俳優・柄本佑が“学生の君に伝えたい3つのこと”「 学生のうちにいろんな人と出会っていろんな文化に触れてほしい」【サインチェキプレゼント】
人生の先輩である著名人の方々から、まだまだ自由に使える時間が多い大学生のみなさんに、“学生のうちにやっておいたほうがいい3つのこと”をアドバイスしてもらおうという連載「学生の君に伝えたい3つのこと」。
今回のゲストは、5月20日(金)に公開される胸アツお仕事ムービー『ハケンアニメ!』で、吉岡里帆さん演じる新人監督・斎藤瞳を振り回すクセ者敏腕プロデューサー・行城理役をクールに演じる柄本佑さんです。
近年、映画『痛くない死に方』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』など主演作も相次ぎ、『ドクターホワイト』(フジテレビ系)での好演も記憶に新しい、俳優として常に第一線で活躍し続ける柄本さん。そんな柄本さんは大学生にどんなエールを送ってくれたのでしょうか。
俳優・柄本佑が<学生の君に伝えたい3つのこと>
1.いろんな人と出会っていろんな文化に触れる
ーー学生のうちにやっておいたほうがいいと思うコトはなんですか?
僕自身、そこまで“学生生活”というものをちゃんと送っていたわけではなかったので、これは僕が今の自分のことを考えたときに「大学生の時期にこういうことを経験しておいた方がよかったなぁ」と思うことなんですけど。
僕、映画が好きで、映画の専門学校に行って、映画の好きな人としか交流をしてこなかったんですよ。でも大学って、たぶんもっといろんな人とサークルや何かを通じて出会ったり、いろんな文化の交流ができる場だと思うんです。でも、僕はそういったことを経験しないままだった。
これは結果論でしかないし、別にそれがよくなかったとは思わないけど、でも、もし僕が当時そういったいろんな文化と触れる機会があったら、もっといろんな感受性を身につけることができたんじゃないかなって思うことがあるんです。
だから、自分とは違う感覚のものや、自分の好きなものではない文化に触れるというのは、なにかひとつ自分の好きな物が増えるきっかけになるかもしれないし、そういった時間を持つことはいいなって思います。
2.『グミ・チョコレート・パイン』がオススメ
ーー学生のうちに見てほしいと思うモノはなんですか?
大学生か〜、高校生だったらあるんだけどなあ……(と言いながら少し考えて)、たぶん、今の自分に刺さるというよりはむしろ「あ〜っ、そうそう!」という感じで読まれてしまうと思うんですけど、大槻ケンヂさんの『グミ・チョコレート・パイン(※)』(角川文庫)。
僕は高校時代に読んでるからグサッと刺さってるんだけど、大学生が読むとどうなんだろうなあ。ちょっと上から見る感じになっちゃうかもしれないんですけど、そんなに変わらないような気もするんですよね。なので、変わらなければいいなあという気持ちを込めて、『グミ・チョコレート・パイン』をオススメします。
※……本作は2007年にケラリーノ・サンドロヴィッチ監督・脚本によって映画化もされており、柄本自身も出演している。
3.自分の好きなことに打ち込む
ーー自身の経験を振り返って、やっておいてよかったなと思うコトはなんですか?
これは今の自分に対する“よかったな”になっちゃうんですけど、映画館通いしておいてよかったかなっていうのは思います。映画が好きで、行ってた学校も夜間の専門学校だったので、昼間はわりとヒマな時間がたくさんあって。その時間に自分の好きな映画を、それこそ浴びるように観られたというのは、今この仕事にも通ずるものがあるし、よかったなって。だから、言い換えると「自分の好きなものに打ち込んでおいてよかった」っていうことかな。
“クセ者”ということはそんなに意識しなかった
ーー『ハケンアニメ!』ではモノづくりに取り組む人たちがビビッドに描かれていましたが、特に共感したエピソードはありましたか?
新人の斎藤監督(吉岡里帆)がいろんな部署にかけあってるシーンで、とある部署の人に感覚で伝えようとしたら「数字で言え」って言われて、また別の部署の人に今度は数字で伝えようとしたら「感覚で言え」って言われるシーンは、どの世界でもそうなんだな〜って思いました。モノづくりの上の人に振り回される感じというか、「こういう人どこかで見たことあるな」って(笑)。
ーー“クセ者だけど敏腕のプロデューサー”という行城役を演じられましたが、どんな役作りをされましたか?
