不動産アドバイザーに聞く! コンビニ近くの部屋を選ぶときに注意するべきこと
お部屋探しの際に、「コンビニが近くにあること」を条件にする人は多いと思います。しかしながら、便利である一方で犯罪の対象になりやすいことを知っていましたか? 「快適で安全なひとり暮らし・女性の暮らし」をモットーの不動産アドバイザー、穂積啓子さんからは「便利なのと引き換えに、危険な面があります。深夜に一人暮らしだと分かる買い物をしないなど、具体的な防犯法を実践しましょう」というようなお話も……。詳しくお話を聞いてみました!
■深夜に軽装、すっぴんで一人分の弁当やお菓子を買いに行かない
――お部屋探しをする若い人、特に女性には、「コンビニが近い部屋に住む場合の注意」を伝えるそうですね。どういう内容でしょうか。
穂積さん コンビニが近くにあると、夜遅い時間でも、ちょっとした日用品や食料を買いに出かける機会があると思います。コンビニは深夜にも不特定多数の人が出入りするので、不審者がひそかに、ひったくりや窃盗、強盗、性犯罪などの対象者を物色しやすい場所といわれています。
例えば、ルームウエアやお化粧なしで店に行き、一人分の弁当やお菓子を買った場合、人の目には、「近所で一人暮らしをしているな」と察することができ、不審者のターゲットになりやすいということです。
――家族や同居人がいる場合は、その人たちのものも一緒に買う確率が高いですね。
穂積さん そうです。男性が好む食べものやお酒をいっしょに買っていたら、一人暮らしとは思われません。コンビニ内や、すぐ近くの柱の陰、駐車場の物陰や車内などから不審者に見られているかも、ということを前提に、慎重に行動しましょう。
■駐車場の車、スマホ歩き、酔って買い物に大注意、自転車も危険
――コンビニやスーパーの駐車場ではよく事件が発生しているようですね。
穂積さん 駐車場での車内は隠れやすい場所です。夜間に発生するひったくりや痴漢は、対象者を車内から観察、狙っていると言います。とても危険であることを忘れないでください。コンビニから出るときに、薄暗い駐車場に止まっている車がいれば、注意しましょう。
また、自分が車で買い物に行った際には、乗り降りのタイミングで押し込められる可能性もあると認識し、周囲を見渡してから行動してください。
――帰り道が危険ということですね。
穂積さん 買い物をする本人にとっては、家から近いしコンビニにはひと晩中電気がついているので、無意識に安全圏だと思うでしょう。ですから、自宅からコンビニの道すじは、防犯意識のすき間といえると思います。
さらに、道すがら、スマホを操作しながら歩いている、音楽を聞いている人は不審者にとっては無防備に見えるでしょうから、最もつけいりやすいともいわれ、特に酔って買い物をしている女性は非常に狙われやすいです。
――自転車で行くほうがまだ安全でしょうか。
穂積さん そうとも言えません。自転車ごと倒されると、衝撃や驚きで逃げにくいため、ひるんだ瞬間に襲われるケースは多いそうです。車で衝突される事件も報道されています。
――相手が自転車やバイクである場合もありますね。
穂積さん 多いにありえます。自転車やバイクでつけて来られて背後から衝突される、また、ひったくりに合うケースもあります。とにかく、帰り道は背後に注意を向けてください。
――実際の犯罪の例を教えて下さい。
穂積さん コンビニから後を付けられて部屋に押し入られて襲われたケース、また、しばられて銀行預金のキャッシュカードを盗まれ、パスワードを聞き出されたケースなどがあります。
犯人にすると、被害者宅からコンビニが近いため、すぐにそのカードでキャッシングができます。パスワードが違っていたら被害者宅に戻って再び脅すことも可能でしょう。コンビニは24時間現金が引き出せる銀行でもあることを認識しましょう。
――警察庁発表の「平成25年の犯罪情勢」の「深夜におけるコンビニ・スーパー対象の強盗事件の発生時間帯」では、22時~翌朝7時の間での犯罪発生率は、深夜の2時~5時で65%となっています。
穂積さん つまり、その時間に一人でコンビニに出向かないようにすることが大事です。どうしても必要がある場合は、買い物の内容に男性の日用品を買い足すなど、工夫してください。少しの出費で防犯になることもあるでしょう。
また、近い距離でも、防犯ベルを持ったり、懐中電灯で照らしながら帰るなどの対策も必要です。
――ありがとうございました。
近くの便利な店に通ううちに防犯意識が薄くなる……、指摘されるとそのとおりだと思います。思い当たるみなさん、深夜に一人で出向いて一人暮らしと分かる買い物をしない、駐車場の車に気を付ける、帰り道にスマホを操作しながら歩かないなど少しの配慮で事故を防ぐことにつながります。ぜひ参考にしてみてください。
(品川緑/ユンブル)
取材協力・監修 穂積啓子氏。「安全で快適な一人暮らし」、「女性の安全な暮らし」をテーマとして活動する不動産アドバイザー。宅地建物取引士。コミックエッセイ『不動産屋は見た! ~部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか、漫画:東條さち子 東京書籍)の主人公のモデルとなった。テレビ、雑誌などメディアでも活躍中。