2021年03月17日 更新
100年前の家具を実用使いに!「GEOGRAPHICA」ではじめるイギリスアンティーク家具
深みのある色とツヤのあるアンティーク家具、曲線の美しい照明などが4フロアにわたり展示されている「GEOGRAPHICA(ジェオグラフィカ)」。イギリスで代々受け継がれてきた家具、照明、雑貨や古書など……品揃え豊富なGEOGRAPHICAをご紹介します。
アンティーク家具と聞くと「高そう」「わたしにはまだちょっと早いかな…」「お手入れが大変そう」なんて思ったりしませんか?
でも、今回訪れた「GEOGRAPHICA(ジェオグラフィカ)」のスタッフさんと話していくと不安が解消されて、俄然アンティーク家具が欲しくなってきたんです! アンティーク家具の楽しみ方やお買い物のコツをGEOGRAPHICAのダイレクター・岡田さんにお聞きしました。
GEOGRAPHICA ダイレクター 岡田明美さん
初めてのアンティーク家具はお手ごろ価格の商品で
インテリアショップが立ち並ぶ目黒通沿いにある「GEOGRAPHICA」は、アンティーク家具をメインに取り扱う西洋アンティークの総合ショップです。店舗は地下1階から地上3階まで4フロアにわたりアンティーク家具、照明に加え雑貨や古書も品揃え豊富で見ていて飽きません。
岡田さん
まず、アンティーク家具と聞いて気になるのはお値段ではないでしょうか。実際は、お手ごろ価格のものからハイクラスなものまで、値段にはかなりの幅があるんです。
さっそく岡田さんにアンティーク家具初心者さんでも取り入れやすいよう、お求めやすい商品を中心にセレクトしていただきました。まずはこの3点!
岡田さんセレクトのテーブル&マガジンラック&チェア
波打つ曲線とツイストが魅力のテーブル
いろいろな使い道のあるテーブルなので、商品名には多様性という意味を持つオケージョナル(occasional)が付いています。オーク材で1930年代頃のもの。波打つような天板のふちとツイストの脚が美しく花台にしてみたり、PCデスクにしてみたりとライフスタイルに合わせた使い方ができます。
歴史の重厚感をまとったマガジンラック
ソファや作業テーブル、ベッドの隣に置けばマガジンラックとテーブルの両用ができる優れもの。上がテーブルになっているマガジンラックは珍しいそう。こちらもオーク材で1960年くらいの商品。小ぶりなアイテムなので部屋に取り入れやすいですね。
装飾からイギリス文化の歴史を感じる一脚
イギリス家庭のダイニングで、家族が食事をする際に使われていた椅子。食卓用に複数揃えてもいいし、デスク用に1脚だけ購入するのもいいですね。
岡田さん
この椅子はスピンドルチェアとも呼ばれているんです。“スピンドル”とは糸を紡ぐ際に使う糸巻きを意味します。椅子の背板をよく見ていただくと、糸巻きのシルエットが装飾として模されているんですよ。イギリスの産業革命を後押ししたともいわれる紡績の歴史を感じさせてくれますね。
使える日を夢見て、憧れの家具にリストアップ!
次にご紹介するのは、憧れの一脚として心にとめておいていただきたい椅子です。アンティーク家具を始める際、思い切って一脚目の椅子にしてみてもいいかもしれません。
部屋をエレガントにしてくれる一脚です。1890年代、ヴィクトリアン時代に製造されたもので女性に人気のアイテム。座面は修復の際、新しい布地に張り替えています。
岡田さん
座った人を優しく包み込み慈しんでくれるような椅子です。お客様のおもてなし用にしても、自分用としてベッドサイドやリビングに置いてもいいと思いますよ。
アンティーク家具は歴史を感じ、自由な発想で使ってみよう!
一般に、アンティーク家具は1930年代より前に作られたものを指します。GEOGRAPHICAはアンティーク家具を中心に、1940年代以降のヴィンテージ家具も入荷し、幅広い商品をそろえているそうです。
イギリスのアンティーク家具は、作られた時代によってデザインの特徴が異なるそうです。家具の名前には製造された時代の王様の名前がついていて、イギリス王制が市民の生活に影響を与えていたことがよくわかります。
岡田さん
ひとつひとつの装飾の意味や家具がどんなふうに使われていたかを知ると、その国の生活背景や文化が見えてきてとてもおもしろいんですよ!