“クセ者”ということはそんなに意識せず、ホン(台本)に書かれている行城という人物としてどういられるかということを考えたんですけど、僕が思っている行城像と監督が思っている行城像にそこまで差がなかったような気がします。
作品のイメージにそぐわないCMを見てしまった斎藤監督の「こういう宣伝、やめません?」というセリフに対して、行城が「作品を見てもらわなくていいんですか?」って言い返すシーンがあって、その言い争いの中で、行城が斎藤監督に、斎藤監督の憧れでもありライバルでもある伝説の天才アニメ監督・王子千晴(中村倫也)が過去に失踪したことに絡めて「あなたも失踪するんですか?」っていう嫌味を言うんですけど、あそこはホンではもうちょっと別の柔らかめな言葉だったんです。
でも、監督と段取りをやった後に「ここ、もう『あなたも失踪ですか?』みたいな感じで言っちゃいません?」って提案して。そしたら監督も「いいですね!それムカつくムカつく」って(笑)。だから行城は一貫して斎藤監督に寄り添うことをせず、心の通い合いもなく、ある意味仕事の道具として見ているというか、一見仕事の中に気持ちが入っていないかのように見えるっていう演出をされていたような気はしますね。だから、それをどこまで行城らしく落とし込めるか、っていう。
ただ、本当はみんなそれぞれ、それぞれの正義のもと作品がよくなるように努めていて、そこに差があるというだけで、作品にかける思いはみんな同じだということは大事だと思うので、そこは意識するようにしていました。
「やってみなきゃわからない」と思うことは大事にしたい
ーー柄本さんは、ご自分が演じる役に対してはいつもどんな気持ちで臨んでいるんですか?
脚本に書かれているセリフの1つひとつを、それこそ“てにをは”から何から大事にするようにはしてますね。「このセリフの“てにをは”をどっちにするか?」って(名監督である)小津(安二郎)が3日間悩み込んだというほどなので、やっぱりそこにヒントがたくさんあると思うんです。だから、セリフから所作から何から「台本通りにやる」ということがいちばんかなと思ってます。
といっても脚本は2次元のものなので、実際に3次元に転換したときの1次元分の差っていうのをどう埋めるかというところもあります。できることとできないことって絶対出てくるから、「これはできたけどこれはできなかったよね、じゃあどうする?」っていう、どうすればこの作品の世界が具体化するかなって考えることが僕らの仕事なのかなっていう気もします。
ーー柄本さんは演じる上でのこだわりは強い方ですか?それともわりとフラットな方?
こだわりっていうこだわりはそんなにないですけど、「やってみなきゃわからない」とは思ってます。今、1本の映画が撮られる時間ってどんどん短くはなってきているんですけど、その中でもできうる限り「やってみなきゃわからない」とか「始まってみなきゃわからない」ということは大事にしたいっていうか。
だからセリフなんかも、覚えていく中でもなるべく解釈せずに棒読みで持っていくようにして、みんなで、というか役者さん同士が初めてセリフを言ったときにそこに何が生まれるのか、みたいなことを大事にしたいなとは思ってます。
ーー昔からそういうタイプだったんですか?
そうですね。若い頃、わりとワンシーンに時間をかけるっていう現場を経験することが多かったので、なんかそれが「楽しいな」みたいな。何回も何回も段取りをやって「もう全然決まんねぇな」みたいなので午前が終わり、午後になってもまだ段取り段取りで「もう、何が違うんだかよくわかんなくなってきたね」みたいな(笑)。かと思えば急に監督が2時間くらい悩み込んじゃった、みたいなことも結構あったんですけど、むしろそこに楽しさを見出していたというか。
それに、やっぱり各々が思ってる印象って各々全員違うような気がするんですよね。でも、逆説的に聞こえるかもしれないですけど、たぶんそれぞれ違うことを思っている人たちが集まってひとつのものを作っているところに面白さがあるんじゃないかなって思うんです。
「(俳優は)待つのとガッカリに慣れるのが仕事」と母に言われた
ーーその面白さって、『ハケンアニメ!』のテーマにも通じるところがありますね。今作は主人公の斎藤監督がいろんな人たちに支えられて、いろんな人の言葉に気づかされながら成長していくさまがていねいに描かれていますが、柄本さんがこれまででいちばん印象に残っている、言われてハッとした言葉はありますか?
