シャボン玉を飛ばすだけで、人はつながる――「京都シャボン玉飛ばし隊」が生む笑顔の時間

学生の窓口編集部

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シャボン玉を飛ばす――そのシンプルな行動から、人と人とのつながりが生まれています。京都を拠点に活動する「京都シャボン玉飛ばし隊」は、大学も学年も異なる学生や社会人が集まって、人々にシャボン玉パフォーマンスを届けています。誰かのために頑張るのではなく、自分たちも笑顔で楽しむこと。その姿勢が、自然と周囲の心をほどいていくようです。

京都シャボン玉飛ばし隊って?

京都シャボン玉飛ばし隊は京都発のシャボン玉パフォーマンス集団。2022年、代表の西川智宏さんが「コロナ禍で失われた笑顔を取り戻したい」という思いから立ち上げた団体です。西川さんの母校である龍谷大学の学生のほか、近畿地方の大学生、社会人ら約100名が所属しています。今回、西川さん、学生メンバーの森國菫子さん(龍谷大学/京都シャボン玉飛ばし隊龍大支部・代表)、高松莉子さん(龍谷大学/京都シャボン玉飛ばし隊龍大支部・副代表)、西森志帆さん(関西大学)、武下瑞季さん(龍谷大学)にお話をうかがってきました!

――どのような経緯で「京都シャボン玉飛ばし隊」が生まれたのですか?

西川さん

最初から団体で活動しようと考えたわけではなく、私一人で始まったことでした。ちょうどコロナ禍の時期で、私自身、自粛生活のなかで外に出られなくなり、家で過ごす時間が増えていました。もともと休みの日は外に出るタイプだったんですけど、行く場所もなくなってしまって。
そうしたときに、たまたまYouTubeでシャボン玉のパフォーマンスを見たんです。「これ、家の近くでもできるんちゃうかな」と思いました。それで、見よう見まねで道具を作って、近所でシャボン玉を飛ばしてみたのが始まりでした。そしたら、犬の散歩をしている人とか、買い物帰りのおばあちゃんとかがわざわざ足を止めて写真撮ったり、子どもがシャボン玉を追いかけて走り回ったりしてくれた。その様子を見て、「あ、これって、ちゃんと人を笑顔にしてるな」って思ったんです。
そこからですね。「これ、一人でやるより、もっと人がいたら楽しいんちゃうかな」と考えました。

――お一人からスタートし、メンバーを募っていかれたのですね。

学生と一緒にやろうと思ったのは自然な流れでしたね。京都って学生が多いですし、シャボン玉って子どもが喜ぶから、教育学部とか、保育士を目指している学生なら興味持ってくれるんじゃないかと思いました。最初はインスタに動画を上げて、「一緒にやりませんか」と声かけるところからでした。
気づいたら、大学も学年もバラバラな学生が集まって、今は100人を超える団体になりました。9割以上が大学生ですね。

“自分たちも楽しみながら”がモットー

――団体の代表として大切にしていることはありますか?

運営で一番大事にしているのは、参加のハードルをとにかく下げることです。ボランティアって聞くと、「責任重そう」「休まれへんのちゃうか」って思われがちですが、それで来てもらえないのはもったいないと思って。急に予定入ったら、当日キャンセルもありだし、忙しい時期は無理しなくていい。参加できる人が、参加できるタイミングで来てくれたら、それでいいんです。

――「京都シャボン玉飛ばし隊」として、大切にしている理念や軸は何でしょうか?

