【レポート】大学生は今こそ問題解決力を!明治大学商学部×独立行政法人国立美術館×マイナビ学生の窓口産官学連携プロジェクトに迫る
こんにちは!明治大学商学部福田康典ゼミナール11期(以下、福田ゼミ)の大越です。私たち福田ゼミナールは日ごろ、市場調査などを中心にマーケティングに関わる幅広い分野について学んでいます。「ゼミ生主体の活動」を強みとしており、輪読などを通した知識の習得だけでなく、本記事掲載の「産官学連携プロジェクト」への参加、また過去にはビジネスコンテストに挑戦するなど、実践的な場での取り組みにも力を入れています。
過去に行われたゼミ合宿の様子
突然ですがみなさん、「産官学連携プロジェクト」というものをご存知でしょうか?名前を聞いて、「なんだか堅苦しそう……」とか「何かのビジネスコンテスト?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに、名前だけ聞くと難しそうですよね。
しかし、この「産官学連携プロジェクト」は、産(企業)、官(公共団体や行政)、学(大学)が連携することで生まれる実践的な学びの機会を通じて、これからの時代を生きていく上で必要不可欠な「問題解決力」を養うことができる、大学生にとって大変価値のあるプロジェクトなのです。
今回は、マイナビ学生の窓口、独立行政法人国立美術館(以下、国立美術館)そして福田ゼミという三者の連携により開催されたプロジェクトに私自身が参加し、実際に感じたことや得られた学びについてお伝えします!
オリエンテーションとお題発表
昨年9月、初回のオリエンテーションはオンラインで行われました。国立美術館では、全国で6つの美術館を設置し、美術作品の収集保管・展示・調査研究・教育普及といった事業を行っていることや、キャンパスメンバーズといった会員制度の仕組みや課題についてお話しいただきました。そして発表されたお題がこちら。
【お題】「マイナビ学生の窓口を活用し、まだキャンパスメンバーズを知らない・使ったことのない大学生が、キャンパスメンバーズに興味を持ったり美術館へ足を運んでみたくなったりするようなプロモーションプランを考えてください。」
このお題のもと、2020年9月8日から11月30日までの約2か月半のプロジェクトが行われました。
キャンパスメンバーズとは?
国立美術館が提案する、大学・短期大学・高等専門学校等を対象とした会員制度。入会済みの学校の学生や教職員は、展覧会等を無料または割引料金で観覧することができる。
国立美術館キャンパスメンバーズ
発表までの取り組みの過程
オリエンテーション後は福田ゼミ内で5つの班に分かれ、いただいたお題について議論を進めました。各班、Zoomを用いてオンライン会議を開催したり、実際に美術館やマイナビの担当者様を訪問したりと、意欲的にプロジェクトに取り組みました。
「どうしたら大学生の興味を喚起できるのか」「今までにない斬新なアイデアを考えるにはどうしたらよいか」「どういったアイデアなら採用される可能性が高いのか」「主張を裏付けるデータを集めよう」などなど、考えなければならない問題が山積。私たちゼミ生は頭を悩ませながらも、学んできたことを駆使し各班一丸となって、プレゼンテーションの準備を行いました。
東京国立近代美術館(左)・国立西洋美術館(右)を訪問した際の様子
最終発表
2020年11月30日に新宿ミライナタワー12階会場にて最終報告会が行われました。 約2か月半に渡るプロジェクトの集大成、会議室には緊張感が漂います。
ここから、各班の発表の様子と代表者のコメント(プロジェクトを通しての感想、大変だったことや学んだこと)を掲載します!
1班「美術品に学ぶ、大学生活への活用術!」
美術品に用いられている技術を、日常に生かすという切り口からの提案。例えば美術品の技術を資料作成に、当時のファッションやカルチャーを現代のファッションに、絵の構図をInstagramの写真に取り入れるなど、美術品を自分事化して楽しむためのハウツーを紹介。
プロジェクトを通しての所感:普段大学で学んでいるマーケティングの知識が実際に生かされるプロセスを理解することができ、大変貴重な経験となりました。また、チームでのワークであったため、はじめは班内で意見のすり合わせがうまくいかないこともありましたが、プロジェクトが進行するにつれてメンバーひとりひとりの強みを生かした役割分担の重要性を認識するようになり、メンバーと協働し、ひとつのアウトプットを生み出すことの難しさとやりがいを学ぶことができました。
大変だったこと・学んだこと:「大学生らしい視点を持ったプロモーションプランを」という国立美術館の要望をどのように実現するかという点が大変難しかったです。普段、大学生に向けたプロモーションを考案する際、費用や効果を考慮するとどうしてもSNSに頼ってしまいがちですが、「自分たちはそのプロモーションで本当に興味を抱くのか?」と常に大学生の視点を持って議論を進めることに注力しました。本プロジェクトを通して、そうした“当たり前”を疑う姿勢が身についたと感じています。
2班「美術館de大喜利」
「美術館=敷居が高い」という堅苦しいイメージを払しょくするため、美術館×大喜利という新しい楽しみ方を提案。お笑いサークルの大学生グループに美術品で大喜利をしてもらい、その様子を取材記事にする企画。美術館を遊びに出かける場所のひとつとして仲間と一緒に利用してもらうことと、作品の魅力をカジュアルに伝え、見る人によって作品の捉え方が変わるという面白さを伝えることを狙いとしている。
