大人の飲用者が拡大!「ミロ」の可能性を広げる、ネスレ日本のマーケティングの仕事とは?
ヒット商品やサービスを手掛ける企業のキーマンにお話しを伺う企画「#お仕事図鑑」。
今回は「ミロ」のブランド担当として、戦略から製品企画や消費者コミュニケーション企画の立案・実行を行う先輩社会人、中濱 航太さんにインタビュー。営業からマーケティングへの転身、ネスレ日本に入社したきっかけ、そして今後の展望について詳しくお話を伺いました!!
PROFILE

中濱 航太
大麦飲料「ミロ」のブランド担当として、戦略にはじまり、製品企画や消費者コミュニケーション企画の立案・実行に従事。
自ら企画し、立ち上げ、運用をしている「ミロ」公式Xのフォロワー数は2025年3月の段階で19万人。
営業からマーケティングへの転身
ーーまず簡単に自己紹介をお願いします。
ネスレ日本で「ミロ」のマーケティングを担当している中濱 航太と申します。社会人歴は今年で11年目になり、実は以前に一度転職を経験しております。ネスレ日本での勤務歴は3年目になります。趣味は体を動かすことで、最近は筋トレにはまっています。
ーー具体的にどのような仕事をしているのか教えてください。
「ミロ」のマーケティング担当をしており、製品開発や消費者とのコミュニケーション、それに伴う売上や利益の管理を、各部門と連携しながら行っています。私の仕事はブランド全体を管理することで、ネスレ日本のマーケティングは製品開発から消費者との最終コミュニケーションまでを担当し、非常に幅広い領域を扱っています。
そのため、ブランドマネージャーと呼ばれることもあります。一気通貫で川上から川下まで関わるので、社内では製造部門や開発部門のメンバーと協力しています。具体的には、製品の開発をする際にレシピの配分を考える開発のメンバーや、パッケージ関連の部署のメンバー、営業部門のメンバーなどです。社外では、デジタル施策やPRイベントを行う際に、外部の会社とコミュニケーションを取ることが多いです。いろいろな部署や多くの方とコミュニケーションを取りながら仕事を進めています。
ーー中濱さんがネスレ日本に入社したきっかけを教えてください。
私は2022年にネスレ日本に入社しました。前職は別の食品メーカーで営業をしておりましたが、より多くの消費者に役立つ製品を届けたいと考えていました。当時私が担当していた営業の仕事は既存の商品をいかに売るかに重点を置いていましたが、より多くの消費者に喜んでもらえる商品を届けたいと思い、広範囲で商品に関わることができるマーケティング職に挑戦したいと思いました。そこでネスレ日本に入社し、新たなキャリアをスタートさせました。
ーーネスレ日本を選んだ最大の魅力は何だったのでしょうか?
マーケティング職に就きたいと考えた時、ネスレ日本は食品業界でも特にマーケティングが強いと感じました。なぜなら、「キットカット」や「ネスカフェ」、「ミロ」などの多くの有名なブランドがロングセラー製品として市場にある理由として、マーケティング力の強さがあると思っているからです。そのため、ネスレ日本が最も魅力的な選択肢となりました。
消費者ファーストのマーケティング戦略
ーー営業からマーケティングに職種が変わって、その違いをどのように乗り越えましたか?
職種が変わるというのは大きな変化ですし、私の場合転職で会社も変わりましたので、全く違う環境になりました。ネスレ日本に入社した後、業界用語や会社の用語に戸惑いました。わからないことだらけでしたが、悲観的になっても仕方がないと思い、ポジティブに考えること、そして行動することに意識を置きました。分からないことは人に聞き、徐々に慣れていくことができました。周囲のサポートも大きかったです。
ーーマーケティング職に移って、営業職とは違うスキルや考え方が求められると思いますが、どのようなスキルや考え方を大事にしていますか?
