ハーフライターの疑問! 日本の「結婚“できる”」という言い方に抱く違和感

学生の窓口編集部

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メディアで「結婚しない若者」がたびたび話題に上がっています。なんでも男性も女性も結婚に関心がない人が多いのだとか。

そんな流れを危惧してか、未婚の我が子に代わって親が婚活をするという、いわば親同士のお見合いパーティーなるものもあるようです。それだけ「結婚しない人」というのは親にも世間にも心配されがちなのですね。

ところで「結婚しない男性」「結婚しない女性」という言い方のほかに、「結婚できない男性」「結婚できない女性」というのもよく聞きます。この言い方、ちょっと気になります。

「結婚」というもの、はたして結婚できる、結婚できない、といったニュアンスで話さなければいけないものなのでしょうか。「何々ができる」とか「何々ができない」という言い方は、何か能力に長けていたり、能力が欠如している際に使われがちな言葉だけになんだか引っかかります。

数学ができる、数学ができない、英語ができる、英語ができない、逆上がりができる、逆上がりができない……というのはわかりやすいですが、結婚できる、結婚できないという言い方に関してはどうなのでしょう?巷の女子の会話を聞いていると「●子って、絶対に結婚できないタイプだよね」なる発言があったり、またその逆をいく「●美は普通に結婚できると思う」という発言が普通にあったりします。この結婚できる・結婚できない、という言い方について昔から不思議に思っていました。

実は「●美は普通に結婚できそう」という文章も、「●子って、結婚できないよね」という文章も、そのニュアンスが正確に伝わる形で英語やドイツ語に訳すのは難しかったりします。でも日本ではわりと普通に「結婚できる」「結婚できない」という言い方がされているところを見ると、日本では「結婚」に価値を見出す人が多いのですね。

それにしても、結婚はするのもあり、しないのもあり、友達だって持つのもあり、持たないのもありですし、それをイチイチ能力と結び付けるのはなんだかなあ……なんて思ったのでした。

メディアが取り上げる「結婚できない男性」はコミュニケーション能力がなかったり、収入が不安定だったりなどといったテーマと結び付けられがちなため、結婚できない男性イコール能力が伴わない人(逆に結婚できる男性はこれらのことをクリアしている男性)ととらえられることが少なくありません。それにしても日本人はヨーロッパの人(主に北ヨーロッパ)と比べると「結婚」にこだわるなあ……と思います。収入が不安定ならば、それをなんとかしたいというのは自然ですし、コミュニケーション能力がないことに悩んでいるのなら、それを何とかしたい、というのも自然な流れなのかもしれません。けど、それらのことをいわば「結婚できるために、なおしたい」(または親側が、なおさせたい)というのはなんだかなあ・・・なんて思うのでした。ゴールが結婚で本当にいいのでしょうか。

世界を見ると、結婚していても人格的に問題のある人なんてわんさかいるのですから、「結婚できる」「結婚できない」という言い方やめませんか。

サンドラ・ヘフェリン

プロフィール/ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴18年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフといじめ問題」「バイリンガル教育について」など、「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。コミックエッセイ「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?」(KKベストセラーズ。原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ)が発売中

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