加賀まりこ「お金を費やしたことは、全部自分の身になる」#ボクらの時代コラム
様々なジャンルで活躍する著名人の方々によって繰り広げられるトーク番組『ボクらの時代』。あえて司会者を置かない本番組では、ここでしか聞けないトークが盛りだくさん。人生の先輩であるみなさんのお話は、きっと学生のみんなにきっかけやヒントを与えてくれるはずです。
フジテレビ提供
10月24日(日)に放送された『ボクらの時代』では、女優の天海祐希さん、加賀まりこさん、若村麻由美さんが登場。長年にわたり女優として活躍している3人が、女優になったきっかけやそれぞれの結婚観、またプライベートについてなど、幅広いテーマで語り合いました。
「籍を入れるなんていつでもできるけど、それがそんなに大事だと思ってない」
加賀さんや若村さんと、プライベートでも親交があるという天海さん。それぞれ、加賀さんとは20年来、若村さんとは30年以上もの付き合いになるそうで、特に若村さんとは、天海さんの宝塚の同期生が若村さんの高校の同級生で、その友人を介して知り合ったこともあって、「田舎の同級生感がある(笑)」と話す若村さん。「仕事で一緒になる前から知っていたせいか、こうして一緒にお仕事させていただく時の方がちょっと緊張して。普段ほとんどすっぴんでしか会ったことがないので」と笑います。
「ゆりちゃん(※天海さんの本名)といると安心できるんです。普通の自分でいられる。ダメなところも全部フォローしてくれるし」と話す若村さんに、加賀さんも「一緒にご飯に行くと安心ですよ。この人、ボディガードの代わりになるし(笑)」と同意します。
フジテレビ提供
天海さんが「よくお食事に誘っていただくんですけど、もうね、浅丘ルリ子さんと加賀まりこさんという大女優様を2人……。(左を向いて)『ルリ子さん、大丈夫ですか!?』」(右を向いて)「まりこさん……」と、天海さんが身振り手振りでエスコートの様子を実況すると、加賀さんも「片手にルリ子、片手にまりこでね(笑)」と合いの手を入れます。それを聞いた若村さんは、「それはたぶん、並の男じゃダメですね(笑)」と感心しながら頷いていました。
そんな天海さんの結婚については「全然期待してない」と言う加賀さんですが、「でも、私だって55歳で今のダンナに振り向いてもらえなくて、60歳になった時にやっと『いいよ』って言われたんだから、あなたもまだ時間があるわよ」とも話します。
「籍を入れるなんていつでもできるけど、それがそんなに大事だと思ってない。でももう18年目かな」と、加賀さんが現在も事実婚状態であることを話すと、「加賀さんとご主人を見ているととっても素敵だなと思うんだけど、いざ自分のこととなると、そうしたいという欲求がない」と天海さん。さらに、「全然このままでいい。というかこのままがいい。今ものすごく楽しいし幸せだから、もうこれでいい」とキッパリ。すると加賀さんが「この人がここまで言うのは、私も相当『この人はどう?』っていろいろ見繕ってみたんだけどダメだったから。いいんじゃない?」と、まるで母親のような顔で苦笑していました。
無名塾の芝居を見て雷が落ちるような衝撃を受けた
3歳から日本舞踊を習っていて、それが唯一長く続いたお稽古ごとだったという若村さん。「中学生で名取の試験を受けて、将来踊りで食べていけるようになりたいと思っていたけど、高校生になるとだんだん自分の実力がわかるようになってきて。『あ、それほどでもないな』って(笑)」と、踊りの世界で食べていくことをあきらめたことを明かします。
さらに、当時蕎麦職人にもなりたいと思っていた若村さんは、「高校生の頃は蕎麦屋めぐりをして、『どこで修行をしようかな』と考えていた」んだとか。そうこうするうちに、たまたま無名塾の芝居を観る機会があって、「もう、雷がドーン!みたいな(笑)」と、衝撃を受けたことを明かします。「それで、演劇を作る仕事を生業としたいと思って。別に役者じゃなくても、何かこの劇空間を作る仕事に就きたい!って」と思うようになり、無名塾に入塾したと言います。
一方、加賀さんは「私はうちがみんな裏方の仕事だから、裏方の仕事には就くかもと思ってたけど、まさか出る人になるとは夢にも思ってなかった」という意外な発言で若村さんを驚かせます。
父親が芸能プロデューサーで、芸能一家だったという加賀さん。しかし、デビューのきっかけについては「父親となんの関係もない会社の篠田(正浩)監督と寺山修司さんに、高校2年生の時に学校の帰り道でナンパされて。『今作品を撮っているのに、ヒロインが次々とやめちゃって困ってる』って言われて。その話を父親にしたら『あなたで役に立つかどうかわからないけど、夏休みだしやってあげたら?』って。それだけよ」と、こともなげに言い放ちます。
「お金を費やしたことは、全部自分の身になる」
そんな加賀さんでしたが、20歳で女優を休業し、単身パリへ向かいます。当時を「女優さんをやめて、普通の女の子になりたかった」と振り返る加賀さんは、その頃貯まっていた“びっくりするほどのお金”について、「普通になるにはこれを使っちゃわなきゃいけない」と思ったと言います。
天海さんに「お金を使うのは楽しかったですか?」と聞かれると、「お金を費やしたことは、全部自分の身になるの。贅沢にしてもなんにしても」と話す加賀さん。「だって、20歳やそこらの日本から来た小娘がシャネルのオートクチュールのお店に行くと、私のためにコレクションをやってくれるの。たったひとりの客のためによ?それにまずびっくりするじゃない。だけど、「いいです、帰ります」とは言えないから「じゃあ、あれとこれと……」って注文するでしょ? そこで味わった雰囲気とか、そのあとの仮縫いのものすごく丁寧な雰囲気とか、ものすごいお値段の請求書とか……。そういうことって、もう味わえないことじゃない?」と、若い頃の貴重な経験を振り返ります。
他にも、文豪・川端康成との朝食デートの思い出など、ほとんど歴史的とも言える貴重なエピソードまで明かしてくれた加賀さんに、「ありえない! すごすぎる!」と興奮する天海さんと若村さんでした。
「若い頃の苦労は買ってでもせよ」という言葉がありますが、加賀さんの体験は一見それとは真逆のように思えるかもしれません。でもその裏側には、当時の加賀さんが二十歳という若さで「女優をやめよう」と思い、休業までするほどの何かがあったのではないでしょうか。そう考えると、そのときは辛くても、やはり“若い頃の苦労”は誰にとっても貴重なものと言えるのかもしれません。
大学生のみなさんも、苦労でも楽しいことでもなんでも、とにかくいろんな体験をたくさんして、いろんなことを身につけていってくださいね。
『ボクらの時代』フジテレビ系(毎週日曜7:00~7:30)
放送日:10月24日(日)
天海祐希×加賀まりこ×若村麻由美
『ボクらの時代』公式ホームページ
<次回の放送>
10月31日(日)7:00~7:30
若林正恭×クリーピーナッツR-指定&DJ松永
文:落合由希
編集:学生の窓口編集部