【故ジョブズ氏も実践】アップルから学ぶブランド戦略 #Z世代Pick
こんにちは。Z世代ブックピッカー・まえれなです。
みなさんは「スマートフォン」と言われたら、どのメーカーを思い浮かべますか?
カフェチェーン店なら? コスパの高い日常着と言えば?
おそらく多くの方が同じイメージを思い浮かべたのではないでしょうか?
ちなみにわたしは、スマホ=iPhone(Apple)、カフェ=スターバックス、コスパ高い日常着=ユニクロ、でした。 みなさんはいかがでしたか?
企業が行っているブランディングと呼ばれる活動によって、前述のように「〇〇といえば〇〇」と、私たちはあまり意識せずに特定のブランドをイメージしています。
では、この「ブランド」「ブランディング」とは、一体どういうものなのでしょうか?
「コスメといえばあのブランドがいいよね」「あの企業のブランドなら安心できる」などとよく耳にしますが、具体的にどういうものなのかを説明できる人は多くないのではないでしょうか?
そこで今回、ブランディングの入門書『手にとるようにわかる ブランディング入門』より一部抜粋し、「ブランド」「ブランディング」とは何か、なぜ必要なのかや、ブランドにまつわるストーリーなどを紹介していきます。
※本記事は金子大貴、一色俊慶著『手にとるようにわかる ブランディング入門』(かんき出版)より一部抜粋し、再編集したものです。
ブランディングは行動の積み重ねで築かれる
ブランディングとは「相手に独自のイメージを持ってもらう努力」のことと言えます。
ブランディングの方法としてつい考えがちな、企業広告などのいわゆるブランド広告を打つことだけがブランディングとは言えません。一方的に自分たちのことを口で伝えるのではなく、実際にあらゆる行動を通じて、相手からあるべきブランドイメージを連想してもらうことを目指さなければならないのです。
たとえば、アップルのブランドイメージを考えてみると、「洗練」「革新的」「使いやすい」といった言葉が浮かぶと思います。
では、アップルのサイトに行くと、これらの言葉が躍っているでしょうか。皆無とは言いませんが、ほとんど使われていないことに気づくはずです。
もちろんアップルにもブランド戦略はあり、自分たちの広めたいブランドイメージを持っています。故ジョブズ氏は「Think Different」というスローガンをベースに「ファッション」「イノベーション」「オリジナル」「ミニマリズム」の4 つのキーワードを設定していました(「アップルストアから見るブランディング戦略」、呉駿)。
しかしこれらを声高に訴えているわけではありません。商品のデザイン、パッケージ、アップルストアでの体験、主催するイベントなどを通じて、ユーザーに想起してもらうように努力しているのです。つまり、ブランディングは言葉だけでなく、行動で示していくことで独自のイメージを蓄積していくことが大切なのです。
■実際に読んでみた感想
ブランディングと聞くと、DiorやCHANELなどの高級ブランドや、UNIQLOやGUなどの日常服ブランドのイメージがすぐに頭に浮かびます。しかしこの本を読むと認識が変わることばかりでした。その一つとして挙げられるのが、本文中の「ブランドは全ての企業が持つ形のないビジネス資産である」という言葉です。
世界を代表する企業GAFAも、それぞれが独自のブランドを築き上げていますが、中小企業やベンチャー企業も独自性を兼ね揃えたブランディングができれば、会社を成長させることができる可能性が広がると感じました。(まえれな)
■著者からおわりに
スティーブ・ジョブズが亡くなったときに、アップルのブランドが維持されるか多くの人が心配しました。アップルのブランドは彼のカリスマ性が支えていると考える人が多かったからです。実際には、ジョブズの死後もアップルのブランド力は衰えず、時価総額も毎年世界の上位を争っています。
もちろんアップルと言えどもブランド維持・向上の努力を怠れば、ブランド価値も時価総額も下がっていくことでしょう。ブランド価値の維持・向上には不断の努力が必要です。しかし、その苦労を大きく超える、誰にも真似できない価値を生み出します。何でも真似られてしまう時代に、真似できない価値創造の可能性をブランディングは秘めているのです。
『手にとるようにわかる ブランディング入門』
定価 : 1,760円(税込)
頁数 : 256頁
ISBN : 978-4-7612-7629-4
発行日 : 2022年10月19日
■著者情報
金子 大貴(かねこ だいき)
株式会社 大伸社コミュニケーションデザイン チーフ ブランディングディレクター 2009年、株式会社大伸社入社。コピーライターとして、広告・宣伝のクリエイティブ開発の経験を経て、ブランディングに特化したプランニング・コンサルティングを担う現職へ。大手上場企業から中小企業まで、企業のリブランディングプロジェクト、新製品のコンセプト開発、ブランド浸透戦略立案などの幅広い業種業態でのブランディング支援を実施。
一色 俊慶(いっしき としのり)
株式会社 大伸社コミュニケーションデザイン 代表取締役CEO クリエイティブディレクター
2001年、株式会社大伸社入社。コピーライター、マーケティングプランナーを経て2020年より現職。住宅設備や生産設備、医療機器メーカーなどBtoB企業のブランディングからマーケティング戦略を統合的に支援。好きな言葉は「三方良し」。買い手と売り手、未来を幸せにする社会に貢献できる仕事づくりがモットー。