先輩から言われた言葉としていちばん印象に残ってるのは、ウチの母(女優の角替和枝さん)に言われたことなんですけど……。“初号(試写)”ってみんなで観るじゃないですか。作品ができあがっていちばん最初に観るものなんですけど、それを観ると、もうとにかく自分のアラばっかりが見えちゃって……。で、自分が出てこなくなると、出てたときの自分の反省をずっとして、ロクに作品なんか見てなくて。で、反省が終わる前にまた自分が出てきて、またそれを観なきゃいけなくて……っていう繰り返しで、本当に初号って全く客観的に観れないんですよね。
それで、初号が終わって落ち込んで家に帰って、ウチの母ちゃんにグチったことがあったんです。「いっつも初号観ると自分が嫌になって落ち込むから、次の仕事ではもうああいうガッカリはしないようにとにかく頑張ろうと思って、『今回はいけたかも』って思ったんだけど、今日初号に行ってものすごいガッカリして。もう嫌なんだよね」みたいな話をしたら、「なに言ってんだ、この仕事は待つのとガッカリに慣れるのが仕事だぞ」って言われて(笑)。
それで、「えっ、和枝ちゃんもそうなの?」って(笑)。「そっか。待つのが仕事なのは知ってたけど、ガッカリに慣れるのも仕事か……」と思って。でも、そう思うと逆にガッカリできなくなったらもうやる必要もないよな、と思い始めたりもして、その言葉を言われてからいろんなことを思うようになりましたね。
ーー満足したらそこで終わり、みたいな?
そうですね。だからガッカリしてるうちが花なのかな、って。
ーー深いですね……!ちなみに、今作は2本のアニメーション作品が大きな柱となって進んでいきますが、柄本さんはアニメはお好きですか?
はい、好きです(笑)。
ーーどんな作品を見るんですか?
見始めちゃうと止まんなくなるんであんまり見ないようにしてるんですけど、ここ最近魔がさして見始めちゃって、1週間ぐらいで『呪術廻戦』を全話と、昨日から『王様ランキング』を見始めて、今朝最新話(※この時点で18話)に追いつきました(笑)。
ーー結構イッキ見するタイプなんですね。
そうなんです。『呪術廻戦』は全話見終わった後に映画も観に行きました。見始めちゃうと2日で18話とか全部見ちゃうんで、ちょっと距離をとってはいたんですけど……(笑)。
ーーじゃあ本作は個人的にも興味のある題材の作品だったのでは?
そうですね。アニメをテーマにした実写映画っていろいろあると思うんですけど、『ハケンアニメ!』って、最初にアニメーションを作るための具体的な作業をていねいに説明してくれるじゃないですか。
だから、後半のドキドキワクワクするところでも職人たちの作業を描いているところがすごく新鮮だったし、アニメ作りの内幕をああいったところに落とし込めてるのはすごいなあと思いながら観ました。1つひとつの作業を少しでも理解しながら見ると、そういったシーンでもドキドキできるんですよね。だからよりアニメーションに興味が湧きました。
ーーでは最後に、この作品を楽しみに待っている方々にメッセージをお願いします。
世間にいろいろ叩かれたり、打たれたりしながらも、斎藤監督や王子監督が自分の中にある信念を貫き通す気持ちよさみたいなものをこの作品の中に見て、スッキリサッパリしていただけたらいいなと思います。
柄本佑さんから学生のみなさんに手書きのメッセージ!
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PROFILE
柄本佑
東京都出身。映画『美しい夏キリシマ』(03)で主演デビュー。2018年に『きみの鳥はうたえる』、『素敵なダイナマイトスキャンダル』などによりキネマ旬報ベスト・テン主演男優賞、毎日映画コンクール男優主演賞などを受賞。近年の主な出演作に『火口のふたり』(19)『心の傷を癒すということ 劇場版』、『痛くない死に方』(21)、『真夜中乙女戦争』『殺すな』(22)などがある。今後は『犬王』(声の出演)、『川っぺりムコリッタ』(22)、『シン・仮面ライダー』(23)の公開が控えている。
映画『ハケンアニメ!』5月20日(金)全国公開
©2022映画「ハケンアニメ!」製作委員会連続アニメ『サウンドバック 奏の石』で夢の監督デビューが決定した斎藤瞳(吉岡里帆)。だが、気合いが空振りして制作現場には早くも暗雲が...。瞳を大抜擢してくれたはずのプロデューサー・行城理(柄本佑)は、ビジネス最優先で瞳にとって最大のストレスメーカー。「なんで分かってくれないの!」、だけど日本中に最高のアニメを届けたい!そんなワケで目下大奮闘中。最大のライバルは『運命戦線リデルライト』。瞳も憧れる天才・王子千晴(中村倫也)監督の復帰作だ。王子復活に賭けるのはその才能に惚れ抜いたプロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)...しかし、彼女も王子の超ワガママ、気まぐれに振り回され「お前、ほんっとーに、ふざけんな!」と、大大悪戦苦闘中だった。瞳は一筋縄じゃいかないスタッフや声優たちも巻き込んで、熱い“想い”をぶつけ合いながら “ハケン=覇権” を争う戦いを繰り広げる!!
その勝負の行方は!? アニメの仕事人たちを待つのは栄冠か? 果たして、瞳の想いは人々の胸に刺さるのか?
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取材・文/落合由希
撮影/三橋優美子
編集/学生の窓口編集部