いろいろ見るうちにアンティーク家具がほしくなってきたけど、自分の部屋に置くと浮いてしまいそう……。そんなときは、たとえば椅子の座面の布地に合わせて、カーペットやカーテンの色、柄を合わせるとなじんでくるそうです。照明も、青白いものではなく、温かみのある暖色系の電球色に変えてみると家具の色やツヤ、深みが引き立ってくるそうなので試してみたいですね!
岡田さん
「テーブルは作業をするもの」「椅子は座るもの」といった固定概念は取り払って、自由な発想で使ってみてください。椅子を花台にしたって、テーブルにしたっていいんですよ。
商品はバイヤーが自社で買い付けをしていて日本の家庭に合うサイズを中心に輸入しているので、使いやすいと思います。アンティーク家具をご自身の生活に心地よく取り入れてください。
100年前の家具を現代によみがえらせる修復技術
アンティーク家具を知ってもらうためにお店をオープン
GEOGRAPHICAは17年前、目黒にオープンしました。もともとは、輸入、修復、卸をしていたアンティーク家具専門商社の株式会社オルタネイティブがデパートに出店したことをきっかけにその後も自社で販売するようになっていったそうです。
アンティーク家具はさまざまな種類があり、数点では語り切れない歴史やおもしろさを秘めています。「お客様には一度にたくさんの家具を見ていただき、アンティーク家具を楽しんでもらいたい」というオーナーの想いから現在の店舗が建てられました。
アンティーク家具は再生可能な一生もの
家具はイギリスで買い付けされたあと、海上コンテナに積まれて日本に輸入。横浜にある自社の修復工房「港北ファクトリー」に運び込まれると、一度すべて解体してから組み直されていきます。作業をするのは、修理を専門とする日本人の修復士たち。アンティーク家具の修復に必要な専門の知識と技術は、ベテランから若手の修復士に脈々と受け継がれているそうです。
岡田さん
ご来店が難しい遠方の方はオンラインショップをご利用いただくことが多いのですが、高い確率でリピーターになってくださいます。その理由がGEOGRAPHICAの強みとしている修復技術です。
お店で販売しているアンティーク家具は美術品としてではなく、実用使いできるクオリティに仕上がっていますから歴史の味わいを残しながらも新品同様にご家庭でお使いいただけます。
アンティーク家具は現代の家具とは異なる塗装をしているため、熱いマグカップを置いたり水滴のついたコップを置いたりするとシミになります。少し気を付けて使うときれいな状態を保てますが、長く使って気になるような状態になったら塗り替えもしてもらえるそうです。
岡田さん
使い捨てられていく家具が多いなかで、アンティーク家具は修復をしながら100年以上使われています。そんなふうに家具は再生可能であるということを含めて、みなさんに知ってもらいたい。そして家具を代々受け継いで大切に使い、壊れても捨てずに修理をするというヨーロッパの文化を楽しんでみていただければ嬉しいです。傷やシミも欠点ではなく味わいとして楽しんでみてはいかがでしょうか。
店内にはカフェ&レストラン「イル・レヴァンテ」もあるので、休日にお買い物がてらぜひ立ち寄ってくださいね。
まとめ
最近は、お店のInstagramを見たり、ドラマで出てきたアンティーク家具に興味を持ったりして若いお客様の来店が増えているそう。取材中も熱心に家具を見る幅広い層のお客様がいらっしゃいました。力まず他国の文化に触れる機会としてお店に行ってみると、意外な出会いや発見があるかもしれません。
取材協力
GEOGRAPHICA
【住所】東京都目黒区中町1-25-202
【電話番号】03-5773-1145
【営業日】ショップ11:00~20:00、カフェレストラン11:30~22:00(ラストオーダー21:00)
定休日:第1・3水曜日、年末年始
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