学費が苦しい学生に! 授業料の減免制度ってどんなもの?
政府与党自民党が給付型の奨学金について「成績優秀者については月額3万円を支給」という試案を発表しました。給付型の奨学金制度について議論が盛んになっていますが、各大学でも経済的に苦しい学生を支援する制度を設けていることが多いのです。今回は「授業料の減免制度」についてご紹介します。■大学入学から卒業までには「500万円」「800万円」かかる!
例えばアメリカと比較すると、日本の大学の授業料はそれほど高額ではありません。しかし、ドイツやフランスなど大学の授業料がほとんど無料の国々と比較すればやはり「高い」となってしまいます。子供一人を大学にやり卒業させるまでにかかるお金は、国公立大学(4年)で自宅から通った場合約500万円、一人暮らしをさせた場合は約800万円というのが相場です。私立大学ではそれぞれプラス200万円を見ておかなければなりません。世帯家計にはかなりの負担となりますね。
その世帯が経済的に苦しい状況にある場合には、大学の授業料の支払いも容易なことではないでしょう。しかし、多くの大学で優秀な学生に対して授業料の減免制度が設けられており、これを利用することで負担を軽減することができます。
■授業料の減免制度 「東京大学」の場合
例えば、日本の最高学府と呼ばれる「東京大学」で設けられている減免制度について見てみましょう。
東京大学では「授業料免除は、学力基準及び家計基準による選考のうえ、半額または全額免除が許可されることがあります。(ただし、予算の状況によっては免除されない場合があります。)なお、学部学生(留学生を除く)で世帯の総所得金額が218万円以下(給与収入のみの場合は400万円以下)の場合は、学力基準及び家計基準による選考のうえ、全額免除が許可されることがあります」となっています。
あくまでも大学の予算が許せば、また条件に合致すればでありますが、授業料の減免措置があるというのは助かりますね。
一番気になるのは「学力基準」ではないでしょうか。どのくらい優秀な成績なら良いかといいますと……その基準は以下のようになっています。
●学部
・第1年次に在籍する者(新入学者)
新入学者は入学試験の合格をもって適格とみなします。
・第2年次に在籍する者
成績が「優の単位数 + 良の単位数 ≧ 可の単位数 +10」の者
・第3年次に在籍する者
前期課程の修得すべき科目(基礎科目、総合科目及び主題科目)を修得した者で、その成績が「優の科目数 + 良の科目数 ≧ 可の科目数 + 5」の者
・第4年次以上に在籍する者
各学部で定められた成績基準により判定し、優秀と認められる者
●修士課程、博士課程、専門職学位課程
各研究科において、成績及び研究業績などを判定し、優秀と認められる者
※標準修業年限を超過して在籍する者は、原則として授業料免除の対象とはなりません。
興味深いのは。優、良、可などの成績判定の結果による条件が明示されていることですね。これなら適格者であるかどうかを自分で判断できます。
「家計基準」については独自の計算方法が採用されています。
「家計評価額」 = 総所得金額 - 特別控除額 - 収入基準額
という式がそれで、この「家計評価額」がゼロ円以下であれば適格者となります。
また、総所得金額、特別控除などの項目の導き方はそれぞれ定められています。詳細に知りたい人は記事末のリンクを参照してください。
■経済状況が苦しいなら利用を考えましょう!
少子化が進んでおり、大学の経営・運営もなかなか厳しい時代だといわれますが、多くの大学が予算の許す範囲で授業料の減免制度を設けています。もし今、経済的に苦しい状況となり、大学で勉強を続けることが困難だという人がいらっしゃったら、減免制度の有無、またそれを利用できないかを考えてみましょう。せっかく設けられた制度ですから利用しない手はありません。
⇒データ出典:東京大学 「授業料免除の選考方法について」
http://www.u-tokyo.ac.jp/content/400010242.pdf
(高橋モータース@dcp)