【前編】イベント『「強み迷子」の就活生に贈る! ESですぐ使える「あなただけの強み発見」セミナー ガクチカ編』ES作成で役立つ「自分の“強み”の探し方」
就活も解禁され、就活生のみなさんはエントリーシートの作成や企業説明会に向け、さまざまな情報収集を行っている頃だと思います。
今回は、3月9日(木)に実施した土谷 愛さんによるオンラインイベント『「強み迷子」の就活生に贈る! ESですぐ使える「あなただけの強み発見」セミナー 「ガクチカ」編』の模様をお届け。 前編では、エントリーシートの作成で役立つ「自分の“強み”の探し方」について解説していただきました!
PROFILE

土谷愛(つちたに・あい)
◉――強み発掘コンサルタント。社会人向け自己分析講座「アドバンテージゲーム」主宰。
◉――売上ビリの落ちこぼれ営業時代、ひょんなことから「自分の強み」を見つけて社内1位、最年少管理職に。広告業界で約600本の記事制作を担当し、多くの顧客や部下と接し「人の強みを見つける力」を磨く。
◉――2018年、退職後に始めたブログで「強み発掘オタクがあなたの強み見つけます」という相談サービスを開始したところ、申し込みが殺到。「誰にでも輝く強みがある」という信念のもと、自己分析・強みの収益化・SNS発信などをテーマにオンライン講座を続々と開講。自分探しに迷う20~30代の会社員や主婦が口コミで集まり、総受講者500名超、公式メルマガの読者は累計7000名を突破。
◉――著書に『自分だけの強みが遊ぶように見つかる 適職の地図』(かんき出版)、『特別なスキルがなくてもできる 月収+10万円 こっそり副業術』(日本能率協会マネジメントセンター)、『自分を知る練習 人生から不安が消える魔法の自己分析』(青春出版社)がある。
営業成績ビリから“強み”を活かして大逆転するまで
まず、簡単に自己紹介させていただきます。私は土谷愛といって、株式会社マイディアルの代表取締役をしながら、“強み発掘コンサルタント”という肩書で活動しています。
具体的に何をしているかというと、就活指導ではなく、“本当の自己分析”の仕方を教えていて、自己分析に特化したオンライン講座を開いたり、著書を書いたり、メディアに出演したりしています。これまでに『適職の地図』『自分を知る練習』『こっそり副業術』などの書籍を出版しました。
最初に、私の人生について少しお話ししたいと思います。
私の人生のターニングポイントは大きくわけてふたつあって、ひとつが22〜24歳のとき、そしてふたつめが26〜29歳の間です。ここで私は自分の“強み”というものを見つけて、人生を上向きに激変することができました。今日はひとつめのターニングポイントについて話をしたいと思います。
当時はまだ22歳だったので、今の皆さんとそんなに変わらない年齢ですね。私はそれまで、コンプレックスだらけの学生時代を送ってきました。学生時代のあだ名は「空気」「人形」。人と喋るのが苦手で、友達もあまりいませんでした。かといって勉強や運動がすごくできるわけでもなく、高校、大学の受験でも第一志望には落ちています。
就活も上手く行かず、100社以上は余裕で落ちました。結局、卒業ギリギリのタイミングで地元の会社から内定をもらい、営業マンとして働くことになったのですが、急に明るい性格になれるはずもありません。お客さんと雑談もできず、愛想笑いもできず、売上は社内でビリ。売上目標が達成できず、社長に怒られる日々を過ごしました。
コミュニケーションが苦手だったので、毎日プレゼンの練習もしたのですが、周りと比べたらすごく下手で、そんな自分がすごく嫌でした。しかし、そんなある日、営業部の先輩のある一言に衝撃を受けます。それは、「愛さんは人の話を聞くのが上手なのに、なんでプレゼンの練習ばっかりしてるの?」という言葉でした。
これを言われたときはすごくビックリしました。営業はトークができなきゃいけないと思って練習していたのに、「君の強みは聞き上手であることなんだから、その強みを活かしたらいいんじゃない?」と言われたわけなので。
こんなふうに言われたのは人生で初めてでした。勉強も運動もできず、人よりできるものなどないと思っていたので、「自分にもすごいと言われるところがあるなんて」と嬉しく感じました。
