不安や葛藤は未来の自分の糧。『SUPER BEAVER』ボーカル・渋谷龍太が 届けたい想い #好きなことで、生きていけるの? Vol.5

編集部:おもち
2018/12/20
将来を考える
あとで読む


「“こうあるべき”な生き方じゃなくて、自分の好きなことで生きていきたい。」
そんな悩みや葛藤を持つ大学生のために、覚悟を決めて、好きなことをして生きている人たちにお話を伺い、生き方のヒントやメッセージをもらう連載『好きなことで、生きていけるの?』。

第5回目となる今回のゲストは、2018年4月には日本武道館でのワンマンライブを即日ソールドアウトさせ、ドラマの主題歌を務めるなど、いま、勢いのあるロックバンド『SUPER BEAVER』のボーカル・渋谷龍太さん。結成14年目のSUPER BEAVERの渋谷さんに、「好きなことで生きる」ことについて聞いてきました。

取材・文/峯岸利恵
撮影/飯本貴子
編集/学生の窓口編集部

INDEX

1.普通の会社に行くことも全然嫌ではなかった
2.「好き」という気持ちが勝るなら仕事にしたらいい
3.逃げたり辞めたりすることは間違ったことではない
4.「負」はこの先も付き合っていけるパートナー

普通の会社に行くことも全然嫌ではなかった

不安や葛藤は未来の自分の糧。『SUPER BEAVER』ボーカル・渋谷龍太が 届けたい想い #好きなことで、生きていけるの?Vol.5

ーー渋谷さんが「バンドを仕事にする」と決めたのはいつですか?

具体的なきっかけはなくて、活動していくうちに徐々に意識が変わっていったという感じでした。バンドで生きていくことが僕の一番の希望ではなかったですし、バンドを仕事にして音楽で食べていこうとは、正直そんなに思っていなかったです。

自分が何かのために自発的に行動するような人間ではなかったので、成り行きではないですけど、やりたいことがあった訳ではないので、普通の会社に行くことも当時の自分なら全然嫌ではなかったです。色んな分岐点があった中で、当時はどう転んでもおかしくなかったと思いますが、考え始めたのは23歳のころにメジャーデビューから落っこちて、自分たちでインディーズで活動を始めたときです。

ーー喜ばしい出来事がきっかけではなく、メジャーデビューからインディーズに舞い戻るという、かなり酷な心境のときにこそ決断の足掛かりを見出したのはなぜですか?

人生で初めて大きな挫折を味わったのがメジャーのときだったんですよね。自分は両親のおかげで不自由なく暮らさせていただいていたので、言ってしまえばそれまで僕は苦労したことがなかったんです。

メジャーというフィールドに立ったときに「自分の力じゃどうにもならない」「もう無理かも」「音楽をやめるかどうか」っていうところまでいっていたので、そこで初めて大きな壁にぶち当たって、どうにかしてやりたいって思ってやっぱり悔しくなりましたね。煮え切らないスタンスやバックボーンがない自分に嫌気が差しましたし、そのころに自分を見つめ直す時間や周りにいてくれる人と向き合うようになりました。

ーーその挫折を乗り越えても音楽を続けるという意志はいつ芽生えたんですか?

そのときは”周りの人に這い上がらせてもらった”に近いですね。当時は他のメンバー3人と、周りのバックアップでどうにか音楽を続けさせてもらっていただけでした。その人たちまで引っ張っていかなきゃいけないとか、メンバー3人を背負ってやっていかなきゃいけないと思ったのはもう少し先の話ですね。この時点ではおんぶにだっこに近かったと思います。

「好き」という気持ちが勝るなら仕事にしたらいい

不安や葛藤は未来の自分の糧。『SUPER BEAVER』ボーカル・渋谷龍太が 届けたい想い #好きなことで、生きていけるの? Vol.5

ーーその当時が23歳ということで、就活生と年齢も近いころのお話ですね。就活をしていると「好きなことを仕事にしないほうがいい」という話もよく聞きますが、今の渋谷さんにとってバンドをしていることは仕事ですか? 好きなことですか?

