高校最後の夏休み、普通ならどう過ごすのだろうか。大学受験に向けた天王山......|エッセイ企画「#Z世代の目線から」キーワード:夏のある日
エッセイキーワード:夏のある日
エッセイタイトル:『光の1日』/著者:えりりん さん
819文字/2分くらいで読み終わります。
高校最後の夏休み、普通ならどう過ごすのだろうか。大学受験に向けた天王山を迎えたところ?制服を着て青春を謳歌しているところ?世間にとって、「高校三年生」の夏休みのイメージはこんなところだろう。
しかし、わたしにはそんな燃えるような、輝くような日々は来なかった。自分が選ばなかっただけなのかもしれない。週四回、午前中には部活に行き、帰ってきてからは宿題をやる気も起きず、だらけている毎日。土日も昼前に起きて、なんとなく一日が過ぎていた。なんて不毛な日々だろう、人生一生産性のない夏休みだったと思う。自分で自分か嫌になりながら、それを変えられない自分にもやるせなさがあった。
8月、家族で旅行に行ったり、3年ぶりの部活の合宿があったりと、少しずつ私の堕落した日々を崩して思い出で埋まるような日々が訪れた。
そんなある日、日頃から愛試聴している番組のファンミーティングに当たり、憧れのNHKに足を踏み入れた。私にとってNHKは、そう。憧れの地。幼稚園卒園間際から抱き続けた将来の夢は、NHKのアナウンサーになること。自分なりに努力を重ねながらも、ゴールの遠さや自分の成長の不透明さに不安を抱えてきた。
この日、ずっと外から眺め、「◯年後にはここで働くんだ!」と希望を見ていた地に入れたのだ。ファンミーティングも、憧れの人に会えたり、番組スタッフの暖かさに囲まれ、「やっぱり私にはここが運命の場所なんだ」と強く感じた。
この日から、モノクロだった私の夏休みが一気に彩り始めた。目標がより確固になったことは私のモチベーションを向上させ、部活で弾いているバイオリン も、溜まった宿題も、のめり込む勢いで進めていった。
私にとって、学生生活を頑張る希望は、未来の自分を見ることなのかもしれない。そう気づかせてくれたあの日のことを、夏が来るたびに思い出すだろう。就職して、高校最後のこと日々を「懐かしいな」と笑って振り返れるように、歩んでいきたい。
著者:えりりん さん |
学校・学年:慶應義塾湘南藤沢高等部 3年 |
著者コメント:「人生一不毛な夏休み」を壊してくれた、運命のターニングポイントとなった1日です。この出会いを胸に刻んで生きていきます! |
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