昨今のアニメ・ゲーム界はいわゆる「擬人化」が席巻しています。艦艇を萌え少女化したゲーム「艦隊これくしょん―艦これ―」は、アニメ化だけではなく、漫画、小説など広くメディアミックスされ、いずれも大人気。このヒットが流れを作り、今やさまざまモノが擬人化されています。今回はその歴史や、そんなものまでキャラ化？ という擬人化の世界を紹介します。

■お城、建設用具、キノコまで美少女化！

艦艇の艦これや銃器の「うぽって！！」などは、擬人化するモデル自体が既にカッコイイですが、擬人化ジャンルの中には奇想天外なものを萌え美少女化した作品もあります。例えばこんなものです。

・日本の城郭を萌え美少女化したゲーム「御城プロジェクト」

名古屋城や小田原城など有名無名かかわらず、城郭を擬人化した「城娘」を育てながら謎の敵と戦うというもの。戦いで傷ついた城娘は修繕で癒します。

・建設用具を美少女に擬人化したゲーム「俺タワー」

ペンチやスコップといった工具からクレーンやトレーラーといった重機まで様々な建設用具が「建姫」と呼ばれるキャラに擬人化されたゲーム。プレーヤーはオヤカタとなり、建姫に戦闘をさせながら高い高い塔を建築していきます。

・キノコが美少女となったゲーム「きのこれR」

皆さんご存知ブナシメジ、ナメコ、エリンギなどが可愛いグラフィックとボイスで擬人化されユーザーを魅了するこのゲーム。これらの「キノ娘」を育てながら、敵であるタケノ娘とバトルを繰り広げ村を作っていきます。このゲーム、タイトルにちなんでか、有名キノコメーカーとコラボイベントも。

■女性向けの美男子に擬人化した作品は害虫まで！

・名刀をイケメンに擬人化したゲーム「刀剣乱舞」

長曽祢虎徹や蜻蛉切、日本号など、太刀、薙刀、短刀など様々な刀剣が擬人化。「刀剣男子」と呼ばれるそれらのキャラを育成し、敵と戦い勝利するのが目的のゲーム。この作品の人気は絶大で、2016年3月時点でアプリ100万ダウンロードを超え、またミュージカルなどの舞台化も予定されています。

・国を美男子化した漫画「Axis powers ヘタリア」。

世界史をモチーフに、各国のイメージを擬人化した登場人物たちがほのぼのとした交流を描く作品。主人公はイタリアで、陽気で女好き。好物はパスタとピッツァ。アメリカはマイペースでナンバーワンが大好き。ジャンクフードを愛すキャラ。日本もいて、空気を読むことと遠慮することが特技。塩ジャケが好物。

・害虫がイケメンになった漫画「がいCHU！」

人様の家に勝手に住み込むイケメン青年、主人公の五木るりおと白田ありきちたちの日常を描いたゆるゆる作品。バ●サンを炊かれて追い出されたりします。他にも蛾のおばちゃんや元フリーターのちゃばね、蚊のホストなども登場する奇想天外なキャスティングが楽しめます。

■変わり種な物の擬人化の源流は『炭』?!

上記のように艦艇、刀剣、害虫などの擬人化作品は数多あれど、変わり種な物を擬人化した最初の作品といわれるのが、2003年に誕生の備長炭を萌え美少女化した漫画「びんちょうタン」。主人公は山奥に一人暮らしをする着物姿の少女びんちょうタン。頭の上に備長炭を乗せ、水をきれいにしたり、ご飯を炊く釜に入れたり、靴箱のにおいを取ったりします。この作品は人気を呼び、アニメ化、ゲーム化され、2004年の日本オタク大賞で、擬人化ブームの代表作として大賞を受賞しました。

いかがだったでしょうか。最近は公共機関やお寺まで、続々と萌えキャラ化してPRする擬人化ブームは継続中。次はどんな物や場所がキャラ化されるのか注目です。

文　佐藤充