まずは「面白がる」ことから!「仕掛学」の松村教授が語る、身近なことから視点を変える方法  #Rethinkとは?

2022/05/31

社会人ライフ

「仕掛け」には、必ずしも大掛かりな装置が必要なわけではありません。視点を変えることで、身近なものが人々を動かす良い仕掛けになることもあります。

「そのために必要なのは面白がること」だと、松村教授はいいます。

面白がるポイントをたくさん持っていれば、物事を違った目線から見られます。大事なのは、その能力をどう養っていくか、そして蓄えていくか。面白がっている人を見たら、『なんでこの人は面白がっているんだろう』と考えてみるのがいいですね。」

→日常の「あたりまえ」を疑ってみては?! 視点を変えるヒントを「仕掛学」の松村教授に聞いてみた  #Rethinkとは?

PROFILE

松村 真宏 (まつむらなおひろ)

大阪大学大学院経済学研究科教授

◉―― 2003年東京大学大学院工学系研究科修了。博士(工学)。2017年より大阪大学大学院経済学研究科教授。「仕掛学」を創始し,仕掛学の研究・実装・普及に従事。


◉――『仕掛学 人を動かすアイデアのつくり方』(東洋経済新報社)、 『人を動かす「仕掛け」 あなたはもうシカケにかかっている』(PHP研究所)などを上梓。『所JAPAN』(フジテレビ)をはじめ、メディアにも出演。

【事例1】チラシを受け取りたくなるマジックハンド

コロナ禍になってからは、求められる仕掛けの質が大きく変化したと松村教授はいいます。

「コロナ前は人を集めるような仕掛けを考えることが多かったですが、コロナ禍では仕掛けを置くことで人が寄ってきては危ないということで、人を分散させる仕掛けや、ソーシャルディスタンスを取る仕掛けなどが求められるようになりました」。

そんな中、2020年に『所JAPAN』の番組内で行ったチラシ配りに関する実験が、コロナ禍で1番お手軽に効果を発揮した事例なりました。

チラシ配りは宣伝のための重要なツールですが、コロナ禍の今は受け取る人が大幅に減少したそうです。そこで、松村教授が街行く人にチラシを受け取ってもらうために考えたアイデアはとてもユニークなものでした。

▼マジックハンドを用いてチラシを配る様子

「仕掛けに使ったのはマジックハンド。これを使えばソーシャルディスタンスを取れるというのはもちろんありますが、それ以上にマジックハンドでチラシを配っている人がいたら、気になってつい受け取りたくなるんじゃないかと考えたんです。」

実際、マジックハンドを使って実験したところ、普通にチラシ配りをしたときと比べて、5.5倍もの人が受け取ってくれるようになりました。

仕掛けのアイデアは、僕自身の原体験から生まれることが多い。マジックハンドもまさにそうで、子供の頃に遊んで楽しかったという思い出があり、仕掛けに使えば面白いんじゃないかなと、研究室にいくつか置いていたんですよ。」

自身の楽しかった体験を応用できるアイデアも、皆さんの中に眠っているかもしれません!

【事例2】飲食店の密は、ぬいぐるみで解決?!

コロナ禍の事例でもう一つ、飲食店での密を解決する事例に「ぬいぐるみを置く」というものもあります。

「ぬいぐるみが置いてある場所には人が座れなくなってソーシャルディスタンスという目的が達成できますし、『ぬいぐるみの席なら仕方ないか』という微笑ましい気持ちにもなります。」

松村教授によると、仕掛けにも良い・悪いがあるそうです。

▼店内の至るところに置かれた動物のぬいぐるみ

「仕掛けられてもムッとすることがなく、ニコッとしてしまうのがいい仕掛け。人を引っ掛けて騙そうとするのが悪い仕掛けです。いい仕掛けは、本来の目的がバレてしまっても問題がない。むしろ、ネタバレしたときに『そういうことなのか』という気づきがあり、人に広めたくもなると思います。」

松村教授は、良い仕掛けほどネタバレしたあとに面白さが増していくといいます。そして身近な仕掛けの中には、松村教授自身が実践しているものもあります。

朝起きたくなるホームベーカリー

「我が家では、朝に焼き上がるようにホームベーカリーの予約タイマーをセットしておきます。朝になると、とても良い匂いが漂ってきて心地よく目覚められるのです。しかも、焼きたてのパンはすぐ取り出さないと縮んでしまうため、起きなければという気持ちにもさせてくれます。

他にも、タイマー式のコーヒーメーカーで、決まった時間にコーヒーの良い匂いがすれば同じような効果が得られるといいます。

松村教授のように日常の中で身近な仕掛けを探すことは、視点を変えて物事を考えるための大事なヒントになるでしょう。

仕掛学を用いた事例を参考としたRethinkという考え方。皆さんも少しずつ分かってきたのではないでしょうか?次回は、“視点を変える目線の訓練方法”をご紹介します!

文:安藤茉耶
編集:学生の窓口編集部
取材協力:大阪大学大学院  阪大SroryZ HP
出典・引用:
・マジックハンドのチラシ配り事例
松村真宏:対人距離に配慮した街頭配布の仕掛け、第9回仕掛学研究会 (2020)
~対人距離に配慮した街頭配布の仕掛けPDF~
・ホームベーカリーの事例
松村真宏:仕掛学、東洋経済新報社 (2016)

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