「ご確認のほど」の「ほど」とは? 意味や正しい使い方を解説

2024/06/17

ビジネス用語

「ご確認のほど、よろしくお願いいたします」は、書類などを確認してもらいたい場合の敬語表現です。日常的なメールや打ち合わせで、よく使う言葉ですね。「ご確認、よろしくお願いいたします』でよさそうなのに『ほど』って何?」と思ったことはありませんか。「ご確認のほど」の意味はもちろん、どのような場面で使えるか、用途に合わせた文例も紹介します。

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「ご確認のほど」とは?

「ご確認のほど」とはどういう意味でしょうか。「ほど」にはどんな意味があるのか、調べてみましょう。

「ご確認のほど」の意味

「ご確認のほど」を分解すると、「ご+確認+の+ほど」となります。

・ご=「尊敬」の意味を加える接頭辞。
・確認=名詞。「そうであるかどうかはっきり確かめること」の意。
・の=格助詞。続く体言が表す「事柄」の特徴を表す。
・ほど=名詞。(「……のほど」の形で)こと・具合・様子などをいう。かな書きが多い。
(参考:『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)


「……のほど」は、「……のこと・具合・様子」という意味です。また、それぞれの語句を合わせた「ご確認のほど」は、「お確かめのこと」という意味になります。さらに「ご確認のほど、よろしくお願いいたします」と続けると、「その具合や様子を確かめるようお願いする」という意味を丁寧に表すことができます。

「ご確認を」でも良いようなものですが、特に目上の相手に対しては断定する言い方を避けたいことがあります。その場合、「のほど」というあいまいにぼかす表現を使うことで、印象をやわらげることができるのです。

「ほど」は漢字?ひらがな?

「ご確認のほど」の「ほど」は、漢字で「程」と書いても同じ意味です。どちらでも問題はありません。ただし、公用文や、公用文に準じる文書では、ひらがなの「ほど」を使うほうが良いでしょう。文化庁による『公用文作成の考え方』では、次のように助詞の「ほど」をかな書きにすることが推奨されています。

(3)常用漢字表に使える漢字があっても仮名で書く場合
書き表そうとする語に使える漢字とその音訓が常用漢字表にある場合には、その漢字を用いて書くのが原則である。ただし、例外として仮名で書くものがある。 ア 仮名で書く 助詞 例)位→くらい(程度) 程→ほど(程度)
(『公用文作成の考え方』文化庁)


また、漢字と仮名、いずれの場合でも同一文書の中では統一するように気をつけます。

「ご確認のほど」を使う上での注意点

「ご確認のほど」の「ご確認」は、尊敬語であるため、目上の人に確認してもらいたい時に使います。そのため、その後に続く言葉でも「よろしくお願いいたします」など相手に敬意を示す表現を使うほうが文全体のバランスも整います。

「ご確認のほど」を使ったビジネスフレーズ・例文

「ご確認のほど」はビジネスシーンでよく使われる表現です。クッション言葉を併用したり、後半のフレーズを工夫したりするなど、「ご確認のほど」を使った言い回しは、いろいろあります。以下にいくつか例文を紹介します。用語を適宜入れ替えたり、組み合わせたりして使ってみましょう。

以上、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

メールの最後に、締めくくる表現として使われる、頻度の高い表現です。「以上」は、「ここまで書いたことを」という意味です。この一文があることで、受け取った相手に念のためメール全文を確認する行為を促すことができます。

ご多忙とは存じますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

忙しい相手に対して「ご多忙とは存じますが」とクッション言葉を付け加えることで、配慮する姿勢を表しながら、確認を依頼する表現です。

お忙しいところ誠に恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

「ご多忙のところ誠に恐縮ですが」のクッション言葉を和語による言い回しでやわらかく表現しつつ、確認を促すフレーズです。

誠にお手数ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

「誠にお手数ですが」は相手に手間をかけて申し訳ない気持ちを表すクッション言葉です。特に何度もやりとりしている中で、相手の手数を増やしてしまうような場合にふさわしいフレーズです。

見積書を添付いたしました。ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。

「見積書」の部分に「企画書・領収書・納品書」など確認してもらいたい書類名を入れるとよいでしょう。さまざまな書類をメールで送る際に使える表現です。

今回の依頼書を同封しております。ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。

「依頼書」の部分に確認してもらいたい書類名を入れると、さまざまな紙の書類を同封する時、添状の一部に使えます。

ご確認のほど、何卒よろしくお願いいたします。

「何卒」は相手に強く懇願する気持ちを伝える言葉です。「ご確認のほど」とやわらかい表現を使いつつも、依頼の気持ちをしっかり伝えることができます。

「ご確認のほど」の類義語・言い換え表現

「ご確認のほど」と同じような意味を持つ言葉やフレーズを以下に挙げます。どれもビジネスメールや文書でよく使われる慣用句です。ニュアンスを踏まえて使い分けてみましょう。

ご検収のほど

読みは「ごけんしゅうのほど」。「検収」は「納品された品の数量や品質などを確認して受け取る」という意味です。詳しく確かめる必要がない場合には使いません。

ご査収のほど

読みは「ごさしゅうのほど」。「査収」とは「よく調べて受け取ること」。納品物や書類などを精査して受け取ってもらいたい時によく使われます。細かく確認する必要がない場合には使いません。

お目通しのほど

読みは「おめどおしのほど」。「目通し」とは、「初めから終わりまで一通り見る」という意味です。一部を見てもらうだけでよい時には使いません。

ビジネスで必須の「確かめる」という作業

ビジネスは、一人では成り立ちません。商品やサービスを扱い、それをやりとりする上で、相手に「確認してもらう」という作業はとても大切です。それだけに「確認してもらいたい」という意味のフレーズは今回挙げたように、実にさまざまです。相手の立場や状況に応じて、適切な言葉を選び、より良い関係性を育んでいきましょう。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

【著者】前田めぐる(文章術講師)

コピーライターとして「言葉と文章」に関わり続けてきた経験をもとに、企業・自治体・団体向け広報講座の講師を務める。ワークを取り入れた文章術研修では‘伝える’を‘伝わる’に変換する文章の書き方を伝授。「楽しくて分かりやすく、すぐ実務に活かせる」と定評がある。

執筆・ライティングの専門領域は、【言葉・敬語・文章術・マーケティング・リスクコミュニケーション】。公益社団法人日本広報協会広報アドバイザー、文章術講師。著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』など。京都在住。

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