「必ず向き合うことになる課題だからこそ、若い方たちに知ってほしい」~NUMOが若者会議の学生たちと一緒に考えたい高レベル放射性廃棄物の処分問題

高レベル放射性廃棄物の最終処分という重要課題について、特に若い世代への認知拡大の取り組みを強化している原子力発電環境整備機構(NUMO)。
「若者会議」で学生に出題したのは、広報活動に活用できる「デジタルを駆使したコンテンツアイデア」。大会の全日程を終えた今、どんな感想を抱いているのか、メディア広報グループの吉田麻央さんにお話をお聞きました。
電力会社などのPR館を活用するという大賞のアイデアは斬新だった
高レベル放射性廃棄物の処分問題の認知拡大という大きなテーマに関して、今回の「若者会議」で学生たちにどんなことを期待されていましたか?
(吉田さん)日本では 原子力発電で使い終えた燃料をリサイクルし、その後に残る高レベル放射性廃棄物を地層処分することになっています。私たちNUMOが実施するこの地層処分というプロジェクトは、処分施設の建設から廃棄物の埋設、閉鎖(地下施設の埋戻し)まで約100年にもおよぶ壮大な事業です。しかし、処分場所がまだ決まっていません。
地層処分を実現するためには、全国の多くの方にこの問題を知っていただき一緒に考えていただきたいのですが、特に若い方はこの問題をご存じない方が多く、どうすれば認知が広がるのか、ターゲット層でもある学生の皆さんと一緒に考えてみたいという思いがありました。
また、若者会議に携わる学生の皆さん自身に、高レベル放射性廃棄物の処分問題について興味や関心を持っていただきたいという期待もありました。
デジタルを駆使したコンテンツで「高レベル放射性廃棄物の処分問題」の認知と関心を広げるアイデアを募集されましたが、実際にアイデアを審査されて、どのような感想を持たれましたか?
(吉田さん) 難しいテーマだったと思いますが、事業の内容を深く理解され、非常に斬新なアイデアをいただき大変嬉しく思っています。
アイデアの中で印象に残っているものはありますか?
(吉田さん)今まで私たちはとにかく新しいコンテンツを作ることを中心に考えてきましたが、電力会社などが各地に有している原子力のPR館を活用するという大賞のアイデアは斬新でした。
▼大賞アイデア:もぐニューで知る地層処分
逆に学生のアイデアに足りなかったものは何ですか?
(吉田さん) そうですね。学生ならではの制約を受けない自由な発想という点では良かったのですが、ひとつの企画の中でいろいろなアイデアやシチュエーションが継ぎ接ぎに提案されていたところもあったので、テーマやストーリーを一貫させて、ひとつのプランにまとまるまで深掘りしていただければもっと良かったなと思います。
答えのない問題について考える経験自体が力になる
今後の「若者会議」や、それに参加する学生に御社として期待されることはどういった点でしょう?
(吉田さん)高レベル放射性廃棄物の処分については、皆さんお一人おひとりがいろいろな考え方をお持ちだと思います。ですので、学生の皆さんには、地層処分についてもご家族や友達の方々とできるだけ意見を交換したり、相談しあったりして、お互いの意見を尊重して新たな発見や気づきを通して理解を深めていただけると、私たちとしては本当にありがたいと思います。
高レベル放射性廃棄物の処分というテーマは、一般的な企業の商品やサービスのPRとは質が違います。学生に、どんな点を楽しみながら取り組んでほしいと思いますか?
(吉田さん)サービスや商品のPRの場合、ターゲットが明確で目的も「商品を売る」「利益を上げる」といった答えが比較的見えやすいものが多いですが、NUMOの場合、地層処分を実現するための認知や理解を広める活動に正解はなく、さまざまなアプローチがあると思っています。
こういった社会課題を自分ごととして考え、地層処分というゴールに向けて正解のない中で解決方法を探るという経験自体が面白いと思いますし、必ず皆さんの力になります。それが魅力ではないでしょうか。
学生のうちにできるだけ自分の引き出しを増やしておく
最後に、学生に向けてメッセージをお願いします。
(吉田さん)日本で原子力発電が商業的に利用され始めたのは1960年代で、当時もさまざまな議論が行われたと思います。その世代の方には高レベル放射性廃棄物の処分問題についての認知や関心は高いのですが、私を含め、生まれた時から原子力発電で作られた電気を普通に使っている世代には、高レベル放射性廃棄物が発生していることや地層処分を知らない人も多いのではないかと思います。でも、高レベル放射性廃棄物は必ず処分しなくてはなりませんので、その議論や判断にいずれ皆さんも参加していくことになるでしょう。まずは、何が問題になっているのかを知り、正しい情報を得て理解を進め、自分の意見を持ってほしいですね。
また、高レベル放射性廃棄物以外にも日本にはたくさんの課題があるので、どんな社会問題でも自分に関係ないと思ったりせず一旦は立ち止まって、情報に目を通したり、調べたりしてほしいです。興味や関心が湧き、自分の意見も生まれてくるはずです。そうやって、いまのうちにできるだけ自分の引き出しを増やしてほしいですね。
■原子力発電環境整備機構 "NUMO(ニューモ)" からのお知らせ
日本では、過去50年以上にわたって原子力発電を利用してきたことに伴う「高レベル放射性廃棄物」が相当量発生していて、人間の生活環境に影響しないよう、地下深くの安定した岩盤に埋設(地層処分)することになっています。
私たちNUMOは地層処分の実現に向けて、様々な取組みを行っています。皆さんも、地層処分について一緒に考えてみませんか?
こちらから地層処分の情報をご覧いただけます。

(マイナビ学生の窓口 若者会議運営事務局)