それ以降は営業スタイルを変え、ひたすらお客さんのところに行きまくり、自分が喋るのではなく、「お話を聞かせてください!」と言うようになりました。「最近は何に力を入れていらっしゃるのですか?」「集客はどのようにしていますか?」「もしお客様からお叱りを受けた時はどうしていますか?」……と、自分の会社の商品や自分の専門領域とは無関係な話でも、毎日5時間以上、ただ色々なお話をひたすら聞き続けました。
その結果、大逆転が起こり、社会人3年目の24歳のときには、お客さんから「話を聞いてくれてありがとう」「また来てよ」とポジティブな言葉をもらえるようになり、お悩みを聞いているうちに相談されるようになり、あんなに売れなかった商品が受注できるようになってきたんです。そして営業成績は社内にいる営業マン100人のうち、トップになることができました。上司からも褒められましたし、「営業部で最年少の管理職をやってみないか」と声をかけられ、昇進することもできました。
そのとき、同じ営業という仕事でも、自分の強みを活かすだけでこんなに成果が変わるのか、と実感したんです。以来、私は「強み教」になって、部下の強みも考えるようになり、「あなたはこういうタイプだから、こういう営業スタイルが合うかもしれない」と個別にアドバイスするようにもなりました。お客さまの話をただ聞くだけでなく、「御社の強みはここなので、ぜひ打ち出しましょう!」と力強く提案できるようにもなりました。
このときの経験が、今の“強み発掘コンサルタント”の活動に繋がっています。
“強み”とは、「目的達成のために使える特徴すべて」のことだった!
それでは、“強み“”とは一体何かということについてお話しします。
強みとは「目的達成のために使える特徴すべて」を指します。ゲームに例えると、最初はレベルも低く、装備も弱いので、ラスボスには絶対に勝てませんね。だから途中で仲間を増やしたり、装備品を買ったり、アイテムやお金をゲットしたりして強くなっていくわけです。
ただし、この中のどれかひとつがあったから目的地につき、ラスボスに勝てるというわけではありません。すべてが揃ったからこそ目的地にたどり着けるんです。私が言う強みも、このように「自分の特徴すべて」のことを指しています。
ただ、就活生の中には、「人よりちょっと目立つ経験」を強みだと誤解している人も多いと思います。だからこそ、ESには「全国優勝」「大学主席」「有名企業でのインターン経験」「海外留学」という文言が必要なのだと勘違いしてしまうんですね。
そうなると、「企業は高い成果を出した学生を採用したいはずだから、自分も成果を見つけないといけない。でも、自分には何もない」という考えに陥ってしまいます。もちろん、高い成果や目立った経験は強みになりますが、実際はそればかりが強みというわけではありません。高い成果だけではなく、あなたの性格や打ち込んできた経験も強みになり得ます。
そして就活生が本当に知るべき正解は、「努力によって困難を乗り越えた経験が一番の強みになる」ということです。
例えば、「補欠から猛練習してレギュラーになれた」「勉強を継続して成績が上がった」「バイトで一番出勤して店長に信頼された」「仲間を集めて研究を完成させた」といった経験ですね。レギュラーになれなくても「最後の大会に出られるように頑張って、実際に出場できた」ということでもいいんです。どれも飛び抜けた成果ではありませんが、自分なりに「努力によって困難を乗り越えた経験」です。それで全然いいんです。
実は選考過程で面接官が見るのは、「すごく高い成果を出した人かどうか」というところではありません。
例えば、テニスの団体戦で全国大会優勝したとします。それを「高い成果」としてアピールしても、面接官には響きません。もしかしたら偶然メンバーが強かっただけかもしれませんからね。けれど、そこに「最初はバラバラだったチームを自分がまとめて勝利に導いた」などのエピソードがあれば、それは立派に「自分の努力で困難を乗り越えた経験」です。このように、「どれほど高い成果を得たか」より「その人自身が何をしたか」ということが重要です。つまり、面接官はその人に「頑張れる力があるかどうか」を知りたがっているんです。
