サントリー全社員約4万人の学びを支援する、人材育成のお仕事とは?
ヒット商品やサービスを手掛ける企業のキーマンにお話を伺う企画「#お仕事図鑑」。
今回は「サントリーホールディングス」で働く先輩社会人にインタビュー。サントリー大学という社内大学で人材育成に携わる平越さんに、日々の仕事内容についてお話を伺いました!
PROFILE
平越 真由
2020年度入社。サントリー大学という社内大学にて、海外含め約4万人の全社員の学びを支援する人材育成に携わる。一丸となって成長する「Global One Suntory」を実現することをミッションとして、ラーニングシステムと施策の設計・運営を日々行う。
――まずは自己紹介をお願いします。
サントリーホールディングス株式会社 ピープル&カルチャー本部 サントリー大学の平越真由と申します。ピープル&カルチャー本部は、いわゆる人事部門のことです。その中でもサントリー大学という社内大学で、新入社員向けやマネージャー向けといった国内の階層別の研修と自己啓発施策の設計運営を担当しています。
入社時はグローバル人事部で海外駐在員のサポートの仕事をしていました。学生時代はカナダとオーストラリアに2年ほど留学していました。カナダの田舎で熊3匹に遭遇して生き延びたという思い出があります。好きなものは人情あふれる下町飲み、特に浅草が大好きです。
――現在の具体的なお仕事内容を教えてください。
国内の新入社員やマネージャーなどの階層別の研修に加えて、サントリー大学が持っているラーニングシステムと、そこで提供する専門スキルや自己啓発策の設計運営を行っています。
サントリー大学は、当社がグローバルに発展していくための人材育成プログラムの総称で、海外含め約4万人の全社員の学びを支援し、一丸となって成長していくことを目的としています。全社員がアクセスできる学びのオンラインプラットフォームや、専用の研修施設でさまざまな研修プログラムを提供しています。
例えば「サントリー・ハーバードプログラム」では、その名の通り、ハーバード・ビジネス・スクールと提携して開発した当社オリジナルプログラムを全世界のシニアリーダーに提供しています。
また部長層に対して、「Beyond Borders」という、事業の枠を超えてグループ全体を牽引するリーダーを育てる研修もあります。
他にはビジネススクールへの留学支援や、デジタルリテラシー強化プログラムも用意しています。また、海外グループ会社で一年間実地研修を行い、専門性を更に磨くとともに、語学力・コミュニケーション力・異文化対応力およびリーダーシップの修得を目指す海外トレーニー制度もあります。
――国内の新入社員向けの研修プログラムについて詳しく教えてください。
まず内定時にビジネスマナーなどの自主学習から始まり、入社時には11日間の集合研修を行います。主体性、協調性、お客様志向、品質第一の4つの姿勢を身につけながら、同期の絆をつくるということを主目的に実施しています。あとは自社製品のことを知るために試飲会なども実施しています。入社から数ヵ月後にはフォローアップ研修と言ってストレスマネジメントなど、配属先で上手に周囲と付き合いながら自己成長を促すような研修も行っています。
10月には全国各地の営業拠点での営業実習を通じて商品1本1本を届ける重みや、お客様思考を学びます。翌年に全国のビール工場で実施する生産実習では、実際の工場でどのように商品が作られているのかを学び、当社のものづくりの精神を体感してもらいます。
2年目の5月にはバリュー研修といって、当社の企業理念、やってみなはれの精神が表れている山崎蒸溜所や、我々が得られた利益をお客様へのサービス、社会に還元していく「利益三分主義」という価値観を体現している総合福祉施設「どうみょうじ高殿苑」など、企業理念が根付いた地に足を運んで研修をしています。
また非常にユニークな取り組みかと思いますが、当社が森林保全活動を展開している「サントリー 天然水の森」で、森林整備体験を通じて「社会、自然との共生」の価値観を体感・理解する機会を提供しています。また、新たに入社2年目には海外研修を実施予定です
――森林整備体験について詳しく教えてください。
「サントリー 天然水の森」は全国に22ヶ所あります。森林整備体験では、自治体や森林組合の方と共に、伸びすぎた枝を切る除伐の作業や木を植える作業を体験します。
当社の主な事業は、水や農作物といった自然の恵みに支えられています。コーポレートメッセージである「水と生きる SUNTORY」を、社員自らが森林整備することでより深く理解し、普段の業務に取り組めるように実施しています。
――入社2年目の海外研修制度について詳しく教えてください。
2023年入社の新入社員から、2年目に海外研修を実施します。海外のNGOに10日間ほど派遣し、海外プラスチックごみの収集や、肥料を使わない循環型農業を経験してもらいます。当社では、再生原料を使ったペットボトル、化学肥料を減らした大麦を調達しているので、海外研修から国際感覚を養うことはもちろん、SDGs、持続可能な開発目標への方針を実際に体感して社会課題への意識を高めることが目的です。
――サントリーに入社した理由を教えてください
誰と一緒に仕事をするか、どんな思いを持った企業で仕事をするかという点を重視しました。学生時代に、サントリーの「利益三分主義」という理念を知る機会があり、日本であろうと海外であろうと、自分たちで得た利益を自分たちのものだけにするのではなく、しっかり社会にも還元するその精神が素晴らしいなと惚れて入社を決めました。
――人材育成というお仕事において、必要なスキルや重要だと思うことを教えてください。
『人を育てるのはウイスキーの原酒と一緒。原酒のなかには、最初は思ったように育たないものがある。そういう時は栓をしてもう一度寝かしなおす。しばらくすると今度はまた最初には想像もしなかったような素晴らしい酒になっている。人材は原酒と一緒。短期で決め付けたらいけない。原酒を大切に育てるように長い目で見ていかなければいけない。』
という2代目社長・佐治敬三の人材原酒論という言葉が表すように、社員の成長と可能性を信じて、長期的な目線を持って日々仕事をしています。
大事なことはとにかく人への関心。人の成長への関心があり、他者をサポートしたいと純粋に思えるかどうかがまずは大事だと思います。また、研修を進行したり、資料を作り込んだり、オンラインサイトの運営をしたりと、プレゼンやファシリテーションのスキル、デジタルスキルも必要だと思います。 英語を話す機会も多いです。
――大学生に向けてメッセージをお願いします。
私の大好きな言葉、『人生すべてネタ作り』 をお送りしたいと思います。私は凄く心配症なのですが、なんでも経験してしまえば、それは自分の糧になるという事を、この言葉にすべて凝縮できるかなと思っています。
ネタというのは、自分の経験で人を笑わせたり楽しませたり、人の役に立つようなこと、あるいは人の心を動かすようなことだと思います。成功談だけではなくて失敗談も、どんな経験も人生のネタになる。という風に考えれば、起こることはすべて皆さんにとってポジティブなことなのだと私は思っています。
学生の皆さんには、どんなことにも挑戦していただいて、すべての経験を愛して人生のネタをたくさん作っていただければと思います。
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取材:清水 碧
編集:学生の窓口編集部
取材協力:サントリーホールディングス株式会社