TOKYO MX朝の生放送・報道情報番組のプロデューサーが語る仕事の魅力
ヒット商品やサービスを手掛ける企業のキーマンにお話しを伺う企画「#お仕事図鑑」。
今回は「TOKYO MX」で働く先輩社会人にインタビュー。報道局報道部で「堀潤モーニングFLAG」を担当している齋藤伊武輝さんに、日々の仕事内容や働き方のマイルール、社内の雰囲気などについてお話を伺いました!
TV番組のプロデューサーの気になるお仕事内容とは?
――自己紹介とお仕事の内容や1日のスケジュールを教えてください。
TOKYO MXは東京・関東圏で放送している地上波の東京ローカルテレビ局で、9チャンネルで視聴することができます。私は2013年に入社し、2021年春からは「堀潤モーニングFLAG」という朝の報道情報番組を担当しています。
この番組は元NHKアナウンサーの堀潤さんが、政治・経済・事件事故など幅広いニュースをグローバルな視点からお伝えする番組で、番組後半の「激論サミット」というコーナーでは、いま注目すべきニュースや社会課題をトピックに当事者や専門家を交えて議論する番組となっています。2024年から番組のプロデューサーを担当しています。
番組制作の仕事内容ですが、制作スタッフには主にアシスタントディレクター(AD)・ディレクター(D)・プロデューサー(P)などの役職があります。ADの仕事はカンペの用意やニュース資料の情報集め、様々なスタジオ準備など、ディレクターはニュース原稿の作成、VTRの編集などの業務を行っています。番組全体の統括責任者であるプロデューサーの仕事は、ニュース項目決定、出演者のブッキング、放送内容のチェック、番組制作費の管理などの業務を担当しています。
朝の報道情報番組スタッフの仕事スケジュールは、担当業務によっても変わりますが、前日の夜頃からスタートし、深夜から朝にかけて放送に向けての準備を行い、生放送の本番を迎えます。朝担当のスタッフは基本的には昼に寝て夜活動する昼夜逆転の生活となります。
プロデューサーは主に深夜に出勤することが多く、原稿やVTRのチェックを行った後、事前に出演者との打ち合わせを行い、放送本番を迎えます。放送終了後は出演者の送り出し、反省会などを終えて、営業との調整や出演者のブッキング、特番企画の準備などの業務を行い、昼過ぎに勤務が終了するというスケジュールで仕事をしています。
――座右の銘が「熱い心と冷たい頭」とのことですが、それはなぜでしょうか?
「熱い心と冷たい頭を持て」この言葉は、日本人初の国連難民高等弁務官である緒方貞子さんがよく使われていた言葉です。大学卒業の際にゼミの教授から贈る言葉として頂き、今も心に刻んで、仕事に臨んでいます。
常に熱いマインドを持ちながら何事にも取り組み、冷静な行動を心がけよという意味なのですが、これは番組を放送する際にも非常に重要になると考えています。日々ニュースを取り扱う中で、国内外からセンセーショナルな情報やショッキングな映像などが入ってきます。特に近年では、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ・ガザなどの問題に加え、フェィクニュースの問題などもあり、ニュースを取り扱う環境がより複雑になっています。
熱い気持ちを持ちながらも、一時的な感情に流されて情報を伝えるのではなく、その情報が本当に正しいのか、視聴者のためになるのか、誤解を招く表現になってないかなどを考えながら放送に臨んでいます。
――世の中にはたくさんのニュースがあると思うのですが、取り上げる際の軸はありますか?
ニュースを取り上げる際に気をつけていることは、話題になっている出来事の裏側で、見落としている情報は無いかということに気をつけています。最近のニュースでは、政治資金パーティーを巡る裏金事件・「政治とカネ」の問題を取り上げることが多いですが、その一方で国会では重要な法案が可決されていたり、審議が進んだりしています。放送時間が決まっていて、伝えられる情報も限られる中で、そのような見落とされがちな情報を出来るだけピックアップして紹介するようにしています。
また「激論サミット」で議論するテーマは、番組スタッフがアイデアを出し合い、現代社会が抱えている課題や出演者に語ってほしい話題を中心に選定して議論しています。議論テーマについては、出演者がただ批判をしたり、文句を言うのではなく、「どうすれば問題が解決できるのか」「より良いアイデアは無いのか」など、建設的な議論ができるように意識して選定しています。
――近年はSNSの普及などの影響もあり、テレビ局に変革が求められている時代ですが、今後テレビ局はどうなって行くと思いますか?