難しいところですけど、どっちも思います。これに関しては金銭や時間、気持ちが発生していますし、“好きなことだけやっている”という感覚だけではできないですね。自分の知らないところで色んな方が動いてくださっていて、ライブに来てくれたり音源を買ってくれたりするにも、時間とお金が発生していると考えると、やっぱりそういったことへの責任感は自分で持っていたいなと。ただこの責任感は、自分が楽しいと思っていることですし、プレッシャーから「これが仕事だ」と思おうとはしていないです。

「好きなことを仕事にしないほうがいい」ということに関しては、「好き」という気持ちが勝るなら仕事にしたらいいと思います。いい面も悪い面もどっちも見えるはずですし、もし悪い面を見て失望してしまうくらいだったら仕事にしないほうがいい。その面をひとつの現実として受け入れて、その上で魅力を感じることができるのなら、ガンガンお仕事にしたほうが僕は幸せだと思いますね。この判断は「その事柄がどれだけ好きかという気持ちの大きさ」と「自分にとって息抜きなのか、生き甲斐なのかどうか」だと思うので、そういった一般説が一概に正解だとは言えないし、個人が決める問題だと思います。

ーー反対に夢や理想や目標がなく、やりたいことが見つからないことで進路を悩む若者も多いと思うのですが、それについてはどう思いますか?

なにかをバンッと決めるのってとても難しいと思うんですよね。夢や目標は持っていなきゃいけないとか、この先どうしていくかを決めるリミットって、高校や大学を卒業するタイミングっていうのは確かにあるんですけど、そこで決める必要は全然ないと思うんです。

不安や葛藤は未来の自分の糧。『SUPER BEAVER』ボーカル・渋谷龍太が 届けたい想い #好きなことで、生きていけるの?Vol.5

個人差があることだし、スタートラインを定められてヨーイドンを切れって結構残酷なことだなと。自分の夢や、やりたいことを見つけていないのは当然なことだと思うし、自分が歩んでいく中で魅力を感じるものに出会えてなければそりゃ夢も希望もねぇだろって思うんですよね。だから、夢に出会える瞬間までは色んなことをして、具体的な行動を起こす必要はないと僕は思います。

たとえば、大学を出て何年かアルバイトしていてもいいと思うけど、ただ、そこで大事なのは「魅力を感じられるものと出会うための行動を起こしているか否か」だと思うんですよね。やりたいことがない状態で、なし崩しで働いている状態は世間一般の善悪でいえば“悪”のほうになっているんですけど、自分が本心で願わなければただのまやかしに近いものだと思いますし、急いで決めたり時期を限定したりするものでもないよなと、僕は30歳を過ぎて思うようになりましたね。

ーーまさにその通りだと思います。けれど渋谷さんのように思ってはいるものの、人の目を気にしてしまって行動に移せない人が多いのも事実だと思うのですが、そういった風潮についてはどう考えますか?

超難しいですね、それ……。僕が学生のころから、さっき話したような考え方をしていたかといえば違いますし、人の目も気にしていましたし、グループに属することってとても大事だなと思った時期もありました。

ただ、学生のうちは「大人になったらこういうスタンスもあるんだ」ということを知っておくだけでもいいと思います。学校というのはひとつの社会だと思うし、その社会で上手くやっていくことを学ぶというのは学生時代においてとても大事なことです。自分を出していけばそれでいいじゃんっていう訳ではないし、嫌だけどやらなきゃいけないことがあることを学べる学校生活をうまく送るというのはひとつのスキルだと思います。

逃げたり辞めたりすることは間違ったことではない

不安や葛藤は未来の自分の糧。『SUPER BEAVER』ボーカル・渋谷龍太が 届けたい想い #好きなことで、生きていけるの?Vol.5

ーー将来を考えていくなかで「何かを諦める」「何かを辞める」という選択を選ばざるを得ない場面も出てくると思います。バンドを14年間続けてきた渋谷さんにとっては逆説的な質問になりますが、「逃げてしまうこと」についてはどう思いますか?

諦めたり辞めたりすることが格好悪いのは、後にそれは経験として生かせないから格好悪いんだと思います。その場で逃げたり辞めたりするのは、別に僕は間違ったことではないと思っています。その後、その経験が自分にどう生かせるのか、生かせたからにはこれがやりたかったんだとかっていうことに繋がるのが一番なんじゃないかな。

つまんなかったらやめるってそりゃ当たり前なんじゃないかって思うんですけど、逆に言えばやりたいことがないなら辞める理由もない気がするんですよね。「何で諦めるのか?」の理由を自分で明確化しなければ、後々重荷として自分に降りかかってくるので、「辞めたからにはこれがやりたかった」ということや、それまでの経験を次に生かせることが一番いいことなんじゃないかと思います。

