【服飾奮闘記1】服づくり素人の大学生が、半年で“ファッションショーのLOOK”を作るまで|Keio Fashion Creator

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こんにちは!Keio Fashion Creatorです。
Keio Fashion Creatorは、学生が一から服を作り、毎年ファッションショーを開催する服飾団体です。

「服を通して社会に問いを投げかける」——そんな熱い想いを持った個性豊かなメンバーが集まっています。

そんな中で僕は、服作りを担当する一部員として活動してきました。
服を作ったこともなかった僕が、ショーに向けて半年間取り組んだ記録を、4回にわたって紹介します。

服作りに興味がある人、将来デザインを学びたいと思っている高校生の参考になれば嬉しいです。

実際に制作したLOOK

2024年度のファッションショーのタイトルは「How to Dress Love?」。
「愛」という、普遍的でありながらもその価値が見えにくいものをテーマに開催されました。

このタイトルには、単に「服を着る(dress)」という意味だけでなく、「愛を身にまとい、表現する」という意図が込められています。

服をただの装飾品としてではなく、愛を装う手段として捉え、“どのように愛を形にできるか”を探求する。それが、昨年のショーの意義でした。


そんな中、僕はLook1「いつかまた、花を摘もう。」Look42「道徳を排する。」という2体の衣装を制作しました。

※LOOKの全体像は【こちら】

左がLOOK1、右がLOOK24。全身像出し渋っても意味ないんですけどね。

はじめてのワンピース制作

ミシンを買ってウキウキだった僕は、さっそく「原型」や「ダーツ」といった言葉に出会いました。

こんな感じのもの

これが「原型」です。BL=バストライン、WL=ウエストライン、CF=前中心、CB=背中心……と、記号もいっぱいで最初は「なんじゃこりゃ」と。
でも、黒い部分を折り紙みたいにたたんでいくと、ちょうど人体の凹凸に沿う形になるんです。
つまり、円錐をつくるような要領で、布を立体的にする——それが服作りの出発点なんです。

僕がちゃんと学んだ理論的なことはこのあたりまで。
逆に言えば、この知識さえあれば、これから紹介するようなショーピースも作れちゃうということです。

6月、いよいよ初めての服作りが始まりました。
最初の課題はワンピース。制作期間はおよそ2か月。
長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれですが、活動は週1回・4時間程度。平日は普通に大学があったため、初心者には「ちょうどいいけど、ちょっと厳しい」くらいのペース感だったと思います。

さすがに袖や襟のついたデザインは難しい(今でもむずかしい)。というわけで、比較的シンプルな「軽めの原型操作」で作れるものにしました。

コンセプトは特になくて、ただただサテンの生地を使ってみたいとい気持ちから制作をスタート。

生活感満載ですみません...。

脇や後ろを見てもらうと分かるのですが、腰あたりから裾にかけて、燕尾服やサイドベンツのジャケットをイメージしてベント(切れ込み)を入れています。
見た目はちょっと凝っているように見えますが、原型操作はほとんどしていないので、実はかなり簡単です。

さて、僕としては、クラシックに左のような着こなしをイメージして作ったつもりだったのですが…。

最終的にこの服を着たのは、なんとヒゲが印象的な比較的ごつめの男性モデル!

※同じ服です。

これはこれでダークでとても良い。
まさか着る人によってこんなにも洋服の印象が変わるとは…。これこそ、服作りの最大の楽しさだと感じました。

ショーピースの仮縫い制作(前編)

第1回トワル作成~シャツドレス編~

8月後半、いよいよ12月のファッションショーに向けた制作が本格スタート。
とはいえ、いきなり本番の生地で作って失敗してしまっては元も子もないので、まずは安価な布を使って「仮縫い(トワル)」から始めます。

デザイン画1

これが最初に描いたデザイン画です。美大生でもなんでもないので、絵のクオリティにはご容赦を。

コンセプトは「シャツドレス」。
できるだけ堅く、拘束されているように見えて、かつスカートでボリュームができるようなデザインにしました。
(コンセプトの詳細は、別の番外編記事【服飾奮闘記】で書く予定です!)