テレビ局の未来予想は、非常に難しいのですが…。「堀潤モーニングFLAG」ではX(旧ツイッター)の投稿をピックアップして、投稿画面をそのままテレビに映し、視聴者からのご見解やご指摘として、積極的に紹介しています。番組での議論とは別の視点からのご意見・ご指摘や、「◯◯◯の件についてはどう思うのか?」などの質問に答えることで、視聴者と番組の双方向性を高め、より多角的な視点から考えるきっかけになっていると思っています。
2011年にテレビが地上デジタル放送に完全移行し、データ放送が開始され、リモコンにdボタンが付くようになり、テレビの“双方向性”を期待されることも多くなりましたが、まだまだテレビの双方向性を十分に活用出来ているとは思いません。テレビ局の強みである“公共電波”と“視聴者と番組の双方向性”を組み合わせて、それらを活用できるようになれば、テレビ局のあり方も変化して来るのでは無いでしょうか。
――就活をする上で苦労したポイントはなんですか?
就活をする上で、エントリーする企業は自分に合っているのか、この会社で本当に大丈夫なのかと心配になった記憶があります。企業を選ぶ際に、ある程度の企業分析や社員の方の話を聞いたりすることなどは必要だとはと思いますが、実際に就職してみると「あまり心配する必要はなかったな」と感じました。同じ会社の中にも様々な部署があり、働き方や雰囲気なども環境によって全然違います。
私は入社時は編成部で広報や視聴率分析など様々な業務を担当したのですが、その後に希望を出して番組制作の部署に異動しました。デスクワーク中心の仕事から現場の仕事に異動したことで、全く違った仕事環境に身を置くことになり、結果として多くのことを学ぶことが出来ました。
――学生時代はどのような番組を担当したいと思っていましたか?
学生時代は教育関連の勉強をしていたこともあり、教育番組や人の役に立つ情報を伝える番組などを担当したいと思っていました。番組制作の部署では、小中学生がテレビ局の記者となり東京の魅力を取材・紹介する番組や、江戸時代の生活文化などを若者にも分かりやすく伝える歴史番組を担当したこともありました。現在担当している報道情報番組「堀潤モーニングFLAG」でも、視聴者に役立つ情報を日々発信しているので、やりたい方向性は実現できていると感じています。
ーーさまざまな媒体がある中でテレビにした理由はなんでしょうか。
幼い頃からテレビや映画などの映像メディアに触れることが好きだったので、就職先にテレビ局を選択肢として考えていました。平時はエンタメとしての役割を担いつつ、災害時には重要な情報インフラとなる、テレビの間口の広さにメディアとしての魅力を感じましまた。
ーー沢山の選択肢の中でTOKYO MXに入った最後の決め手はなんでしょうか。
最初に“東京のローカルテレビ局”と聞いたとは「何それ?」と思いました。地方のローカルテレビ局のイメージはありましたが、「東京にも地域密着のローカルテレビ局があるんだ。面白いな。」と思いました。
その後、TOKYO MXについて調べてみると、2007年に地上波テレビ局として初めてYouTubeチャンネルを開設していたことや、1つのチャンネルにMX1とMX2という2つのチャンネルをもつ「24時間マルチ放送」という新しい取り組みにチャレンジしていることを知り、面白いテレビ局だなと思い入社を決めました。
――TOKYO MXで働いて良いと感じたことはなんですか?
TOKYO MXは、東京エリアのローカルテレビ局なので、キー局に比べて桁違いに人数が少ないです。現在、社員は130名程度なのですが、人数が少ない分、若い社員に責任ある仕事を任せてもらえる機会が多いです。若手のうちからプロジェクトを任せてもらえたり、番組の企画を担当することなどもあります。また番組制作については、取材・ロケ、VTR編集、企画構成、スタジオワークなど、テレビ放送についてマルチに学べる事も多いと感じています。
ーー最後に大学生へのメッセージをお願いします。
就活は自分がやりたいことについて、じっくり考えるチャンスだと思います。過去を振り返ったり、社会人の話を聞いたりしながら、じっくり自分のやりたいことについて考えて、どのように社会との関わりが持てるかを見出す機会だと思います。また、企業に就職した時点がゴールではなく、社会に出たら色々なチャンスがあるので、将来自分が何をしたいのかをゆっくり考えてほしいと思います。
【番組情報】
TOKYO MX「堀潤モーニングFLAG」(月〜金曜 あさ6:59〜8:30 地デジ9ch)
出演> 堀潤(ジャーナリスト)・豊崎由里絵(フリーアナウンサー)・田中陽南(TOKYO MX)
番組HP>https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
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取材:蒲生杏奈
執筆:亀谷凪沙
編集:学生の窓口編集部
取材協力:TOKYO MX