プロジェクトを通しての所感:今までは消費者側の目線で、企業が行うイベントや広告などの宣伝活動に接していましたが、今回のプロジェクトを通して企業側の目線に立ち、何が企業にとって一番必要なことかを考える機会をいただき、大変勉強になりました。私たちの班の企画は美術館のイメージを大きく変えてしまう可能性のある提案であったにもかかわらず、評価をいただき大変感謝しています。
大変だったこと・学んだこと:学生という立場で実際の社会経験が少ない中で、予算や企画の規模感などの実現可能性も視野に入れて考えなければならない点に、最も苦労しました。他班の発表では実際の予算や集客の算出を行っているところもあり、数字の説得力を学びました。
3班「Best of Art」
コロナ禍を経て家にいる時間が増え、部屋をおしゃれにしたいというインサイトや、SNS投稿のネタが欲しいという大学生のインサイトを捉え、美術館で手に入れられるポストカードを部屋のインテリアにするという提案。美術館を、絵を鑑賞する場所から絵を手に入れる場所にすることで、来館のハードルを下げる企画。
プロジェクトを通しての所感:企業や団体と実際に連携する機会をいただくことができ、今まで大学で学んできたことをどうやって生かし、形にするかを考える過程がおもしろかったです。実際に美術館や“キャンパスメンバーズ”に多くの魅力やメリットを感じることができ、ひとつの物事をさまざまな視点で見ることの大切さを痛感しました。
大変だったこと・学んだこと:授業でマーケティングを学んでいるときは、過去の事例をなぞるため、スムーズにアイデアが思いつくことができたのですが、本プロジェクトでは、ゼロから新しいアイデアを生み出す難しさを実感しました。実際に自分たちで施策を生み出すという経験が、今後の学びにつながるであろうと感じています。
4班「絵画に入り込む体感型フォトの提案」
チームラボやGalaxy Harajyukuといった「アート×Instagramと」いう学生のトレンドに着目し、絵の中に入り込むことで自分だけの一枚の作品が出来上がるような美術館の楽しみ方を提案。来館までのフックとして、クリア素材のスマホケースに思わず入れたくなるようなオリジナルの名刺カードを作成し、そこからの口コミ拡散を狙う企画。
プロジェクトを通しての所感:プロモーションプランをはじめから企画するという実践の機会をいただき、大変貴重な経験となりました。『最終的にはSNSで集客』するというデジタル世代に生きてきたため、リアルとデジタルを組み合わせてプロモーションプランを考える本プロジェクトの内容は新鮮で、多くの学びがありました。
大変だったこと・学んだこと:アイデアを実際に形にすることの難しさを学びました。根拠となるデータを収集することが、学生のレベルだと難しいと感じました。また美術館という性質上、新規顧客の集客ばかりに注力しすぎると既存のファンを失うことに繋がるのではないかと考え、新規と既存のお客様、両者の獲得を同時に考えるのが難しいと感じました。
5班「水曜日のアートフェス」
50件以上の友人を対象としたアンケートと、実際に美術館に足を運んだ実体験をもとに、美術館を大学生でも楽しめる空間にすること、「敷居が高い」「知識がないと楽しめない」というイメージを払拭することを狙いとした、若年層向け定例イベントを提案。毎週水曜日の夕方から、音楽やフード、会話を楽しみながらカジュアルに美術館へ足を運んでもらう企画。
プロジェクトを通しての所感:実践的なプロジェクトで、ゼロから自分たちでアイデアを生み出し詳細まで考えなければならないため、実現可能性を高めることが難しいと感じました。
大変だったこと・学んだこと:美術館が自分たちにとってあまり馴染みのない場所だったため、課題を自分ごととして考えることが難しいと感じました。その一方で、“美術品を鑑賞する”といった、これまであまり興味を持っていなかったことも、本プロジェクトを通じて自分の足で見て回ったり、データを集めたりした上で企画に取り組んだため、客観的な視点と主観的な視点の両方を持ち、プロモーションプランを考えることができました。
表彰式の様子
最優秀賞は、大喜利を美術鑑賞の新しい切り口として提案した「美術館de大喜利」が獲得し、景品が贈られました。
表彰式では、国立美術館の担当者の方々から「大喜利という学生が関心を持つテーマに目を向け、エンタメ性を持たせた企画にすることで美術館の敷居を下げることができる。また本企画をきっかけとして、美術品そのものへの興味を喚起することも期待できる」と評価を頂きました。
まとめ
いかがだったでしょうか?IT技術の進化や、家庭・社会にける人間関係の希薄化、また、働き方の多様化などによって「ワークアズライフ」と呼ばれる生き方が重要視されるこの時代。そうした時代で人生を充実させるためには、主体的・協働的に問題を発見し解決する「問題解決力」は欠かせない力です。そんな「問題解決力」を養う手段のひとつとして、実践的な学びの機会を得ることができる「産官学連携プロジェクト」。このレポートをご覧いただいたみなさんが「産官学連携プロジェクト」に興味を持っていただけたら幸いです。
文・大越孝太朗
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