「クオリティファーストで、お客さんに届くときに一番いい形であることが正しい」Novel Core連載vol.7

猪口貴裕

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「軸が決まると、進みも早くなるし、ぶれずに目的を達成できる」Novel Core 連載 vol.6

新世代のラッパー、シンガーソングライターとして多彩な活動を続けるNovel Coreさんのキャリアや表現者としてのこだわりに迫る連載企画。第7回目は、2024年1月17日に初の日本武道館公演を控えるCoreさんに、メジャーデビュー以降のライブを振り返ってもらいます。

無観客ライブをやっていた頃に身につけた集中力や冷静さが役立っている

――BMSGに所属してからのライブを振り返っていただく前に、メジャーデビュー以前・以降でライブに対する意識の変化をお聞かせください。

インディーズ時代はMCバトルも含めて、そこそこステージに出る機会があったとはいえ、自分自身のライブという面では、ほぼないに等しかったんです。メジャーデビューの直前、「GRAND MASTER」から独立して、1stアルバム『WCMTW』を自分で作って、日高さん(日高光啓/SKY-HI)から声かけてもらうまでの半年間ぐらいの間に、地方でライブを何回かやって。その頃は勢いでやっていた部分があったというか。『月とオオカミちゃんには騙されない』が終わった直後で、中高生のファンの子たちがたくさん会場に来てくれて、すごくテンションが高かったんです。だからオーディエンスの空気感ありきで成り立っているライブというレベルだったと思います。

――技術的な面はいかがでしたか?

全くでした。ちゃんと技術面に意識が向き始めたのも、BMSGに入ってからで。メジャーデビューシングル「SOBER ROCK」のレコーディングのときに、日高さんが立ち会ってくれて。今思うと、それ以降は我流で成長し始めたので日高さん立会いでのレコーディングはそれが最初で最後だったんですが、初めてだったので凄く細かくボーカルディレクションをしてくださったんです。「母音と子音の両方をちゃんと発声するようになると、言葉も聞き取りやすくなるし、リズムも走らなくなるよ」など、具体的に教えてくださって、それが今の自分に活きています。

――コロナ禍による影響はいかがでしたか。

おそらくアーティストさんたちの多くは、コロナ禍以前のライブのスタイルが急に制限されて、不自由な中で2、3年やってきて、ようやく今取り戻してきたタイミングだと思うんです。僕の場合、本格的にアーティスト活動を始めたタイミングが、コロナ禍の始まりと被っていたので、ちゃんとした有観客のライブを経験していなかったんです。むしろ僕の中では無観客ライブがスタンダードというか、お客さんの反応がない中で、いかに楽曲に没入、集中してパフォーマンスをするかに時間を使うことができました。

――無観客ライブで得るものもあったと。

そうですね。お客さんがいて、みんながレスポンスをしてくれるライブの最中でも、無観客ライブをやっていた頃に身につけた集中力や冷静さは、かなり役立っています。

未来のことを考えた上で、身の丈を超えていることにチャレンジした1st ONEMAN LIVE

――時系列に沿って、ライブを振り返っていただきます。2022年1月22日の「“A GREAT FOOL” BIRTHDAY LIVE」(CLUB CITTA')は、初の有観客単独ライブでした。

とにかく準備が大変だったなというのが正直な感想で。というのも2020年10月にメジャーデビューして、楽曲制作だったり、リリースだったりの面では1年間で、ある程度のチーム力が固まってきて。誰と連携を取って、何をすればいいのか明確に分かっている状態でした。でも初めての単独ライブだったので、ライブ制作方面に関するチーム形成がゼロだったんです。一から教えてもらいながら進めていったので、本当にバタバタでした。メジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』(2021年12月15日リリース)は出来上がっているのに、それを引っ提げたライブが決まっていない状況で、せっかくまとまった作品を出すんだから、ライブをやらないともったいないよねということで、あの手この手を使ってルートを探ってもらって。ちょうど今チーフマネージャーのケイスケさんがチームにジョインしたタイミングだったというのもあって、みんなで日々勉強しながら、なんとか無事に開催することができました。

――どうやってライブチームを作り上げていったのでしょうか。

今もお世話になっているライブ制作チーム「CITTA' WORKS」の皆さんは、僕がインディーズ時代からやり取りをしている方々だったんです。だから僕から、この方々にお願いしたいということで、チームを作り始めました。

――CLUB CITTA'は古くからヒップホップにゆかりのある老舗のライブハウスですが、そこの思い入れもありましたか。

そうですね。インディーズ時代にMCバトルで何回も立っているステージでしたし、メジャーデビュー直前にYouTubeでやった無観客配信ライブもCLUB CITTA'からでした。そのときに、「お客さんが入った状態で、いつか帰ってきたい」という話をしていて。メジャーシーンに入って一発目のライブだったので、ぜひCLUB CITTA'でやりたいとリクエストしました。今までステージ上から何度も見てきた星型のトラス、お客さんが入ったフロアで、スタッフさんたちが手助けしてくれて、SOTAなど仲間たちも同じステージに立ってもらって。何度も経験してきたステージなのに、今までとは違う見え方で、未来へのワクワクが高まったライブでした。

