小倉唯「声優とは違う道も知っておきたいなという気持ちがあった」#18歳のころ
著名人の方々に、自身の18歳のころを振り返っていただく連載企画“18歳のころ”。大人と子供の狭間でもある18歳は、未成年から成年年齢に変わる歳でもあり、多くの人が高校を卒業して新しい道を歩むタイミングでもあります。憧れのあの人の18歳のころを知ることで、これからの人生を送る上でのヒントを見つけられるかもしれません。
今回は1月6日よりスタートするアニメ『最強タンクの迷宮攻略～体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される～』で、主人公の妹・マニシアを演じた小倉唯さんが登場。ターニングポイントだったという、18歳の頃を振り返っていただきました。
▼磯村勇斗さん、白岩瑠姫さん、杉野遥亮さんが登場！
学生の君に伝えたい３つのこと
声優・小倉唯の18歳のころ
声優とは違う道も知っておきたいなという気持ちがあった
――18歳の頃を振り返って、印象に残っていることはありますか？
まさにターニングポイントだったなと思います。そのときは、私はいつまでこの仕事を続けるんだろうと本当に悩んでいましたし、心理職に憧れがあって中学生くらいのときから絶対に心理学部を卒業するぞと決めていたので、仕事をしながら受験勉強して希望していた大学になんとか入ったという感じでした。
――仕事と学業の両方に悩んだ時期だったんですね。
そうですね。簡単に辞められる仕事ではもちろんないし、この仕事って常に1年、2年先のことが決まっているんです。ある程度は仕事に身を委ねていたんですが、並行して声優とは違う道も知っておきたいなという気持ちがあって。今の仕事じゃない道に歩むことも大学卒業後の視野に入れながら当時は勉強していましたね。
――どのタイミングで声優一本でやっていこうと決めたんですか？
大学3、4年で周りが就活をし始めたときに、自分にしかできないことってなんだろうと思ったら、やっぱり今の仕事を続けていくことに意味があるんじゃないかなということに気づかされて。これまで積み上げてきたスキルは普通に得られるものではないからこそ、自分の今置かれている環境やお仕事をいただけていることのありがたみも知れて。もちろん大学で学んだこともすごく役には立っているんですが、実際に就活を目の前にするとまた一からキャリアを築き上げることには、それなりの覚悟が絶対必要だなとか。そこで気づいたことは多かったですね。
いろんな経験をして「本当に自分が大事にしたいものってなんだろう」と考えてみてほしい
――小倉さんは20歳で成人されていますが、そのときは大人になったなと感じましたか？
いや、全然感じなかったし、今振り返ってもあのときは子どもだったなと思っちゃいますね（笑）。
――これまでで大人になったなと思ったタイミングはありますか？
本当に最近ですね。20代後半に入ってちょっとしたくらいで、冷静に判断できたり、精神的に成長してきたのかなと感じる瞬間があって。20歳になりたての頃は自分のルールや判断材料がなくて、「周りがこう言っているから」とか「この人の言うことだったら正しいんだろうな」と思っていたんです。でもどんなにすごい人に何か言われたとしても結局自分の人生だから自分がどう思うかが大切だし、一番納得できるこだわりや信念を見つけたり、しっくりくる生活スタイルを早めに築いて、自分が本当に大事にしたいものを持っておくべきだったなと思いますね。ただ私はそのときには気づけなかったから、今の18歳の子たちにはいろんな経験をして「本当に自分が大事にしたいものってなんだろう」と考えてみてほしいです。
――当時の自分に何か言葉をかけるとしたら、どういったことを伝えたいですか。
その頃は目の前にあることを一生懸命やっていて、それはそれで全然間違っていなかったと思っています。でも今なら、自分の本当に素直な気持ちや直感を、一番大事にしてほしいなと思いますね。周りにこう言われたからとかではなくて、ちゃんと自分の気持ちに向き合って答えを出してほしいなと思います。
――小倉さんから18歳の読者へ、エールをお願いします！
18歳ならまだ何にでも挑戦できるから、自分の夢や希望、やってみたいことがあるならやってみたほうがいいと思います。逆に迷いがあったり、気が進まないなというものがあれば、そこは自分の気持ちを一番大事にしたほうが絶対にいい。少しでもおかしいなとか、これは違うなと思ったら潔く手を引いて、周りに流されずに意思を貫く強さも、自分を守るという意味では大事だと思います。そうやって自分の心や健康を大事にしてほしいです。
ゲームに詳しくない方でも楽しめる作品
――小倉さんが出演されるアニメ『最強タンクの迷宮攻略～体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される～』がスタートしますが、原作、脚本を読まれて魅力を感じたことを教えてください。
こういった冒険ものの中でタンクに注目しているという設定は、まずひとつ面白い着眼点だなと感じました。私はもともとゲームについて詳しいわけではないんですけど、そんな私でも「あ、タンクってこういう役割だったんだ」と思うくらい、すごくわかりやすく描かれていたので、私と同じように必ずしもゲームに詳しくない方でも楽しめるなと思いました。あと、ルードは主人公としての魅力がすごくあるキャラクターで、周りに信頼できる仲間を築き上げていくという物語性にもすごく惹かれました。
――ルードの妹・マニシアという役柄について、小倉さんはどういった思いで演じられたのでしょうか。
オーディションを受けたときからこの役を演じられたらいいなとシンパシーを感じていたキャラクターでした。なので、演じさせていただけることが決まったとご連絡をいただいたときは嬉しくて。演じるときに意識したのは、お兄さんのルードに溺愛されている妹なので、とにかくかわいく演じたいなというところですね。あとは、少し病弱な部分があって。ルードがマニシアの病を治すために冒険に出ていることを、「ルードは冒険の道を選んでしまってよかったんだろうか」と葛藤しているようなすごく繊細な子なんです。なので、ただかわいいだけじゃなく、内側にあるそういった感情の揺れ動きを表現できたらいいな、という思いで演じています。
