佐竹桃華・木村佳乃が“春からの君に伝えたい3つのこと”「チャレンジしようと思うコト自体が立派なこと」
人生の先輩である著名人の方々から、春から新生活、新しい学年が始まる大学生のみなさんに、エールを送る「春からの君に伝えたい3つのこと」。
3月11日よりディズニープラスで独占配信される『私ときどきレッサーパンダ』で、主人公・メイを演じた佐竹桃華さんとその母・ミン役の木村佳乃さん。お二人から春から新生活を迎える学生に向けて、アドバイスをいただきました。
佐竹桃華・木村佳乃が<春からの君に伝えたい3つのこと>
1.勉強できる時間は貴重
――春から新生活を迎える学生がやっておいたほうがいいと思うことはありますか?
木村佳乃(以下・木村):勉強したほうがいいです。勉強できる時間って貴重なんです。私なんかもそうですけど、年を重ねるとやりたいなと思ってもいろんなものに時間を取られちゃって、勉強する時間をなかなか捻出できないんですよ。だからすごく贅沢な時間だと思います。
佐竹桃華(以下・佐竹):私はそんなに勉強が好きじゃなかったんですけど、大学に行かなかった今はもっと勉強しておいたらよかったな、社会に出たときに知識がないとダメだなというのを痛感していて。なので、勉強を頑張りつつたくさん遊んで、学生生活を楽しむことが大事だと思います。個人的には私は映画が大好きで、学生料金で観ることができる今のうちに映画館で映画をいっぱい見るのもおすすめです。
2.ジャンルを絞らずいろんなものを見てほしい
――新生活を迎える学生に、見て・聞いてほしいものを教えてください。
木村:なんでも見たらいいと思います。私も若いときは映画を1日3〜4本見ていました。今同じことをしたらこんがらがっちゃって、何を見ていたんだか分からなくなっちゃうけど(笑)。銀座から日比谷に行って、単館系をひとりではしごしていました。ネットでの予約がなかったから公開と同時に映画館に並んで、それも楽しかったです。『ロード・オブ・ザ・リング』を見るのに、渋谷のディズニーショップの階段に並びましたもん(笑)。すごく混んでいたんですよ。もう今は映画を見るために並ぶことってないですよね。若いときはとにかく体力も時間もありますし、たくさん見てみてください。時は金なりですから、うまく使っていただいて。
佐竹:映画や本もジャンルをあまり絞らず、とにかくいろんな作品を見るのがいいんじゃないかと思います。好きなものだけじゃなく、幅広くいろんなものを見たり聞いたりしてみようと思って、私はいろいろ見るようにしていますね。その中でこの『私ときどきレッサーパンダ』もぜひ見ていただきたいです。
3.チャレンジしようと思うコト自体が立派なこと
――新しいことを始めようと思ったときに、心がけるべきことやっておいた方良いと思うことはありますか?
木村:もうチャレンジすると決めているなら、それだけで立派なもんじゃないですか。やらないで諦めちゃうのが一番もったいないですけど、失敗してもなんでもとりあえずやってみるのがいいと思います。とにかくチャレンジする気持ちが大事です。
佐竹:木村さんのおっしゃる通りで、これ以上何を言ったらいいのかという感じなんですけど(笑)、目標を持って楽しく頑張ってほしいですね。漠然とただやるだけじゃなくて、こうなりたいからやるとか、先を見据えて動いたらいいんじゃないのかなと思います。
メイは親しみやすく共感しやすい主人公
――今回佐竹さんが日本版声優を担当したメイ、木村さんが担当したミンについて、おふたりはどんな人物だと思われましたか?
佐竹:メイの第一印象は憧れの主人公というより、親しみやすさがあって共感しやすい主人公だなと思いました。真面目で頑張り屋な一面もあれば、友だちとハメを外して遊んだり推しのアイドルに夢中になったり、いろんな面があるんです。自分的にはすごくイケてると思っているんだけど、ちょっと抜けているところもあって。そのアンバランスさがすごくかわいいから、ちょっと生意気な発言をしてもそれさえも愛おしく感じる、憎めない、誰からも愛されるキャラクターだなと思いました。お母さんのミンは、ここまでかと思うくらい愛が深くて(笑)。でもそれにはお母さんなりの理由があって、過保護という言葉だけじゃ言い表せない、素敵なお母さんだなとも思いました。
――実際そういうお母さんだったら、佐竹さんはいかがですか?
佐竹:自分のことを愛してもらえるのはすごく嬉しいけど……(子供のことが心配で)さすがに学校まで来ちゃうのは(笑)。
木村:恥ずかしいよねえ(笑)。
佐竹:そうですね。「なんで来るの?」と思っちゃうので、ちょっと厳しいです(笑)。
木村:ミンは本当に過保護なんですよ。すごく心配症で過干渉で、多分メイちゃんが一度もお母さんに口答えをしたことがなかったんでしょうね。でもメイちゃんは子どもからティーンエイジャーに変わりかけている。それを分かっているんですけど、受け入れられないんですよね。だからメイちゃんを自分の思い通りにしようとして失敗しちゃう。特に女の子だし、転ばぬ先の杖じゃないですけど、つい手を出しちゃうんですよね。そういう気持ちは私なんかはすごく共感するし、失敗しなければ学べないことも人生にはたくさんあると思うんですけど、それが愛情かというとそうでもないんだろうなとも思うし、難しいところですよね(笑)。メイちゃんはとにかく一生懸命で勉強もできるし、ママを喜ばせようと必死でかわいいんですよ! でもメイが男の子とチューしようとする絵を描いたら、ミンはそれを握りしめてその男の子のところに行っちゃう。もうこれは絶対にやっちゃいけないです、嫌われますから。あれをやられたら恥ずかしいよねえ。
佐竹:もう外に出られないです(笑)。
一日声の収録をしたらヘトヘトに
――テンポのいいセリフや展開がとても印象的ですが、それを声だけで表現する面白さや難しさを感じた部分はありますか?
