世界観が魅力! 読んでおきたいおすすめSF漫画10選 3ページ目
物語の舞台ははるか未来。幾多ものパイプラインによって天上でつなぎとめられている空中都市ザレムです。このザレムの真下には、ザレムの下部より吐き出された大量の廃棄物がばら撒かれていました。そしてこの廃棄物を再利用して生きる人々が、この廃棄物周辺にクズ鉄町を形成していたのです。この物語はこの絶望的に荒廃したクズ鉄町から始まるのです。この町の住民たちは、ザレムから吐き出されるゴミやスクラップを再生利用して、独特の工業文化を形作っていました。このクズ鉄町には、苛酷な環境によって進化を遂げた極めて高度な技術が発達していて、人体をサイボーグに改造することが常識となっていたのです。
ある日のこと。クズ鉄町でサイボーグの専門医をしていたイド・ダイスケは、スクラップの中から奇跡的に脳髄が健康な状態で残されている少女形のサイボーグの上半身を発見しました。彼女の体は頭部と胸部のみでしたが、イドの治療により意識を取り戻すことに成功します。しかしあまりにも長い間休眠状態にあったため彼女は過去の記憶のすべてを忘れ去っていました。自分の名前も思い出すことのできない彼女のために、イドはかつて飼っていた猫のガリィという名前をつけ一緒に暮らし始めるのですが..….。
この作品はサイボーグ化された女性の物語です。多くの人が体の一部を機械化している部分は攻殻機動隊を彷彿とさせてくれるので、とてもワクワクします。独特な世界観や文化が確立しており、読者を飽きさせない工夫が施されています。近未来的なSF好きはハマること間違いなしです。
作者:木城ゆきと
出版社:集英社
掲載誌:ビジネスジャンプ
連載開始:1990年
巻数: 全9巻
■「預言者ピッピ」
預言者ピッピは自信を予知する目的で開発された人間型のスーパーコンピューターでした。ピッピは人間の子供であるタミオと一緒に成長しながら次第に地震の予知精度を上げていきます。そしてついに世界中の情報を収集して分析することによって、数ヶ月以内の大地震を予知できるようになっていきます。マグニチュード7以上にも及ぶ大地震をピッピが予知し地震の発生予定地域に連絡することで、地震による死傷者の数をゼロにしたこともありました。地震による被害を回避できたことに喜ぶ人々。ヒッピの優れた能力を誇りに思う研究員たち。一見すべてがいい方向に転がっていくかのような錯覚まで感じられる状況だったのです。外れることの無いピッピの予言に、当初は半信半疑だった人々も次第にピッピーに絶大な信頼を感じるようになっていくのでした。
ところが、ある日のこと。ピッピの目の前でタミオは交通事故にあって死亡してしまいました。タミオの死亡の瞬間からピッピは自分の意思で活動を停止し、これまでに集めて分析した情報を再計算し始めました。そして再びピッピが目を覚ましたとき、ピッピの中にはあるものが存在していたのです...…。
この作品はマザーコンピュータにより、未来が完璧にわかってしまったら世界はどうなってしまうのか?と先が楽しみになる作品です。人間の倫理観や価値観の対立は現代の人にも通じる部分もあり考えさせられます。
作者:地下沢中也
出版社:イースト・プレス
巻数: 既刊2巻
いかがでしたか? 読んでみたい漫画は見つかりましたか? 時代が進むことによって、人類がどのように進化していくのか……その過程を読むことができるのもSFの漫画ならではの魅力です。さて、今日からタイムマシーンに乗ったつもりで未来の世界観に浸って存分に楽しんできてください。