『スマホ失明』高校生に起きた悲劇とは #Z世代Pick

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こんにちは。Z世代ブックピッカー・lunaです。
みなさんは1日に何時間スマホを使っていますか? 電車の中、ちょっとしたスキマ時間、寝る前・朝起きてすぐ布団の中で。いまや子供から大人まで、老若男女問わず、多くの人があらゆる場面でスマホを使っているかと思います。そんな現状に対して、眼科医の川本晃司氏は、ある光景が浮かんでいるそうです。

数年後、あるいは数十年後──……。元気だった小学生が大人になり、白い杖をついて点字ブロックの上を歩く姿。サラリーマンが年を取り、介助者に手を引かれて階段を昇り降りする姿。女性が、あるいは高齢者が、盲導犬に導かれて歩く姿。そう、彼らが視力を失った姿です。

なぜ、そんな姿が思い浮かんだのか? 川本氏はこう続けます。

実は今、私だけでなく、世界中の眼科医が、同じビジョンと恐れを共有しています。これから、「失明人口」が爆発的に増加する可能性が高いからです。

川本氏の著書『スマホ失明』では、スマホの使い過ぎが失明の可能性を高めると警鐘を鳴らしており、その理由と対策が書かれています。今回はそんな『スマホ失明』より一部抜粋してご紹介します。

※本記事は川本晃司著『スマホ失明』(かんき出版)より一部抜粋し、再編集したものです。

ある高校生に起こった悲劇

デジタルデバイスの急速な普及による、「スマホ失明」リスク。
その急増の波は、もちろん、日本にも押し寄せています。わかりやすい例が、若い人、特に10代の間で「急性スマホ内斜視」の患者さんが目立つようになってきたことです。

内斜視とは、左右の眼のどちらか、もしくは両方が内側を向いている状態のこと。私たちの眼は、近くを見るとき、内側を向く「寄り眼」状態になります。
このとき、長時間近くのものを見続けて、寄り眼状態が固定化すると、固定化した視線の先にしかピントが合わなくなります。
すると、それ以外の場所を見たときに、二重にダブって見えるようになるわけです。ちなみに急性内斜視は、もともと近視がある人が、長時間、近距離でものを見続けることで、発症しやすい傾向があります。

こうした内斜視の中でも、スマホを長時間見続けることで起こる急性症状のことを、私は特別に「急性スマホ内斜視」と呼んでいるのですが……。

先日も、私が診療している山口県防府市のかわもと眼科に、16歳の男子高校生がやってきました。お母さんに付き添われてきた彼の訴えは、「黒板が見えない」「教科書が見えない」というものでした。
検査結果に目を通すと、裸眼視力は右眼が0・03、左眼は0・04。すでに近視がかなり進んだ状態です。
彼はメガネをかけて片眼ずつで見れば、問題なく見えると言います。しかし両眼で見た瞬間に、見えなくなるんだとか。遠くの景色が見えない、授業中に黒板を見ようとすると見えない。教科書やマンガはもちろん、愛用しているスマホも見えない……。

彼に普段の生活を聞いたところ、毎日、かなり長い時間スマホを見ていることがわかりました。そのため、眼球が内側に寄った状態で固定化してしまい、片眼だけなら対象物にピントを合わせられても、両眼を使ったときにピントが合わなくなっていたのです。

つづく・・・

■実際に読んでみた感想
最近、私自身著しく視力が落ちていることに気づき、スマホやパソコンを絶え間なく見ていることが原因の一つだと考え、この本を手にしました。近年のスマホの普及により、「スマホ依存」が問題視されています。スマホ依存の弊害として、最も顕著に表れるものは近視の進行だと考えられています。筆者の川本氏によると、新型コロナウイルスの影響で、若者、特に小中高生の視力の悪化が目立っているようです。

スマホは、子供たちにとってはYouTubeを見たり、ゲームをしたりすることができる最高の遊びのツールですが、親たちにとっても、子供たちがそれに熱中していることで、おとなしくしてくれる「最高の子守り役」となっている事実に驚きました。スマホは、それ一つで様々なことができる便利なものですが、それと同時に失明する可能性を秘めているものでもあります。その事実を認識するとともに、我々はスマホ以外に時間を有意義に使えるような何かを見つける必要があると思いました。皆さんも「スマホ失明」を他人事と思わずに、ぜひ一度読んでみてください。(luna)

■著者からおわりに
「人間は行動した後悔より、行動しなかった後悔のほうが深く残る」これは、米国コーネル大学の心理学者である、トーマス・ギロビッチ博士の言葉です。私は近視対策についても、まったく同じことが言えると思っています。
人生の質(QOL)を大きく左右する目の健康に関して、その対処法を知っていたにもかかわらず、「何も行動しなかった」となれば、悔やんでも悔やみきれない後悔が必ず残ります。そして、その後悔は生涯つきまとうのです。

『スマホ失明』
定価 : 1,430円(税込)
頁数 : 220頁
ISBN : 978-4-7612-7643-0
発行日 : 2022年12月21日

■著者情報
川本 晃司(かわもと・こうじ)
眼科専門医(医学博士)・MBA(経営学修士) 1967年山口県生まれ。高校卒業後、産業廃棄物処理の日雇い労働をしていたが、一念発起して受験勉強を始め、28歳の時に山口大学医学部に入学。34歳で眼科医となり、44歳で眼科クリニック・かわもと眼科の院長となる。専門は角膜。2021年に北九州市立大学ビジネススクールでMBAを取得。現在は眼科専門医としての傍ら、北九州市立大学大学院で医療と認知心理学とを掛け合わせた学際的な研究を行っている。現在の研究テーマは「医療現『場』の行動経済学」と「医師と患者の認知心理学」。

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活字中毒の中年編集者です。暇さえあれば本やウェブコンテンツを読み漁っています。 文章や言葉で読者を楽しませたり、悩みに寄り添い勇気づけられるよう、日々悪戦苦闘しながら言葉を紡いでいます。

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