「持っていないものは必要ない」ひかりのなかに・ヤマシタカホがコンプレックスを乗り越えて前進できる理由 #セルフライナーノーツ
2月3日(水)にデジタル・ミニアルバム『まっすぐなままでいい』をリリースした「ひかりのなかに」。今回のアルバムは、ヤマシタカホ(Vo/G)を中心とした新体制で初の音源リリースとなりました。
2017年に結成し、10代の頃から音楽活動を始め、がくまど読者と同世代の彼女。そんな彼女に悩みやコンプレックスとの向き合い方について話してもらいました。
「音楽だけが肯定してくれた」自身の経験を元に、誰かの支えになれる存在へ
――新体制になった「ひかりのなかに」について教えてください。
ヤマシタカホ(Vo/G):「ひかりのなかに」は高校生活の中で組んだバンドでもあるので、楽しい部分が伝わればいいなと思って活動していました。
でも、今回メンバーが2人抜けてわたしだけの新体制になったことで、改めてバンドについて見つめ直しました。
それで、これからは自分が楽しいだけじゃなくて、「ひかりのなかに」の曲を聞いてくださる人の心の拠り所になるようなバンドになれたらいいなと考えています。
――それはヤマシタさん自身が、これまで音楽に支えてきてもらったから、そういう風に考えるようになったんでしょうかね?
ヤマシタカホ:そうですね。わたし、高校生活の中で通信制の高校に編入した経験があるんですけど、当時は自分にとって、ある意味すごくショックだったんですね。
当たり前に中学3年間通い続けたように、高校も3年間通えるのが普通だと思っていたから、それができない自分は社会に受け入れられないんじゃないかって、劣等感を覚えてしまったんです。周りからも否定されているんじゃないかって思い込んじゃって…。
そんなときに唯一、自分を肯定してくれたのが音楽だったんです。自分自身が音楽に救われた経験があって、そのときの気持ちをわたしは知っているから、誰かの支えにもなれるんじゃないかなって。
――特に支えになった曲があれば教えてください。
ヤマシタカホ:いろんな音楽を聞いてはいたんですけど、SAKANAMONの「妄想DRIVER」という曲ですかね。歌詞の中にも「学業から逃げていい」というようなニュアンスの部分があって、できないことがあっても、かっこいい音楽やれてるし、それでも生きていけるし、いいんだなって思えたんです。
好きなことを大事にできたらコンプレックスは怖くない
――ヤマシタさん自身がそうだったように、がくまどの読者の中には、なにかしらの悩みやコンプレックスを抱えている学生は多いです。ヤマシタさんは、これまで自身のコンプレックスとどう向き合ってきましたか?
ヤマシタカホ:わたしもね、自分のことがすごく嫌いだったんですよ。「どうして自分はもっと上手に人と関わることができないんだろう」とか「もっと言葉を選べばよかった」とか。
でも、別に友達の数が少なくても意外と生きていけたし、自分には音楽があったから、それでいいじゃんって思えたんです。自分がもともと持ってなかったものは、自分にとってはいらないものだったんだなって。
だから、どんなに小さなことでもいいので好きなことを大切にしていたら、それでいいと思います。
――なるほど。
ヤマシタカホ:だって、何かを好きでいることに友達はいらないし、家族に反対されたって、結局は自分の人生ですからね。
わたしも音楽をやる上で「音楽で食べていくのは難しい」とか「考えが甘い」と言われたんですけど、そんなの知らないんですよね。どうでもいいんです。自分は好きだし、これがやりたいと思ったから突き進む。そしたら、どんなに時間がかかったとしても、何かしらの結果は残ると思うんです。
もしかしたら、きれいごとに聞こえてしまうかもしれないけど、好きなことだけは手放さないでいたら、意外と気楽に生きていけると思います。
――そのことに気づけたのっていつだったんですか?
ヤマシタカホ:高校を卒業するくらいの時ですかね。勉強も得意じゃない、人間関係もうまくいかないって自分が1番落ち込んでいた時に、唯一残ったのが音楽だったんですよ。
そのときに、2歳の頃から大好きな音楽だけが、自分に残ったことって奇跡なのかもしれないなって思えたんです。それでやるしかないな、大事にしないとなって。
悩むことで人は成長できる
――なるほど。そうは言っても、悩むことって誰でもあるとは思うんですね。ヤマシタさんは、そういうときどうやって解決したり解消したりするのでしょう?
ヤマシタカホ:うーん…無理に悩みを解決しようとせずに、落ち込むときはゆっくりと考えますかね。 だって悩みって誰でも持ってるじゃないですか。一見、うまくいってそうな人でも、その人にはその人なりの悩みがあるし、悩みを持っていることを悲観的に思う必要はないんです。
それに無理に解消しようと気分転換しても、悩みがある時ってふとした瞬間に頭の中によぎっちゃいますからね。
――たしかに。そう考えると、とことん考え抜くことって悪くないですね。
ヤマシタカホ:わたし自身、今回、新体制になるにあたって1ヶ月以上「これからひかりのなかにというバンドをどうしていこう」って毎日考えてました。
でも、アルバムが出来上がった今、自分が納得するもの、本当にいいなと思うものができあがって、あの時間は必要だったんだなって思えるんです。
だから、自分が成長するためにも悩むことって大事なのかなって。
――なるほど。成長ってなかなか気付きづらいものな気がするのですが、ヤマシタさん自身、どんなときに成長を感じますか?
ヤマシタカホ:昔の写真を見るような感覚で自分の過去の音源を聴いたときですかね。 なんか、今聴くとめっちゃ下手だったりするし、「もっと頑張ってよ」って言いたくなることがあるんですよ。そうやって「過去よりも今の方がいいな」と思えたときに、ちゃんと成長できてるんだなって思えますね。
――今回発売となったミニアルバム『まっすぐなままでいい』ですが、どんな人に聞いてほしいですか?
ヤマシタカホ:たくさんの人には聞いてほしいのはもちろんなんですけど、わたしの曲ってコンプレックスに悩んでいたり、自分に自信がない人が共感しながら、聞いてくれていると思うんですよね。
そんな人たちの悩みを消すことはできないけど、悩む自分を咎めるんじゃなくて、悩んでも別にいいか、お互いに頑張ろうって思えるような気持ちになってくれたらうれしいです。
――最後にこの記事を読んでいる人にメッセージをお願いします。
ヤマシタカホ:今は悩んでいる人も多い時期ですよね。オンライン授業しかできずにモヤモヤしているとか、別のことしてみようか迷うんだよねっていうのをよく聞きます。
そんなときに、なんか違うかも、こっちの方がいいかもって思うものがあったら、ぜひやってみるのがおすすめです。
昔から継続することこそが正義って思われがちですけど、今は情報が簡単に手に入る時代、自由にいろんなことができる時代だと思うんです。
だから、視界をせばめないで、とりあえずやって見ること。最近はギターをやってみたいのなら、スタジオに行けば借りれるし。無料版で試せる音楽ソフトもありますからね。ぜひ気軽に試してみてほしいです。
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