日本はジェンダー課題国!? 国連のスペシャリストに聞く世界のジェンダー事情

編集部:ろみ
2020/07/15
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「SDGs」には17のゴールが設定されていますが、日本が特に力を入れて取り組まなければならないのが目標5「ジェンダー平等の実現」。つまり、男女差別の解消と女性のエンパワーメントです。
世界経済フォーラムが発表した2019年版の「世界ジェンダー・ギャップ報告書」で、日本はなんと153カ国の中で121位、先進7カ国の中では最下位という結果でした。その原因は何なのでしょう?
日本で普通に暮らしているだけではなかなか実感しにくいこの問題について、国連機関で途上国のジェンダーの問題に取り組む内野恵美さんにお話をお聞きしました。

内野さんが日本のジェンダー・ギャップに疑問を持ったキッカケ

――日本でもジェンダー格差の問題は近年、少しずつ注目を集めていますが、内野さんがこの問題に関心を持つキッカケは何だったのでしょう?

私が生まれたのは、日本国内で「男女雇用機会均等法」が制定された1980年代でした。当時、職場での男女差別が多くみられたにもかかわらず、私の母はキャリアウーマンとして活躍していました。ただ、父との結婚のタイミングで仕事を辞めて…。その話を聞き、小さな頃から『なんで女性は結婚したら家に入るんだろう』と疑問に思っていたんです。『女性だからって選択肢が狭まるのはおかしいし、仕事って社会とのつながりを作る大切なものなんだ』とも考えるようになりましたね。

――内野さんも、女性であることで差別された経験はありますか?

私は高校まで女子校で、大学も女子率の高い学部だったんです。男性と比べられる機会が少なかった分、就職で男性社会に飛び込んだときは驚きました(笑)。海外出張や幹部向けのプレゼンテーションなどの大きな機会を任せてもらえることは比較的多く、その点ではとても感謝しています。その一方、『若い女性』としての役割、例えばコピー用紙の交換が自然に自分の仕事になっているように感じたり、取引先との会食に場を和ませるために呼ばれたように感じたり…。その役割・印象もあってか、仕事で結果を出しても評価されない場面もあり、悔しかったのを覚えています。

▶東日本大震災の被災地・岩手県では、女性の雇用創出に尽力した内野さん。

――世界では、どのような女性差別が問題視されているのですか?

一つ重要なのは、ジェンダー平等を達成、つまり、男女差別が完全に解消された国は世界中どこを見てもまだない、ということです。力や社会的立場の弱い女性への暴力は世界中で起きており、世界中で3人に1人の女性が生涯で一度は身体的もしくは性的暴力の被害にあうというデータもあります。一部の国では女性器を切除する社会的慣習があったり、経済的な理由から親子ほど歳の離れた男性との結婚を強いられる女児も少なくありません。また、雇用機会の不平等、公の意思形成の場に女性がいないことや、家事の分担の問題などで、キャリアと育児の両立を難しく考える女性も多いように感じます。

――内野さんはこれまで世界中を飛び回られていますが、どんな活動をされてきたのでしょうか?

民間企業を辞めたあと、東日本大震災の被災地で女性の雇用支援に取り組んだり、アメリカの大学院在学中にインドやアメリカ、ヨルダンで女性支援や研究調査を行いました。昨年までは、ジェンダースペシャリストとして南米のガイアナ共和国で女性の災害管理能力の強化や農業支援などに取り組んでいましたね。今は国連人口基金という機関に在籍し、インドネシアで自然災害や新型コロナウイルス感染症の被害を受けやすい女性や女児、高齢者の保護に取り組んでいます。

海外のジェンダー・ギャップ状況は? 世界と日本を比較

――ガイアナ共和国は日本ではあまり聞き慣れない国ですが、ジェンダー・ギャップはどのような状況ですか?

ガイアナ共和国は南米の北の端、ブラジルやベネズエラに接する、南米の中でもかなり貧しい開発途上国です。国民のデータがあまり正確に把握できておらず、世界経済フォーラムが発表している『ジェンダーギャップ指数ランキング』にも含まれていませんが、体感的には、ガイアナ共和国のジェンダーをめぐる状況は悪くないように感じました。正直、日本よりもいい分野もあります。

▶ガイアナ共和国では、女性の災害管理能力の強化などのプログラムに取り組んだ。

――例えばどのような点で日本より良いと感じるのですか?

まず、女性の政治参加が高いこと。女性の大臣もたくさんいて、閣僚、議員の3割が女性です。経済的分野についてはデータが少ないのであくまで体感にはなりますが、女性の経済参加も進んでおり、特に職場や家庭での理解が進んでいるなあと感じることが多かったです。子供を面倒見る人がいないから、職場に来て遊ばせていたり、お迎えのために早退する男性職員もいたりしました。自分自身のキャリアのために、小さい子供を国内に置いて、海外の大学院で学位を取って来たと話してくれた政府の女性管理職の方もいました。

――インドの状況はどうだったでしょうか?

インドの性犯罪の多さは日本でも報じられていますが、ジェンダー・ギャップ指数ランキングは112位と、総合的には日本よりも上位にランクインしています。確かにインドでは私もひとりで出歩かないようにしていました。ただ一方で、裕福な階層の女性は政治、経済面の参加も進んでいますし、教育レベルも高いんですよ。過去に女性の首相も複数いて、女性の政治参画度では世界18位にランクしています。

日本にいるとなかなかわからないものですね!

そうですね。逆に、日本に帰るたびに改めて気が付くこともあります。例えば、新聞で見かける集合写真や大規模なイベントの登壇者などは、いつもスーツ姿の男性ばかりですよね。これには違和感を覚えます。

次のページ日本のジェンダー・ギャップ指数は過去最低!?
編集部:ろみ

学生時代は南米に留学していたラテン系関西人。好きなものは音楽とスポーツ観戦とお酒です。映画を見たり、料理をするのも好き。

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