広く食の楽しさを届けたい – 食卓においしいを提供し続けるキッコーマンの思いとは
みなさんは「キッコーマン」と聞いて、何を思い浮かべますか? きっと多くの人が「しょうゆ」という言葉を想像したでしょう。
1917年の創業以来、しょうゆはもちろん、みりん、濃縮つゆ、豆乳などさまざまな商品を私たちの食卓に届けてくれているキッコーマン。近年では、その味と容器の新しさでベストセラーになった「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」(以降、しぼりたて生しょうゆ)や、健康志向にいち早く順応した「いつでも新鮮 味わいリッチ 減塩しょうゆ」(以降、味わいリッチ 減塩しょうゆ)といった、時代に沿った形のしょうゆを発売。時代が変わっていくなかでも、私たちの食を支え続けてくれています。
今回は、そんなキッコーマンの企業理念や「しぼりたて生しょうゆ」の開発秘話とともに、10月から開始している学生との取り組み「キョーソウPROJECT」について話を伺っていきます。
「キョーソウPROJECT」とは
Z世代である学生と企業が商品や企業課題解決に向けてゴールを定め、ともに取り組んでいくプロジェクト。今回は、“「しぼりたて生しょうゆの魅力」みんなに広めよう!”をテーマにどんな風に商品をPRしていくのかが課題となっている。
お話をしてくれたのはこの人!

伊藤夏大(いとう・なつひろ)さん
キッコーマン食品株式会社 プロダクト・マネジャー室 しょうゆ・みりんグループ所属。2002年入社。新商品の開発から、店頭プロモーションの企画立案、消費者コミュニケーションの立案など、同社のしょうゆに関するすべての事柄に関わっている。
食を作る楽しさ、食べる喜びを伝えたい
---まずはキッコーマンの企業理念について聞かせてください。
2005年に制定されたコーポレートスローガンである「おいしい記憶をつくりたい。」を具現化すべく、2008年にはコーポレート・ブランドを刷新しました。私どもにとって「良い商品を作り出す」ということは当然、大事なミッションです。しかし、それだけではなくお客様の声をきちんと聞き、キッコーマンのファンになってもらえるような取り組みを会社全体で行うことで、食を作る楽しさ、食べる喜びを少しでも多くの人にお伝えしていくことに日々、力を入れております。
---時代の流れとともに企業のあり方も変化しているのですね。
はい。商品の開発については当然ながら常に努力を重ねていますが、それだけでは差別化が難しくなってきているんです。そんな状況だからこそ、それ以外のサービスも充実させていく必要があると私どもは考えています。
若い世代に限らず、日本人にとって「しょうゆ」は、もはや空気や水のように当たり前のものである、それゆえに「どれも同じ」というイメージがあるのではないでしょうか。
しかしながら、メーカーによってはもちろん、同じメーカーでも商品によって味に違いがあることはあまり知られていないと思います。私たちとしては、少しでも多くの人に、そういったしょうゆの味の違いを知ってもらい、楽しんでもらうことを目指しています。
いつでも新鮮な生しょうゆの特徴って?
---キッコーマンの大ヒット商品であり、生しょうゆ部門で高いシェアを占める「しぼりたて生しょうゆ」(2012年発売)ですが、既存のしょうゆと何が違うのでしょうか?
これは今から10年ほど前、お客様の味に対する嗜好が「濃い味」から「まろやかな味」に移行しつつあるなかで生まれた商品になります。通常のしょうゆは「火入れしょうゆ」といって、色や香り、殺菌効果のために加熱処理をしています。しかし以前から、「生しょうゆが美味しい」ということは製造現場の人たちは製造現場の人たちは知っていて、楽しんでいたケースもあったんです。ただ、どうしても生しょうゆの新鮮さを保つのが難しく……。
実は、1966年に「生しょうゆ」を販売したことがありましたが、当時は現代と嗜好も異なっていたからか、あまり普及せずとりやめた経緯がありました。そこから年月が経ち、ようやく生しょうゆの鮮度を保てる容器が開発され、発売に至ったわけです。この容器の誕生は、本当に画期的でした。
---そんな背景があったんですね!
最初に発売したのは200mlタイプで、従来の卓上しょうゆ瓶のシルエットをなるべく踏襲しました。それから、今主流になっている450mlタイプは誰でも持ちやすいような容器の太さや手に持ったときのフィット感、テーブルに置かれたときにお子さまの視界を邪魔しない大きさなどにこだわりました。おかげさまで容器も含め、最初はお客様には新鮮に受け止めていただき、今ではしょうゆのスタンダードになりつつあるのではないかと思っております。
---「味わいリッチ 減塩しょうゆ」(2012年発売)についてはいかがでしょう。
「味わいリッチ 減塩しょうゆ」は1950年代後半に、東京大学の医学部から「病気の方でも安心して使える、塩分の少ないおいしいしょうゆを作ってほしい」と依頼されたことが開発のきっかけです。当時は「保健しょうゆ」という名前で販売していました。今では日本で1番売れている「減塩しょうゆ」 になっております。