――同じ年の6月3日に開催した1st ONEMAN LIVE「I AM THE TROUBLE」の会場はKT Zepp Yokohamaでした。

CLUB CITTA'の後に、初めての全国ツアー「A GREAT FOOL TOUR 2022」があって、試行錯誤をしながら7都市を回らせていただいたんですが、ライブ以外の時間でもチームの人たちとの絆が深まっていったんです。リハーサルの時間や打ち上げで反省会をするときに、「もっとこうしよう」という話し合いを重ねることで、ライブチームの力がどんどん高まって。そのチーム力を持って、CLUB CITTA'の単独公演を大きく上書きするものを作ろうというムードの中でのKT Zepp Yokohamaでした。

――会場の規模もCLUB CITTA'の倍以上です。

しかも昼夜2公演でやらせていただいたので、まずはチケットが売り切れるのかという不安もありました。でも、そんな懸念が恥ずかしくなるぐらい、一瞬で売り切れて。全国ツアーを経て、OUTER(※ファンの呼称)の期待も高まっているんだなと感じながら、どうしたら前回を超えられるのか。どうしたら「Novel Coreの単独公演は毎回来たほうがいいよね」と思ってもらえるのか。その衝撃をどこに持っていくのかを考えて、演出、照明などテクニカルセクションを増強しましたし、このライブからバンドも入れました。

――なぜ、このタイミングでバンドを入れたのでしょうか。

5年後10年後を考えたときに、このタイミングからバンドでのライブに着手しておかないと遅いなとか。演出面でも大型のLEDを使った照明演出をこのチームでやって、実例を持っておかないとしんどいなとか。未来のことを考えた上で、身の丈を超えていることにチャレンジしたライブでした。

――メジャーデビューした時点でバンドを入れる構想はあったんですか。

ありました。一発目のCLUB CITTA'から入れようかみたいな話も出たんですが、バンドが入ると、同期演奏になる分、どうしてもセクションが増えて、マニピュレーターも必要になるというのを聞いていたので、さすがに間に合わせるのは難しい。だったら、まずはベースとなるDJセットでのライブをしっかり作った上で、少しずつバンドを入れていこうと。

――最初からCoreさん主体でのライブ作りだったんですね。

僕マターでライブのセットリストから演出構成に至るまで基本的な叩き台を作っていました。今は分業制にして、任せるところはしっかり任せてというやり方をしているんですが、KT Zepp Yokohamaまでは完全に比重を僕に置いていて。とにかく僕がやりたいことを細かくシートに起こして、共有して、照明も5秒単位で指示を出して。逆に言うと、自分のパフォーマンス、ステージングには全く時間を割いていなかったんです。でも、このままではどこかで絶対に事故ると分かっていたので、もう少し分業制にして、みんなとコミュニケーションが取れるように、各セクションの間でハブになってくれるような人が必要だなというのも考え始めた時期でした。

クオリティファーストで、お客さんに届くときに一番いい形であることが正しい

――2022年11月から12月にかけて行った「No Pressure TOUR 2022」はバンドで全国5都市を回りました。

KT Zepp Yokohamaにたくさんの応募があって、キャパシティを上回ったんです。当初の年間プランでは、1月にCLUB CITTA'、6月にSpotify O-EASTぐらいの規模でやってから、年末までにZepp DiverCityで単独公演を1本打ってソールドアウトしていれば、2024年に日本武道館公演も現実的になるんじゃないかぐらいの感覚で動いていました。ところがKT Zepp Yokohamaが2公演完売するという状況だったので、もっと攻めた方がいいかもしれないということで、「No Pressure TOUR 2022」はZepp Sapporo、Zepp Fukuoka、Zepp Nambaを含んだ、実質的にZeppツアーといってもいい規模感になりました。

――よく会場を押さえられましたね。

本当にギリギリでした(笑)。ただKT Zepp Yokohamaではバンドの課題がたくさん浮き彫りになって。初めてだったのもあってバランスも悪かったですし、アレンジ面も一から考え直さないと、ボーカルが埋もれて聴こえなかったり、ギターの音がデカすぎて原曲が聴こえてこなかったり。根本的な課題がいっぱいあって、まずは演奏にも慣れてもらわないといけないし、そういうバランスの調整も含めて、数をこなさないといけないなという話になって。それでバンドを引き連れてのツアーにしようということで、全国を回らせてもらいました。このツアーではバンドの絆も芽生えて、5か所を回る中で結束力も高まり、僕が“チームコア”という言葉をめちゃくちゃ使うようになり始めた時期でもあります。チームとして成立し始めて、みんなが同じ方向を向いて、同じことを考えている。そういう状態を作れたツアーでした。

――セットリストも、これまでとは違いましたよね。

斉藤和義さんやマカロニえんぴつさんなど、各地方で1曲ずつ違うカバー曲を入れさせていただきました。カバーをやることによって、より自分たちに必要なものを吸収していく作業をやったんです。大きい規模でのライブでしたが、自分たちとしては武者修行というか、少しずつ感触を確かめていくツアーでした。

――ツアー初日と最終日では、バンドのまとまりも変化しましたか?