大切にしている軸は、「自分たちも楽しみながらできる社会貢献」です。誰かのために我慢するボランティアではなく、自分たちが楽しんでいるからこそ、その空気が自然と周囲に伝わり、笑顔が生まれる――その状態を何より大切にしています。

シャボン玉を通して届けたい価値は、元気な人をさらに元気にすることだけでなく、気持ちが沈んでいる人でも、ふと空を見上げて笑顔になれるような時間をつくること。言葉がなくても、説明がなくても、ただ同じ空間・同じ時間を共有することで、人の気持ちが少し軽くなる。その“自然に生まれる変化”こそが、社会に届けたい価値だと考えています。

―――パフォーマンスやボランティア活動で、特に大切にしている“こだわり”や“ルール”があれば教えてください。

子どもを絶対に怪我させないことです。シャボン玉って、どうしても子どもが夢中になって追いかけてしまうんですよね。だから、道具の使い方や人との距離、動線の取り方は、常に意識しています。楽しい思い出として残ってほしいからこそ、その裏側で事故が起きないことは、絶対に譲れない部分です。また、大人の方が不安に感じたりしない空間づくりも大切にしています。「楽しかったね」で終われる時間にしたい、というのが一番ですね。
道具やシャボン玉液もすべて手作りですが、割れにくく見た目にも美しいシャボン玉をつくるために、半年は研究しました。

たくさんのシャボン玉を一気に飛ばすことができる、手作りの道具

言葉がなくても縮まっていく、心の距離

――活動の中で「これは忘れられない!」というエピソードや「やっていてよかった」という瞬間があれば、ぜひ教えてください。

森國さん

児童養護施設で活動したときのことは、今でもすごく印象に残っています。一人、気になる男の子がいたんです。こっちが声をかけても、あんまり反応がなくて。近くには来るけど、一歩引いたところから様子を見ている感じでした。正直、どう関わったらいいのか、少し迷ったんです。
でも、無理に何かをさせるんじゃなくて、同じ場所で、同じシャボン玉を飛ばしているうちに、少しずつ距離が縮まっていって。気づいたら、自分から近づいてきてくれて、話してくれるようになりました。
そのとき初めて、ボランティアって「何かをしてあげる」ことじゃないんだなって思ったんです。同じ時間を一緒に過ごすこと自体に、ちゃんと意味があるんだなって。
言葉がなくても、同じ空を見上げて、同じものを見ているだけで人は繋がれるんだと実感しました。

高松さん

私は、小さい子どもに向けた活動に参加することが多いんですけど、最初は遠くから様子を見ているだけの子も結構いて。表情が少し固かったり、知らない人がシャボン玉を飛ばしているから、どう関わっていいか分からない、みたいな感じの子もいます。
でも、近づいてきて、一緒に体験するような形でシャボン玉を飛ばす時間ができると、少しずつ距離が縮まっていくんですよね。
最初からワクワクしてくれている子もいれば、最初はちょっと緊張している子もいるんですけど、その中で、ふっと表情が変わる瞬間があって。ワクワクしている子は、さらに笑顔になってくれたりして、その瞬間に「あ、やっててよかったな」って思います。
そういう変化って、子どもだけじゃなくて、一緒に見ている保護者の方や、児童館の先生も一緒に喜んでくれるんです。「いい写真が撮れました」って言ってもらえることもあって、それもすごくうれしいですね。
人の表情がやわらぐ瞬間って、ずっと見ていると自然と分かるようになってきて。そういう瞬間に立ち会えることが、やる側としての大きな喜びだなって思っています。

気づけば人が集まっていた、シャボン玉の力

西森さん

私は高校生のときからこの活動に参加しているんですけど、公園で一人で練習していたときの出来事が、すごく心に残っています。ただシャボン玉を飛ばして練習していただけなんですけど、そこにいた子どもたちが、楽しそうに見てくれていて。それからしばらくして、その公園の近くを通ったときに、「シャボン玉のお姉さん」って声をかけられたんです。その一言がすごくうれしくて。ちゃんと地域の中の一人として覚えてもらえているんだって思いました。
大学に入ってからも、自己紹介で「シャボン玉やってます」って言うと、絶対に「なにそれ?」って聞いてもらえるんですよね。ありきたりな趣味じゃなくて、人の印象に残る活動ができていることが、自分の自信にもなっています。
シャボン玉って、人とつながるきっかけを自然につくってくれる存在だなと感じています。