――その表現はいろいろ試しながら探っていくものなのでしょうか。
序盤は、お兄さんに溺愛される妹でいなきゃという思いがちょっと強かったのですが、いざお芝居したときに「それだとちょっと元気すぎるかな」というディレクションをいただいて。語尾の抜け方を弱くするなど、お芝居のメリハリを心がけましたね。
――妹キャラといえばハツラツとしたイメージがありますけど、マニシアはまた違う魅力を持っていますよね。
そうかもしれないです。妹らしい部分もちろんあるんですけど、どこかほっとけない要素もあるすごくいい子なので、そういう繊細さは大事に演じていますね。
――ルードとマニシアの関係性はどうご覧になっていますか？
ルードの愛がたまにちょっと行き過ぎなときもあるんですが（笑）、すごく微笑ましいですし、マニシアもルードのことをお兄ちゃんとして慕っているので、素敵な関係性だなと思います。マニシアの病は迷宮の秘宝がないと治らないんです。そのためにルードが頑張り続けてくれているのは、兄弟愛としてジーンと来るところもあるので、いい関係性だなと思って見ていますね。
何回か集中して曲を聞いたら覚えられることは特殊能力だと周りから言われて気づいた
――アフレコで印象的なことはありますか？
ルードは周りから信頼されているところもあるんですけど、マニシアのあまりのかわいさに対して愛が爆発するシーンも出てきて、そのギャップがすごく面白いんです（笑）。アフレコをしていても、ルード役の笠間さんが予想以上のお芝居というか、セリフの言い方が本当に面白くて、引っ張られないように気をつけていたときもありました。そんなルードも個人的には見どころかなと思います。
――作中で気になるキャラクターはいますか？
ニンとルナは、序盤に活躍するキャラクターとしてもすごく気になります。特にルナは最初のほうに掛け合いのシーンもあって、マニシアがいろいろ気を遣ったり、教えてあげたりしていて微笑ましいなと思いました。あとマニシアは、ニンのことを「ニンさん」、ルードを「兄さん」と呼んでいるので、二人の発音がすごく似ていて難しいんです。聞いている人にわかりやすく言わなきゃと、いつもドキドキしながら喋っていますね（笑）、そういった意味でも、すごく気になっているというか、ある意味気を使っているキャラクターですね。
――序盤には、ルードがルナによって自分の知らないスキルを知ることになるという展開がありますが、小倉さんが自分以外の誰かに気づかされたスキルはありますか？
私は声優と並行してアーティスト活動も行っていて、1日2公演のライブをやっていると言うとファンの方や周りからも驚かれるときがあって。リハーサルも含めたらほぼ1日3回公演になるので、「本当にすごい体力だよね」と言われて、よくよく考えたら自分はアスリートに近いことをしていたんだなと気付かされました（笑）。あと自分の楽曲もそうですし、キャラクターソングの収録など、歌う機会が多いと週に2、3回レコーディングあることがたまにあって。昔からこの仕事をしているからなのか、曲を覚えるのがすごく早くて。集中して曲を聞いたら、すごく短時間で覚えられるんですよ。それを周りに話したとき、「普通はなかなかできないよ。特殊能力だね」みたいなことを言われて、そうなんだ！と気付かされたこともありました。
――最後に、作品の見どころを教えてください！
登場するキャラクターも増えていきますし、いろいろな問題に直面したりすると、その度にルードの平和的解決能力の高さが見えて、ひとりの人としても大人としてもすごく勉強になりますね。「人ってこうやって信頼されてくんだ」と感じられます。キャラクターそれぞれの個性がみんな違いますし、かわいい子も多いので、見ているだけでも楽しくて癒されるんじゃないかな。続きが気になる展開、ストーリー性も見どころだと思います。
小倉唯さんから学生のみなさんに手書きのメッセージ！
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PROFILE
小倉唯
1995年8月15日生まれ。群馬県出身。声優活動と同時にさまざまなユニット活動にも参加し、2012年にはソロでのアーティストデビューも果たしている。主な出演作に「HUGっと!プリキュア」（キュアエトワール役）、「ポケットモンスター」（マリィ役）、「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」（花里みのり役）、「ウマ娘 プリティーダービー」（マンハッタンカフェ役）、などがある。
『最強タンクの迷宮攻略〜体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される〜』2024年1月6日（土）26時よりABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット『ANiMAZiNG!!!』枠（土曜26:00～）で放送スタート
歴代最高の外皮【9999】の数値を持つタンクのルードは、勇者パーティーの盾役として迷宮攻略に挑んでいた。それはどんな願いも叶えるとされる秘宝を見つけ出し、最愛の妹・マニシアの病気を治すため――。しかし勇者の横暴により、ルードはパーティーを追放されてしまう。その理由はルードの“使えないスキル”とされたが……。故郷への帰還中、助けた少女により、ルードの未知なるスキルが判明。それはとてつもない強力なスキルだった！
【最高値の外皮9999】と【唯一無二のスキル】を駆使した最強タンク・ルードの冒険譚――。ここに開幕！
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2024年1月5日（金）～2024年2月4日（日）23:59まで
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取材・文／東海林その子
撮影／三橋優美子