全然違いました。ツアー中に意識的な面での課題も浮き彫りになったんです。演奏云々もいろんな課題があったんですけど、スタッフさんとのやり取りの中でも課題があって。ある楽曲をアレンジして、バンドサイズでやっていくと、どうしても「演奏としてハミ出しちゃってるよね」とか、「ここは主張しすぎて逆に楽曲の良さが消えちゃってるよね」みたいな部分を、ちゃんと切り揃えていかないといけない。クオリティファーストでやりたいし、お客さんに届くときに一番いい形であることが正しいから、自分たちが目立ちたいからとか、個人的に言うなら、自分のテクニックを見せびらかしたいから、もっとボーカルを前に出してくれっていうのは、クオリティファーストじゃない。そういう意識が全体的に弱いなっていうのが分かりましたし、音響スタッフさんからも「もっとこうしたほうが良くなるんじゃないか」というアドバイスがありました。

――技術スタッフさんとのコミュニケーションも密に行っているんですね。

技術さんも含めてのチームなので、たとえば音響さんとも1対1でご飯にも行きますし、細かくフィードバックをもらって、一人ひとりと連携を取るのを大事にしています。そうして音響チームから吸い上げた意見をバンドメンバーに伝えつつ、どうやったらもっとコミュニケーションが円滑になるかを考えて。細かい面で言うと、リハーサルの時間の使い方もどうにかならないのかなとか、課題が一気に見えました。

この2年間、自分たちがやってきたことを踏襲するだけでもライブが成立する状態を作れた

――「No Pressure TOUR 2022」を経て、2023年1月21日に豊洲PITで「Novel Core ONEMAN LIVE -Untitled-」を開催します。

「No Pressure TOUR 2022」の開始直前ぐらいに、「2024年の1月17日に日本武道館を押さえられました」という報告を受けて、メンバーに伝えた上でツアーをやったのもあって、そこで浮き彫りになった課題を短期間でクリアしてから、豊洲PITをやりたいよねっていう話をしました。今でも無茶を言ってたよなって思うんですけど、ツアーの最終日が12月7日で、豊洲PITまで一か月ちょっと。ほぼスパンがないのにも関わらず、ツアーと豊洲PITのセットリストが全く違っていて。同じ部分がないというか、丸々使えるところを一切残さず、別の内容にしたんです。というのも、その時点で、それぐらい詰め込んだことをやれないと、後々苦労するなと個人的に感じたので、無理してでもやらなきゃいけないなと。もちろん、みんなにかけちゃう負担もデカくて、直前までやり取りしながら、ダンサーも入れるなど新しい挑戦もいっぱいして。細かくやり取りして作ったライブでした。

――ステージのセットも一気に豪華になりますが、ツアー中から準備はしていたんですか。

やってはいたんですが、やっぱりツアーに集中したかったので、本格的に取り組んだのはツアーが終わってからです。最終的なセットの図面がフィックスしたのも1月に入ってからでした。僕が直前まで、いろんな修正を出していたので、気づいたら本番で。ただツアーで明確になった演奏の課題「引き算で楽曲を良く見せる」ということを意識したときに、お客さんにとって聴こえがいいもの、歌詞を聴いてもらいたい部分は、あえて演奏をしないといったことが、すごく上手くいった公演でした。実際、評判もめちゃくちゃ良かったですし、バンドがすごく良くなったという声もいろんな方面から聞くことができて。このタイミングで、このクオリティのライブを作れて良かったというのが、豊洲PITで感じられました。

――常に負荷をかけているから成長も大きいんでしょうね。

大きいですね。一個人の気持ちとしては、みんなに負担をかけすぎて申し訳ない気持ちも強かったし、このタイミングで、ここまで負担をかけたのは正直良くなかったのかなという後悔もあるんです。ただアーティストとして、チームのリーダーとしては、このタイミングで詰め込んだおかげで、今作っている武道館のライブにしても進行のスムーズさが異常なんです。この2年間、僕たちがやってきたことを踏襲するだけでもライブが成立する状態を作れたので、やって良かったです。

PROFILE

Novel Core

東京都出身、22歳。ラッパー、シンガーソングライター。
SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル "BMSG" に第一弾アーティストとして所属。メジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』とメジャー2ndアルバム『No Pressure』が2作連続、各チャートで日本1位を獲得。Zeppを中心とした大型のライブハウスを周遊する全国ツアーや、豊洲PITでの単独公演を全公演即ソールドアウトで成功させ、来年1月には日本武道館での単独公演が決定。
その存在感を確かなものにする一方で、FERRAGAMOやETROなど、トップメゾンのモデルに起用されるなど、ファッション業界からも注目を集める新世代アーティスト。
公式サイト:https://novelcore.jp/
Twitter:@iamnovelcore
Instagram:@iamnovelcore
TikTok:@iamnovelcore
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/novelcore

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取材・文/猪口貴裕
撮影/武田敏将

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