先生からは「襟と袖は難しいのでは?」とやんわり注意されましたが、ひとまず無視。
「難しかったらそのとき考えればいいや」と軽いノリで作り始めました。

「仮縫い(トワル)」1 チェ・ホンマンでも余るんじゃないかと思わんばかりの着丈

できあがった仮縫いがこちら。
服飾経験のある方ならわかると思いますが、なんと袖の汚いことか。縫い目もかなりひどい仕上がりに。

でも、これは僕にとって人生初の袖作りで、しかも肩パッド入り。
今振り返ると、初心者にとってきれいに作るのはほぼ不可能だったと思います。

ですが、当時の僕はそんなことどうでもよかったので、むしろ「ちゃんと形になってる!」と満足してました。
いや、正確には——5回くらい作り直して、疲れ果てて満足したことにしただけかもしれません。

いきなりシャツの型紙を一から作るのは難しすぎたので、セカンドストリートなどの安い古着屋さんでシャツを何着か購入し、解体してパターンを勉強しました。

この「解体勉強法」、本当におすすめです。
既製品はプロが着心地やデザインを考えて作ったものなので、複数のパターンを比較するだけでもかなりの情報量。
学校で体系的に学ぶことが難しくても、こうした方法で服作りに触れることは十分可能です!


この時点で9月初旬くらい。結構順調?……だったんですが——。

さて、いつものようにインスタを徘徊していた僕は、ある日、ものすごくカッコいいジャケットに出会ってしまいました。

それを見た瞬間、どうしてもジャケットを作りたくなってしまったんです。

結果、冷静さを欠いた青年は、この仮縫いをあっさり没にしてしまいました。

周りに相談すれば止めてもらえたかもしれないものを、何も言わず独断で進めてしまった僕は、誰にも止めてもらえなかったのです。

やはり、報・連・相って大事ですね。これは社会に出てからも変わらない、服作り以前の大切な教訓です。

第2回トワル作成~前時代的ジャケット編~

ジャケット欲に溺れた9月の僕は、衝動に駆られてセカンドストリートへ直行。
1000〜3000円のジャケットを3着買い込み、さっそく解体して型紙の勉強を始めました。

……が、ジャケットになった途端パーツ数が爆増
体感で言えば、シャツの3〜4倍くらいあります。まあまあ大変でした。

「仮縫い(トワル)」2

9月末、ようやく完成したトワルがこちら。デザイン画はどこか彼方へ飛んでいきました。
何度も何度も作り直したんですが、やっぱり袖はきれいにならない。

でも、デザイン自体はいまでも結構気に入っています。
当時目指していた「前時代的」な雰囲気も、ある程度は出せたんじゃないかと思います。

ディテールとしては——

●襟は左右非対称。片方は下襟の先が上向きに尖った(ピークドラペル)テーラード、もう片方はシャツ襟風。
●テーラード側には折り返し線に沿ってフリルを配置。フロントは古めかしい安全ピンで好きな位置に留められる仕様。
●背中はコルセットをイメージした構造に。
●裾はバルーンスカートのように内側に少し丸く入り込むデザイン。


10月頭には、モデルに仮縫いを着せるフィッティングの日程も控えていたので、先生にこのトワルを見せに行きました。

すると――予想はしていたけれど、想像をはるかに超える致死量のダメ出しをくらいました。
やはり、問題は袖と襟。

日常的に着られるような、実用的なアイテムに近づけば近づくほど、どうしても縫製の粗さやパターンの雑さが目立ってしまいます。
さらに、ジャケットはそもそもアイテムとしての難易度が高く、独学にはあまり向いていないジャンル。

そのぶん、服飾のプロである先生には至らない点がよりはっきり見えてしまったんでしょう。

逆に、意味不明なドレスやコンセプチュアルであれば、明確な“間違い”がないぶんダメ出しは少ない。でもそれはそれで、美的センスが問われるわけで……結局は紙一重の世界なんですよね。

総じて、服作りとは本当に難しいものです。

とはいえ、モデルフィッティングまで残り2週間。
まだ下に履くスカートなんて何も作っていない。
ジャケットは先生の修正を通して一から作り直し。

「仮縫い(トワル)」3

冷や汗流しながら、徹夜して何とか間に合わせたのがこの「改訂版ジャケット」。

主な変更点としては、

  • ●襟は立てることで粗を目立たなくする
  • ●とんがりフードを追加して雰囲気UP&襟の粗隠し
  • ●フリルの量を調整
  • ●袖は潔く外す(僕にはまだ早かった)

スカートはシンプルな形にして、そこにバラやフリルを感覚的に追加
調整の余地しかないですが、制作時間が2日間しかなかったので、これが限界。完成したのは、モデルに着せる3時間前というギリギリっぷりでした。

締め切りってなんであんなに心臓に悪いんですかね。「ヒヤリ・ハット」って言葉がありますが、まさに服飾界のヒヤリ・ハット体験でした。

なんとかモデルフィッティングを終えた僕は、もうやめてしまおうかと思うと同時に、終わった一時の解放感に浸かるのでした。



次回は、さらなる迷走へ——
10月の僕が2着目に手を出すところから始まります。お楽しみに!

文/TAKUMI HIROFUJI(Keio Fashion Crearor

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