意見や感情を言語化できず、コミュニケーションで支障が出るのは“トラウマ”が原因?『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』#Z世代pickブック
こんにちは! Z世代ブックピッカーのひっき(出版甲子園実行委員会所属)です。
自分の気持ちは自分が一番よくわかると思っていても、ときどき自分の気持ちがわからなくなったり、気持ちがうまく表現できないときがあります。中には、その背景に“トラウマ”がある人も……。
今回は「感情へのトラウマの影響」について、公認心理師・みき いちたろう氏の著書『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)よりお届けします。
自分の感情がわからない、うまく表現できない
トラウマの影響として、自分の感情がよくわからなくなる、感情表出がうまくいかなくなることがあります。感情と表情、態度がうまくつながらなくなるのです。自分の感覚がよくわからず曖昧で自信がありません。
自分の意見を言う場合もまず「普通はどうなのか?」「ほかの人はどう感じるか?」ということを反射的に考えてしまいます。他人の考えを忖度することが無意識に行われます。自分で何かを決めることもとても苦手で時間がかかります。何が好きか嫌いか、を判断することも苦手です。
過去に素直な感情を出すことを揶揄されたり、制限されたりといった経験や加害強迫などの影響から、例えば怒るべき状況で怒れない、怒りたくても怒れない、ということもよく見られます。怒りが自然な感じで表出されず、追い込まれてキレるようにしか怒れない。反対に怒りが出ず、笑いとなって現れたりするようなこともあります。
イメージできても言語化できない
また、トラウマを負うと、トラウマ体験を想起した際に脳の言語野が機能低下することがわかっており、自分の状況や体験についてイメージが湧いてもうまく言語化できなくなります。自分の生きづらさや悩みを家族や知人に伝えることが困難になることも生じます。さらに、自己の喪失の影響もあり、自分の意見や感情を言語化できず日常のコミュニケーションでも支障をきたします。そのことが周囲との断絶感や孤立感をもたらします。
“壊れたロボット”に乗っているような感覚
さらに、自分の考えていることと、相手に伝わることが違うということも生じます。極端に言えば、自分が悲しい、という気持ちがあってもそのように伝わらない。相手に好意があっても嫌いだと伝わってしまう。
何かを言おうとしても、ぜんぜん違う言葉が出てきて驚くなどということも生じます。そのため、「あなたは私のことが嫌いでしょう?」と他人から誤解されたり、喜んでいても悲しんでいても「淡々としているね」と言われたり、自分が思ってもみない評価を受けることもあります。本人もとても戸惑います。
まさに、壊れたロボットに乗っているように外がどうなっているかが見えないような状態です。自分というロボットを操縦しても、自分が意図することと、外に伝わる動作、反応とが一致しないのです。これらがさらにひどくなると「解離」「離人感」といわれる現象になります。
結果として、失礼がないように過剰に気をつけて振る舞うことになってしまい、疲れてしまうのです。このことがさらなる対人関係での苦手さ、過剰適応、自信のなさ、自分の感覚を信頼できないことにつながります。
Z世代ブックピッカーのレビューコメント
トラウマを負うことで、トラウマを想起した際に感情表現できなかったり、うまく言語化できなくなったりするということの説明がわかりやすかったです。自分のことを思うように扱えないことほど自信をそがれることはないと思いますし、そうした影響で、周りの人から誤解されてしまうことが悔しいと思いました。加えて、本来ロボットは感情を持たないのに対し、“壊れたロボット”の状態の人は自分の意志と実際の反応とのギャップに苦しんでいるという本書での表現から、ある種の秀逸さと悲しさを感じました…。
『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』
著者:みき いちたろう 発売:2023年2月17日 定価:1,320円 (税込み)
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
詳細ページ:https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2934-4



