武下さん

私が初めて参加したときに感じたのは、「シャボン玉って、こんなに人を引き寄せるんだ」という驚きでした。イベントでもなくて、ただ公園の端で練習していただけだったんです。 それなのに、気づいたら子どもが集まってきて、そのうち大人の人も立ち止まって見てくれるようになって。
大きなシャボン玉を飛ばした瞬間に、「わー!」って歓声が上がるんです。その場にいた人たちって、本来なら一生関わることがなかったかもしれない人ばかりで。でも、その一瞬だけ、みんなが同じものを見て、同じ気持ちになる。「きれい」っていう感情を共有できる時間が生まれるんです。
シャボン玉って、人を集めようとしなくても、自然と人が集まって、一体感を生んでくれるものなんだと思いました。

シャボン玉の価値を掘り下げたい

――今後、どんな展望をお持ちですか?

西川さん

この活動を通して、大学生だけでなく、大学の先生とつながる機会が増えてきました。シャボン玉は「子どもの遊び」というイメージが強いですが、それをきっかけに、大学で登壇したり、心理学部や社会学部の講義に呼んでもらったりすることもあります。社会学の分野では、シャボン玉を飛ばすだけで人が集まり、自然とつながりが生まれる点に関心を持ってもらっていますし、最近では、芸術系の大学から「シャボン玉パフォーマンスを芸術として捉え、共同研究したい」という声も出てきています。
もともとは、人を喜ばせたいという思いから始めた活動ですが、これまでに生まれたつながりを生かして、学術や芸術の分野にも広げていきたい。シャボン玉が人の気持ちや地域社会にどんな影響を与えているのか、その価値をもう一段深く掘り下げていきたいと考えています。

――最後に、みなさんにとって“シャボン玉”とはどんな存在になっていますか?

西森さん

私にとってシャボン玉は癒しの存在です。初めて見たときから気持ちが落ち着いて、今でも疲れたときに動画を見るくらい。それを友達と一緒にやると、周りにも楽しさや笑顔が広がっていく。自分の中にも、周りにも、自然と笑顔を広げてくれる“媒体”みたいな存在だと思っています。

森國さん

シャボン玉は、言葉がなくても人と人をつなげてくれる存在です。何か特別なことをしなくても、同じ空の下で同じ時間を過ごすきっかけをつくってくれる。年齢や背景を知らなくても、自然につながれるのがシャボン玉だと思います。

武下さん

私にとってシャボン玉は人とつながるきっかけそのものです。シャボン玉が好きで、社会貢献にも興味があって参加しましたが、気づけばメンバーとの出会いや、いろんな交流につながっていました。学びにもなっていて、感謝の気持ちを持つ存在でもあります。

高松さん

心理学を学ぶ立場として、シャボン玉は“言葉がなくても笑顔が広がるコミュニケーション”だと感じています。活動を通して、私自身も元気をもらっていて、シャボン玉は心の栄養みたいな存在ですね。

――ありがとうございました!

取材を通して感じたのは、シャボン玉が生み出しているのは特別な出来事ではなく、人の気持ちがふっと軽くなる時間なのだということでした。 学生のみなさんの言葉からは、同じ空を見上げ、同じ時間を過ごすことの大切さが伝わってきます。シャボン玉はすぐに消えてしまう。それでも、その一瞬が誰かの記憶に残り、また次の笑顔やつながりへと広がっていく。京都シャボン玉飛ばし隊の活動は、そんな小さくて確かな変化を、今日も静かに生み出しているに違いありません。

⇒「京都シャボン玉飛ばし隊」Instagramアカウント
@shabondama_performer

⇒「京都シャボン玉飛ばし隊龍大支部」Instagramアカウント
@ryukoku_shabondama


文・編集:学生の窓口編集部

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