​渋谷で若手アーティストの意欲作を目撃せよ! 大学生からのアートのはじめかた「トーキョーワンダーサイト渋谷」編 3ページ目

学生の窓口編集部

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目次
  1. ――大学生のお二人と歳が近いアーティストの個展を見て回りますが、アートには興味がありますか?
  2. 「人間の内面」をビジュアル化? 松浦進さんの世界
  3. 井田大介さんが手がける現代アート

現代人の身体性をインターネット上の写真を元に表現

最後に井田大介さんの作品を鑑賞。井田さんの作品は2つのスペースに展示されており、まずは不思議な映像と木の立体作品が置かれたスペースに来ました。

≪ただいま、ハニー≫2016 インスタレーション(映像、家型養蜂箱、ミクストメディア)サイズ可変
©Tokyo Wonder Site Photo:加藤健



お面をかぶった人がミツバチだらけになっている映像が流れていますが、どういった作品なのですか?


この映像も作品なのですが、この家も実は作品で、ミツバチの巣箱(養蜂箱)になっています。これらの映像と巣箱がある空間そのものが一つの作品となっています。

僕の実家は鳥取県の日吉津村(ひえづそん)で、全国でも珍しく「人口が増えている村」なんです。去年あたりから村のリサーチを続けているのですが、村の違った時間軸の中で共通するイメージや隠されている記号的なものが何個もあることが分かりました。抽象的ではあるのですが、その共通することを抽出し、作品として表現しています。



ミツバチがお面をかぶった人に巣を奪われそうになっている? ような映像ですが、その意図は何ですか?

実はこのお面をかぶっているのは私なんです。日吉津村の人口が増えている要因は大型商業施設や大きな工場が建ち、外から多くの人が入ってきたことです。でも、外から多く人が入ってきた影響で、もともと住んでいた人たちが昔からやってきていたことができなくなっている側面があり、それを表現しました。

他にも、鳥取県をはじめ山陰は大国主(おおくにぬし)を祭っている神社が多いのですが、この地域はなぜか天照大御神(あまてらすのおおみかみ)を祭っていたりするので、もしかしたらこの村にもともといた人も、よそから来て文化を作っていったのかもしれません。そうした元からのもの、外から入ってきたものという部分を、描き出せることができればと考えました。


村の人口の面から、村の歴史、さらには神話の話までも結びついた非常に複雑な作品なのですね。


続いて不思議な質感の作品が並ぶスペースにやってきました。



ここでは彫刻的な実験を行った作品を展示していて、これはロダンの≪地獄の門≫です。



私の知っている≪地獄の門≫とはかなり違いますね。

≪photo sculpture -地獄の門2-≫2016 ネット画像、3Dプリント 30×23×6cm
©Tokyo Wonder Site Photo:加藤健


この地獄の門は、世界中の人々がSNSなどにアップしているさまざまな構図の地獄の門の写真を大量に重ね合わせて立体化した結果、このような形になりました。


なるほど。だからこんなに形が異なってしまっているのですね。なぜ多くの写真を重ねようと思ったのですか?

彫刻は身体性がよく表現される分野なのですが、現代人の身体性を彫刻的に表現するとすれば何かなと考えた際、SNSなどのネット環境だと思いました。そこから情報を立体化して表現できないかなと考えて、SNSやブログなどのネット上にアップロードされた画像を重ねて一つの作品として表現しました。


これも東京国立博物館にある高村光雲の≪老猿≫ですが、写真を重ねて立体にすると変わってしまいます。でもどの人も顔はしっかりと撮影しているようで、猿の顔は立体にしても比較的分かりやすくなりました。こうしたネットにおける身体性の特徴が出るのはおもしろいと思います。

≪photo sculpture-老猿-≫2016 ネット画像、3Dプリント 22×22×22cm
©Tokyo Wonder Site Photo:加藤健



写真からこうした特徴が引き出せるのはたしかにおもしろいですね!

無料で気軽に新進気鋭のアーティストの作品が楽しめる



――3人の作品を見て回りましたが、いかがでしたか?


どの作品も素晴らしかったのですが、私は油絵をやっていたので倉田さんの作品の色使いなどは非常に魅力的で楽しかったです。松浦さんの作品も、人の内なる感情を象徴的に表現されていて魅力的だと思いました。


僕は井田さんの3Dプリンターで作った作品が良かったです。僕自身、ネットにおける身体性に興味があるのもありますし、アイデアとしてわかりやすく面白かったです。

――トーキョーワンダーサイト渋谷には初めて来たそうですが、どうでした?

渋谷駅から近い立地もいいですし、アートセンターと聞くとハードルが高そうに思えますが、実際に来て見ると気兼ねなく入ることができてよかったです。あまりアートに詳しくなくても、こうやって気軽に触れられることができるのは大学生など若い世代にとってもいいんじゃないかなと思いました。

勢いのある若い世代の芸術家の作品が無料で楽しめるのは魅力だと思います。個展として複数の作品が展示されていることで、一つの作品ではわかりにくい作家性が理解しやすいのもいいですね。アーティストとお話できたのも嬉しかったです。

――一般的な美術館では作家が作品の横にいる、ということはほとんどありません。ここでは作家がギャラリースペースにいることも多いそうですし、作品の解説など直に聞けば、作品の理解も深まるでしょう。



今日みたいにお話する機会があるのは、アート初心者にもすごくいいと思います。


会話することで作家性も見えてきますし、いいと思います!

