物語の「視点」に注目! 読書がもっとおもしろくなるコツ ライトノベル編【学生記者】
みなさんこんにちは。横浜国立大学2年の高晃です。
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突然ですが、大学生になって本を読まなくなってしまったという人は多いのではないでしょうか。たしかに、大学生は勉強やサークル、バイトなどで忙しく、まとまった読書の時間は取りにくいですが、行き帰りの電車の中などの隙間の時間を活用すればコツコツ読み進めることはできるでしょう。しかし、ただ漠然と本を読むだけではだんだんと飽きてきてしまい、気付いたらスマホを弄っていた、なんてことになってしまうかもしれません。どうせ読書をするならいろいろな視点を持って深く奥行きのある理解ができるようにしたいですよね。
そこでこの記事ではライトノベルの「視点」をテーマに高校の卒業論文を書いたことのある私が、「物語の視点」の違いが物語の構成や表現にどのような影響を与えるかをご紹介していきたいと思います。
1.一人称視点
一人称視点の物語では主に主人公が語り部となり、彼ないし彼女の視点から見た物語が展開されていきます。学園が舞台の作品や恋愛をテーマにした作品など、登場人物が多くない作品でよく用いられています。代表的なライトノベル作品では「涼宮ハルヒの憂鬱」「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」「<物語>シリーズ」などが挙げられます。
一人称視点の物語の特徴は、なんといっても地の文が語り部の心内描写とモノローグで構成されていることです。モノローグは語り部の性格によって軽妙になったり冗長的になったりと変化するので、一人称の小説の印象は語り部の性格に大きな影響を受けます。語り部の発言や行動は「俺(私)は~した」、「『~』と俺(私)は言った」のように主語を語り部自身にした主観的な表現となり、語り部の本音と建前といった人間らしい部分が生々しく語られるため、読者の共感を得やすいのも特徴です。
しかし、一人称視点では語り部が見聞きしたものしか描写できず、語り部がいない場所で起こった出来事や語り部以外の心情は読者にはわかりません。そのため、しばしば語り部の周囲の人間関係の変化が考察の対象となったりもします。