仕事をしていれば大変なこともたくさんありますから、困難を乗り越える力があるということがすごい強みになります。だからこそ、努力で困難を乗り越えた経験というものが問われるんです。
では、どうすれば面接官に対し、努力で困難を乗り越えた経験を魅力的に伝えられるでしょうか。それは、まさに私が営業成績ビリからトップになるまで頑張った話のように、「ストーリー」で語ることがポイントになってきます。
「ストーリー」の作り方は三幕構成で
ストーリーで伝えるにあたって、使える強みの要素は1.性格、2.知識、3.スキル、4.経験、5.実績の5つに分けることができます。
性格、知識、スキルは、入社後に発揮できるであろう長所として企業は見ています。経験、実績はその長所の裏付けとなる部分ですね。そしてストーリーは、この5つの要素を使って作っていく流れになります。
ストーリーの作り方は、以下の三幕構成に分けるとわかりやすいでしょう。
1.自分が頑張ったこと。部活やバイト、勉強など、どんな経験に時間を割いたか。
2.そこでどんな課題や困難に直面したか。アルバイトや部活でどんな課題にぶつかったのか。そこに対して、性格、知識、スキルなど、何を発揮して乗り越えようとしたのか。
3.乗り越えた結果、どうなったのか。
これを私の場合に当てはめてみます。
1.広告営業の仕事を頑張っていました。特にプレゼンの練習に時間を割いていたのですが、売上は社内でビリでした。
2.そこで自分の強みである傾聴力を活かした営業スタイルに変え、お客さまの話を毎日5時間聞き続けました。
3.その結果、お客さまから「話を聞いてくれてありがとう」と感謝され、お悩み相談から受注につながる機会が増え、営業成績トップになることができました。
いかがでしょう。「私は人の強みを見つけることが好きなんです」と一言でまとめてしまうより、ストーリーで語ったことで、だいぶ信頼感があると思いませんか? 同じように、皆さんも何かを乗り越えた経験を就活で話してみてください。
ストーリーを語る上で意識するコツはふたつあります。
まずは数字で具体的に語ること。例えば、「もつ鍋屋のバイトリーダーしていました」と書くより、「もつ鍋屋のバイトで20名のバイトスタッフをまとめるリーダーをしていました」と書いたほうが、たくさんの人数をまとめていたのだということが伝わります。
「バスケサークルの活動を頑張っていました」と書くより、「バスケサークルで3年間、週5回の練習に休むことなく打ち込みました」と書いたほうがいいし、「大学で心理学の勉強をしていました」と書くより、「大学で履修した授業の8割が心理学系の科目で、夢中になって学びました」と書いたほうが頑張った度合いが伝わりますよね。
「目立った成果じゃない」「人より目立ったことをしていない」と思うかもしれませんが、伝え方ひとつで頑張った度合いは伝えることができます。ぜひ一度、学生時代に取り組んだことを数値化してみてください。より凄さが伝わる数値をチョイスして書くと、すごく魅力的なESになると思います。
ふたつめのコツが、実績や他者評価で信頼を高める、ということです。
単に「私は強みを発掘するのが得意なんです」と言っても、「本当かな」と疑われてしまいますが、「私は強みを発掘するのが得意で、こういう書籍も出しています」と実績を示したり、「これまで何百人の強みを見つけてきました」「お客さんからは『なんでそんなに強みの発掘に夢中になれるんですか』と言われます」と添えるだけで、自己PRの信頼性が増します。
例えば、「カフェのバイトを頑張りました」と書くより、「カフェのバイトでリピーターを作って、月の売上を○万円アップさせました」と書いたほうが、頑張った度合いや成し遂げた成果のすごさが伝わります。
他にも他者からの評価を伝えることで「店長からアルバイトで一番責任感が強いと評価されました」「丁寧に接客した結果、毎週リピート来店してくれるお客さまができました」「バイト仲間からは『いつも積極的に意見を出して尊敬するよ』と言われます」など、数字での実績同様、アピールしたい部分を際立たせることができます。
実際の事例を示しながらご説明したいと思います。
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