画期的発明? 「マスクをしても曇らない眼鏡」を作った京都精華大生、きっかけは実体験から?
眼鏡を使っているみなさんは、マスク着用時に眼鏡が曇ってしまったことはありませんか? 温かい空気がマスク上部から漏れ、眼鏡を曇らせてしまうわけですが、外気の温度が低いこの時期は特に起きやすい現象です。眼鏡を使用している人なら誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。しかし、そんな「マスク着用時の眼鏡曇り」を防ぐ眼鏡を、京都精華大学の学生が発明したのです!
■実体験から曇らない眼鏡を作ろうと考えた
「曇らない眼鏡」を発明したのは、京都精華大学デザイン学部 プロダクトデザイン学科3年の西田悠真さん。今回、西田さんに開発しようと思ったきっかけや、その過程で学んだことなどを伺いました。
――まず、「曇らない眼鏡」を作ろうと思ったきっかけは何だったのですか?
西田さん 大学の授業で眼鏡を作ることになり、そこで「マスクを着けた状態でもレンズが曇ることがない眼鏡」というコンセプトを考えました。というのも、僕自身が眼鏡を掛けていまして、それでマスク着用時にすぐにレンズが曇ってしまうのが不満でした。
――実体験が基になって生み出された発明品なのですね。そのコンセプトで生み出された眼鏡ですが、どうして曇らないのでしょうか?
西田さん マスク着用時に眼鏡が曇るのは、マスクと鼻の間にできる隙間からマスク内の温かい空気が漏れ、それが眼鏡のレンズを曇らせるからです。そこで、ノーズパットを眼鏡の下部分を覆うように延長させて鼻とマスクの隙間を埋めるようにし、温かい空気がレンズに届かないようにしたのです。
――それなら息が漏れて曇ることがありませんね。
西田さん ただし、あくまでマスク着用時に曇らないだけで、ラーメンを食べる際には曇ってしまいます。他には、眼鏡のつるの部分に切り込みを入れています。眼鏡を掛けた状態でマスクを着けると、耳が痛くなったりしますが、この溝に引っ掛けることで痛くならないようにしました。
――確かに長時間マスクを着用していると耳が痛くなりますし、その工夫は助かります。
■物作りの大変さを学ぶ
――曇らない眼鏡を作る中で、どんなことが特に大変でしたか?
西田さん やはりノーズパットの部分に苦戦しました。着け心地が大事な部分なので、いかにフィットさせるかが難しかったですね。製作に取り掛かったのが2015年の4月で、完成まで2カ月掛かったのですが、この部分が一番時間がかかり苦労しました。
――眼鏡で有名な福井県鯖江市の職人さんとも協力されたと伺いました。
西田さん はい。研究に協力いただき、また眼鏡のフロントレンズをはめる部分はさすがに作ることはできないので、職人さんに作ってもらいました。
――今回の研究でどのようなことを学びましたか?
西田さん 一から物を作ることの大変さです。特にその段取りがいかに大変かを学びました。他には「納期」の大事さも学びましたね。また、大変なだけでなく、物作りの楽しさも学びました。自分がデザインしたものが実際に形になっていくのは楽しいですよね。
――今後の展望などを教えてください。
西田さん 人のためになるもの、役立つものをデザインしていけたら、と思います。また、車や重機といった「大きなもの」のデザインもしてみたいですね。
――やはり大きなものはロマンがありますよね。同じ大学生や、これから進路を決める高校生に一言お願いします。
西田さん デザインの道に進もうと思っている人は、高校生のうちから製品に関心を持ったりスケッチを積極的にやるべきです。僕は工業高校だったのですが、そういったことは大学に入ってからやるようになり、大変苦労しました。あれこれ考えるよりも、まずは実践あるのみです。
――ありがとうございました。
自分の実体験から生み出された曇らない眼鏡。こうした使う人の立場になって考えることが、やはり大切なのでしょうね。今回の製品は大学の授業で製作されたもので市販はされていませんが、もしかしたらこの先、西田さんデザインの「さらに進化した曇らない眼鏡」が登場するかもしれませんね。
取材協力:京都精華大学
(中田ボンベ@dcp)