社員一人ひとりがマイしょうゆを持ち歩いてる?!
---今回、Z世代の大学生と一緒に取り組む「キョーソウproject」への期待をお聞かせください。
若い人たちのなかには、生まれて初めて買うしょうゆがキッコーマンの「しぼりたて生しょうゆ」という人も珍しくないでしょう。そのような時代で、「そもそも若い人たちは日常的にしょうゆを使っているのか?」「使ってない人がそれなりにいるのではないか?」「料理をするとしても、つゆなどで全部済ましているのではないか?」といろいろ気になります。その意味では若い人たちにとって、しょうゆを「使う」「使わない」のボーダーラインをぜひ知りたいです。

---そんな若い世代がキッコーマンに親近感を持つようなエピソードがあればぜひ教えてください。
今はまだコロナ禍ですが、飲み会が行われていたとき、そのお店のしょうゆがキッコーマンかどうかは私たち社員にとって一大事でした(笑)。そのため、多くの社員が常に“マイしょうゆ”を持ち歩いています。

また、商品開発の様子も少しシュールかもしれません。味を総合的に判断するために、そのまましょうゆをなめるのはもちろん、いろいろと調理しておなかいっぱいになりながら試食を重ねていくんです。大人が集まって、本気でしょうゆに向き合っている姿は学生の方々からはなかなか想像しづらいかもしれませんね。
次の世代にしょうゆを継承していくために
---最後に、Z世代へ向けたメッセージをお願いします。
しょうゆは大変歴史のある調味料ですし、味のバリエーションの多さは想像以上だと思います。まずは1度でもいいから弊社のしょうゆを使ってみて欲しいですね。「しぼりたて生しょうゆ」が発売されて10年ほど経ちますが、もしかするとこれまでとはまったく違う使い方、違う食べ方が生まれてくるかもしれません。
私は小さい頃、家で使っていたしょうゆがどこのメーカーのものか知りませんでした。しょうゆメーカーの社員として恥ずかしいかもしれませんが(笑)。でも、今の若い人たちは、もしかしたらすでにパッケージの色や形でキッコーマンのしょうゆを記憶しているかもしれない。今回のプロジェクトが、新しい形で次の世代にしょうゆが継承されていくきっかけになれば嬉しいですね。
発売してから、長年愛されているキッコーマンのしょうゆ。そのしょうゆを次世代に訴求していくにはどういったアプローチが有効なのか、学生とキッコーマンとで真剣に話し合ってどういったアイディアが誕生するのか、今後のキョーソウPROJECTの動きが気になるばかりです。
気になる人はぜひ、キョーソウPROJECTの様子をレポートした記事も読んでみてくださいね。
提供:キッコーマン食品