが、あくまで第三者から見た登場人物が描かれるので、一人称視点の小説と比べると内面の描写も穏やかになり客観的な印象を持ちやすいでしょう。

また、三人称限定視点では、章ごとや節ごとに視点の対象を変えることでさまざまな人物の内面を描写することが可能になります。この視点の変化は、「とある魔術の禁書目録」など、作品の中に軸となる人物が複数いる場合によく用いられます。

2.神の視点

三人称視点のなかでも、語り部を全知の存在として設定するのが神の視点と呼ばれる技法です。作品世界のなかで、登場人物が知らない場所での出来事も描写することが可能であるだけでなく、作品世界内での未来の出来事など作者しか知らない情報に言及することも可能です。この視点を用いると読者に大いなる存在を印象づけることができるため、一人称視点や三人称限定視点の物語でも、大きなイベントの直前や次巻へのつなぎの場面などでアオリのように神の視点が挿入されることがあります。

神の視点の「全知」は登場人物の内面にも及ぶとする場合もありますが、同じシーンのなかで複数人の内面が描写されると読者が混乱してしまうため、登場人物の内面には立ち入らないのが一般的です。

まとめ

物語の視点について改めて考える機会は多くないと思いますが、いかがだったでしょうか? 本を読むときには、ただ文字を追うだけでなく、視点について意識しながら文字では描写されない部分の物語を想像してください。より物語の世界を楽しめると思います。

文・高晃

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