――本日はありがとうございました!

トーキョーワンダーサイト渋谷に初めて来た二人でしたが、同世代の若手アーティストの作品に感銘を受け、改めてまたアートの魅力を感じたようでした。

また、公園通りの施設入口には作品展示や映像上映が行われるTWSアートカフェ「24/7 coffee&roaster」もあり、こちらも非常に人気。芸術作品を堪能した後はおいしいカフェメニューを楽しむなど、デートにもおすすめです!

この秋限定で、なると金時芋とマロンクリームをモンブラン仕立てにして添えたホットケーキも登場。ふわっと焼いたホットケーキと秋を感じるクリームは相性抜群! 3つの焙煎、白金(深煎り)、金色(中煎り)、赤銅(深煎り)から選べる、さっぱりと果実味のあるコーヒーと一緒にどうぞ。

ホットケーキなると金時芋とマロンクリームのモンブラン 1,080円 ※季節で内容が異なります。
24/7 珈琲白金 金色 赤銅 540円

現代アートを楽しんだあとはおしゃれなカフェで一息、そんな芸術と食欲の2つの秋を楽しめるトーキョーワンダーサイト渋谷に訪れてみてはいかがですか?

●TWSアートカフェ「24/7 coffee&roaster」

営業時間:10:00~23:30(ラストオーダー23:00)
お問い合わせ先:03-6455-0920

●トーキョーワンダーサイト渋谷

住所:東京都渋谷区神南1-19-8渋谷区立勤労福祉会館1F
お問い合わせ先:03-3463-0603
トーキョーワンダーサイトHP
http://www.tokyo-ws.org/

●TWS-Emerging 2016

第3期:2016年9月3日(土)-10月2日(日)
第4期:2016年10月15日(土)-11月13日(日)
第5期:2016年11月26日(土)-12月25日(日)
第6期:2017年1月7日(土)-2月5日(日)
※入場無料、参加アーティストの詳細はHPでご確認ください。
http://www.tokyo-ws.org/shibuya

最後に、直近、東京で秋の風情を感じることができる、とっておきのイベントを紹介します。

●「東京大茶会2016」

東京都とアーツカウンシル東京が共同で開催する「和の文化」を楽しむイベント。茶道に馴染みのない方や海外の方に気軽に「茶の湯の文化」や江戸、東京の文化を体験することができる大規模な茶会で、小金井市の「江戸東京たてもの園」と、中央区の「浜離宮恩賜庭園」で開催されます。歴史ある建物や都心のオアシスで秋の風情を感じてみませんか?

http://www.tokyo-grand-tea-ceremony.jp/

【江戸東京たてもの園】

開催日:2016年9月24日(土)、25日(日)
開催時間:10時~17時10分(受付時間9時30分~16時30分)
入園料:無料(東京大茶会開催中は、入園無料です)

<主な開催内容>

・茶道はじめて体験(参加料300円)
茶道に触れたことのない人のための茶道教室です。ペアになりパートナーのお茶を点てることで、おもてなしの心に触れてください。※英語の解説付きです。

・野点(参加料300円)
爽やかな秋空の下、気軽に楽しんでいただける野点です。

・WELCOME! 英語で楽しむ茶席(参加料700円)
外国の方に茶道を通し日本の心に触れていただくための、英語解説付きの茶席です。

【浜離宮恩賜庭園】

開催日:2016年10月15日(土)、16日(日)
開催時間:9時30分~16時10分(受付時間9時~15時40分)
入園料:一般300円、65歳以上150円

<主な開催内容>

・茶道はじめて体験 (参加料300円)
茶道に触れたことのない人のための茶道教室です。ペアになりパートナーのお茶を点てることで、おもてなしの心に触れてください。

・野点(参加料300円)
爽やかな秋空の下、気軽に楽しんでいただける野点です。

・WELCOME!英語で楽しむ野点(参加料300円)
外国の方に茶道を通し日本の心に触れていただくための、英語解説付きの野点です。

※チケットは当日会場内で販売いたします。茶席(WELCOME!英語でたのしむ茶席を除く)のみ事前申込制で、すでに受付は終了しておりますが、当日キャンセルが出た場合は、会場で販売を行います。

「東京の美術館をもっと楽しみたい!」という方には、「東京・ミュージアム ぐるっとパス2016」(https://www.rekibun.or.jp/grutto/index.html)の活用がお薦め。これは一冊2,000円で都内79の美術館や博物館等の入場券、割引券がセットになったお得なチケットブックです。今回紹介したトーキョーワンダーサイト渋谷の近くでは、渋谷区立松濤美術館、刀剣博物館などで使用可能です。これを機に、都内の美術館・博物館をとことん楽しんでみてはいかがでしょうか。

東京のアート情報はコチラで検索!
https://tokyoartnavi.jp/

(中田ボンベ@dcp)

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