マーケティングの仕事では、消費者のことを最優先に考えることが何よりも重要です。プロジェクトを進める中で各部署や小売業者からさまざまな要望がありますが、私たちは常に最終的に商品を購入してくださる消費者の視点を持って対応する必要があります。上司に提案する際も、それが消費者の利益になるかどうかを問われることが多いです。
――「ミロ」を商材として食品業界で働く上で、楽しいと感じることや大変だと感じることを教えてください。
食品業界という分野で働く楽しさは、消費者の生活を豊かにできる瞬間に触れられることです。特に「ミロ」は、おいしさだけでなく栄養価値も提供しているため、SNSでポジティブな投稿をしていただいたり、社内のお客様相談室にお客様からの感謝の言葉をいただいたりすることができ、それが大きな喜びです。
一方で、大変なのは、スイス本社がブランドの全体的な管理を行っており、ネスレのブランドを守るために多くのルールや制約があることです。例えば、パッケージのデザイン変更を提案しても、それがルールに反していると認められないことがあります。そういった場合は、感情的なアプローチではなく、消費者のために最適なデザインであると論理的にデータを示して説明します。それによりスイス側も納得することがあります。完全に日本側の意向が通るとは限りませんが、スイスと日本の意見を調整し、お互いに納得できる解決策を見つけ出すことが重要です。
「ミロ」の可能性を広げる仕事
ーー「ミロ」を商材として扱ううえでどのようなことを大切にしていますか。
ミロを扱ううえで特に大切にしていることは、栄養価値をわかりやすく伝えることとおいしさを提供することの2点です。栄養面では、「ミロ」に含まれるミネラルとビタミンをどのように消費者に分かりやすく伝えるかに注力しています。実際に24年9月からは鉄分が不足しがちな女性をターゲットに、「ミロ」に鉄が含まれていることをわかりやすく伝えるため「ミロ オトナの甘さ」のパッケージに「1日分の鉄分」と明記し、一目で「ミロ」で鉄が摂れることがわかるように工夫しています。
また、食品であるためおいしさも同様に重要で、一般的なサプリメントとの差別化をはかるためにも栄養だけでなく、「ミロ」がもつ大麦由来のおいしさも必ず伝えることを大切にしています。
ーー中濱さんがこれまでで一番印象に残っている仕事は何ですか?
入社して間もない頃に、「ミロ」公式Xアカウントを立ち上げたことですね。SNSの立ち上げも運用も初めてで、手探り状態でしたが、社内のSNSチームにサポートをもらいながら行いました。投稿したハッシュタグがトレンドで1位になったり、2年弱で19万人の方にフォローいただいたりと、アカウントを成功させることができ、非常に印象深い経験でした。「ミロ」のブランドを広げるために、SNSを通じて多くのフォロワーとの接点を持つことができることは、大きな成果と感じています。
――仕事をするうえで意識していることを教えてください。
SNSの投稿という面では、0からすべてを考えることはあまりなく、他社の投稿などからエッセンスを抽出して作り上げることが多いです。その際に、一旦考えたものを社内のSNSチームや家族に聞いてみてフィードバックをもらいながら形にしていきます。消費者コミュニケーションという面では、「ミロ」という1つの製品においても、鉄分が多めのものや水で作ることができるものなど消費者それぞれのニーズに合った商品を作ることを意識しています。
ーー今後のお仕事の展望について教えてください。
「ミロ」としては、大人の飲用者をさらに広げていくことを目指しています。そのために大人の方々が「ミロ」を手に取りたくなるコミュニケーションや製品開発を強化して、より広い消費者層に「ミロ」を楽しんでもらうことを目指しています。今後は、ネスレ日本の他のブランドでのマーケティングも担当してみたいと考えており、より多くの消費者に価値を提供していきたいと思っています。
取材:秋保 柚月(ガクラボメンバー)
執筆:田中 妃音(ガクラボメンバー)
編集:学生の窓口編集部
取材協力:ネスレ日本