不安や葛藤は未来の自分の糧。『SUPER BEAVER』ボーカル・渋谷龍太が 届けたい想い #好きなことで、生きていけるの?Vol.5

本質的な部分から逃げないために今逃げる、っていうのは大事なことですよね。自分を潰したり、身を粉にしたりしてまでやらなければいけないことはないんじゃないかなと思っていますし、無駄だと思うことや時間を変えていけるのは今の自分であり、未来の自分でしかないので。続けることで見えていく魅力も勿論あるから、現状だけで判断してしまうのも考え物ではあるんですけど、どちらにせよ「その行動を起こすことによって自分がどんなことを思えるのか?」っていうのが大事なんじゃないかな。


ーー今回のお話で言えば「好きなことをするためにみんながやっている就活を止める」という選択肢を選ぶことは、かなりの決断だと思うのですが、そういったときに抱く不安を払拭するにはどうしたらいいと思いますか?

不安を払拭、は無理じゃないですかね……その路線から逸脱する行為って、その中での「異端」になるっていうことじゃないですか? それは凄いプレッシャーだし不安に感じるものだと思うんですけど、その不安は持っていなきゃいけない不安だと思います。

それが後の原動力になりますし、不安に打ち勝ってまで行動したのであれば「この行動を無駄にしないようにしよう」という力になる。「これで大丈夫なのかな?」っていう不安は、逃げないほうがいい不安だと思います。

「負」はこの先も大事に付き合っていけるパートナー

不安や葛藤は未来の自分の糧。『SUPER BEAVER』ボーカル・渋谷龍太が 届けたい想い #好きなことで、生きていけるの?Vol.5
ーー火曜ドラマ『僕らは奇跡でできている』の主題歌である、SUPER BEAVERの最新シングル『予感』には《楽しい予感のする方へ/心が夢中になる方へ/正解なんて/あって無いようなものさ/人生は自由》というフレーズがあって、若者のみならずどんな世代にも響き、励ますような楽曲だと思います。「予感」というのは「現時点で先のことを見据える」ということだと思うのですが、渋谷さんは「今が楽しいこと」と「将来を見据えること」のバランスをどう保っていますか?


難しいですね。でも「今が楽しい」というのは一番いい状況で、それは昨日より楽しくなければいけないし、明日は今日よりいいものでなければいけない。けれどそれってとても難しいことで……毎日が昨日より楽しければ一直線に進めばいいですけど、嫌なことも悲しいこともあるから、まずそれは不可能だし、波があると思うんです。


その波を右肩上がりにしていくことが今の僕の目標なんですけど、そうするためには未来のことも考えなければいけない、でもそれをプレッシャーだと感じで「あれをこうしなきゃ!」と考えるのではなく「これをすればきっと明日が楽しくなるから、今はこうしてみよう」と思うことな気がしてますね。

今と未来は切り離せるものではなく地続きであるということを忘れてはいけなくて、今がいいのはとても素敵なことなんだけど、「先がもっと楽しくなりそうだから、今がいい」っていうことに繋がってくんだと思います。先に期待することが今を楽しくする要素のひとつであればいいなと思っているので、それはセットかなと思っています。

ーーありがとうございます! では最後に、将来や進路に悩んでいる学生に向けて一言お願いします。

不安や葛藤は未来の自分の糧。『SUPER BEAVER』ボーカル・渋谷龍太が 届けたい想い #好きなことで、生きていけるの?Vol.5

正直、大人になってもなにも変わらないと思うんです。大人になっても悩むし、考えるし、絶対に不安はある。その位置をしっかりと自分の中で定められれば、その不安も迷いも後悔も、重荷や負担にだけにはならないと思います。

今抱えている不安や葛藤は、未来の自分の糧になるものだと思っているので、無理に捨てたり払拭したりする必要はないし、それらを自分の中で落ち着かせる場所を自分の中に探してあげることと、それらが原動力となるようにどう落とし込むのかということをこれから学んでいくんだと思います。

未来は明るいなんて一概には言えないし、続けていれば夢は叶うなんて僕は絶対に言わない。自分が今「負」だと思っているエネルギーは決して自分を苦しめるだけのものではなく、この先も大事に付き合っていけるパートナーだと思ってほしいです。

SUPER BEAVERオフィシャルサイト:http://super-beaver.com/

編集部:おもち

音楽と猫とお酒がだいすきな新卒1年目OL見習い。
がくまど公式Twitter(@m_gakumado)の中の人もやってます◎
笑い方がわりと変です。

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