佐竹:たくさんあるんですけど、耳からは英語が聞こえるけど自分の口からは日本語を喋らないといけないこと、そして映像に合わせて台詞を言うという作業を同時にすることにやっぱり苦労しました。関西人だからなのかもしれないんですけど、私はどちらかというと早口で、バーっと喋っちゃう癖があるんですよ。今回どこでブレスをしたらいいのか分からないないような長いセリフでも、なんとか時間内に合わせることができて、初めて早口が活きたなと思います(笑)。
木村:すごいね!
佐竹:そして表情に合わせて感情をのせないといけないことも大変でした。日本語としてはこの単語で盛り上がりたいけど、そのとき映像での表情は盛り上がってなくて、自分が思っているのとは違う言い方にしないといけないときもあったのでちょっと難しかったですね。
――冒頭のメイのひとり語りのシーンは、テンポの速さもテンションの高さもすごく印象的でした。
佐竹:最初の心の声のシーンは一番テイクを重ねたシーンでした。導入が大事というのもありますし、声だけで親から受け継がれた教えの重みや伝統を見ている人に伝えないといけなくて。でもそれがただ言っているだけじゃなくて、メイちゃんの思いとして伝えないといけないところがすごく難しかったシーンでしたね。
木村:佐竹さんもおっしゃっていましたけど、やっぱり速さと、日本語と英語では文法が違うので、私たちの気持ちとはちょっと違うところで盛り上げないといけないのが難しいところでした。アニメーションは、人間ではとてもそんなスピードでは表情を変えない、そのスピードでは喋れないというくらい速くて、そこに声を全部つけていかなきゃいけないので体力が必要でしたね。ものすごく疲れるんですよ。
佐竹:本当に、一日収録をしたらもうヘトヘトでした。
メイの成長を感じられるシーンにグッときた
――この作品は見る人によって共感できるシーンやキャラクターがあるように思います。おふたりがグッときたシーンや、お好きなキャラクターを教えていただきたいです。
佐竹:最後のほうは、やっぱり見ていてグッとくるというか、ちょっと涙がポロッと出ちゃったシーンですね。魅力的で面白いシーンがたくさんあるので、ココ!と断言はできないくらいなんです。例えば、友だちのタイラーの家でメイちゃんがダンボールでレッサーパンダになって登場して、「おかゆ混ぜ混ぜ〜!」と踊るシーンは、メイちゃんなりに頭でいっぱい考えて「これなら許してもらえるかな?」という頑張りも見えたりして。本当に見てほしいシーンはすごくたくさんありますね。
木村:私が好きなキャラクターはメイちゃんのお友だちで、ちょっと声が低いプリヤなんです。いつもクールでなんとも面白いんですよ(笑)。全員キャラクターが立っているんですけど、特にツボにハマりました。ティーンエイジャーのきゃぴきゃぴとした感じが一切なくて、ドーンとしているんです。あの子だけ声優さんが私と同じぐらいの年齢の方だと聞きました。
佐竹:そうなんですね!
木村:メイちゃんのお友だちも三者三様で、すごくかわいいですよね。親と遊ぶより友だちと一緒にいるのが楽しくなる時期ってあって、私もすごく覚えています。いいですよね、友だちって。
PROFILE
佐竹桃華
2003年1月19日生まれ、大阪府出身。
2020年に開催された第44回ホリプロタレントスカウトキャラバン「ミュージカル次世代スターオーディション」で特別賞「17LIVE賞」受賞。舞台『天神夢双』(21)、『ゆらり2021』では主演を務めたり、ドラマ「消えた初恋」に出演したりと女優として活躍中。本作が声優初挑戦となる。
PROFILE
木村佳乃
1976年4月10日生まれ、東京都出身。
主な近年の出演作にドラマ「後妻業」(19/主演)、「恋する母たち」(20/主演)、「アバランチ」(21)、映画『記憶にございません!』(19)、『ドクター・デスの遺産―BLACK FILE―』(20)、『ファーストラヴ』(21)、『騙し絵の牙』(21)、『ジャングル・クルーズ』(21/声の出演)などがある。
『私ときどきレッサーパンダ』3月11日(金)より
ディズニープラスにて見放題で独占配信開始
舞台は1990年代のカナダ・トロント。そこに暮らすメイは伝統を重んじる家庭に生まれ、両親を敬い、母親の期待に応えようと頑張るティーンエイジャーの女の子。
でも一方で、親には理解されないアイドルや流行りの音楽も大好き。恋をしたり、友達とハメを外して遊んだり、やりたいことがたくさんある側面も持っていた。そんな、母親の前ではいつも “マジメで頑張り屋”のメイは、ある出来事をきっかけに本当の自分を見失い、感情をコントロールできなくなってしまう。悩み込んだまま眠りについたメイが翌朝に目を覚ますと…なんと、レッサーパンダになってしまった!
この突然の変身に隠された、メイも知らない驚きの〈秘密〉とは?一体どうすれば、メイは元の人間の姿に戻ることができるのか?ありのままの自分を受け入れてくれる友人。メイを愛しているのに、その思いがうまく伝わらずお互いの心がすれ違う母親。様々な人との関係を通してメイが見つけた、本当の自分とは――。
取材・文/東海林その子
撮影/米玉利朋子
編集/学生の窓口編集部