郷土民謡民舞全国大会で全国優勝した大学生に民謡の魅力を聞いてみた!
2015年10月に東京の日本武道館で「第55回郷土民謡民舞全国大会」が開催されました。この大会は、日本の伝統的な民謡や民舞、また三味線などの技術を競うものです。2015年大会では、ジュニアの部で長崎国際大学の桑水流里名(くわづるりな)さんが全国優勝しました。今回は、桑水流さんに民謡に興味を持ったきっかけや、その魅力などを伺いました。
■民謡の魅力は、込められた地域の風情や心情を楽しめること
――民謡に興味を持ったきっかけはどんなことですか?
桑水流さん 私の小学校が全校生徒20人というような小規模校だったので、母が「人前で物おじしないように何かできないか」と考えていたときに、偶然民謡教室という看板が目に入り軽い気持ちで習い始めたのがきっかけでした。
――軽い気持ちで始められたとのことですが、民謡のどんな点に魅力を感じるようになったのですか?
桑水流さん 民謡は都道府県によって唄の歌い方やメロディーなど特徴があり、またその地域の昔ながらの風景やその地域の人の心情を語っています。歌い手さんの着る格好などを楽しみながら、その地域の風景や風情、歌詞に込められた思いを感じられるところが魅力であり面白いところだと思います。
――たしかに、地域によって独特の節があったり、その地域ならではの郷土性を感じることができますね。
桑水流さん また民謡は年齢を問わず幅広い人々に聴いてもらえることも魅力の一つだと思います。
――反対に「ここが難しい」と感じるのはどこでしょうか。
桑水流さん 民謡を聴いてくださる方に民謡の良さを伝えるために、どんな表現をして、どんな気持ちを込めて歌うのかが難しいところであるとも思っています。
■全国大会に出たことでトップレベルとの差を痛感……
――民謡の練習というとあまり想像がつかないものなのですが、普段はどのような練習をしているのですか?
桑水流さん 普段は大学の講義室を借りて練習しています。携帯に録音してある笛の高さの音を流して、思うように歌えないところを繰り返し練習。時には唄の歌詞から伝わる風景などを想像しながら歌うなどの練習をしています。
――今回、「郷土民謡民舞全国大会」には初めての出場とのことですが、出場したきっかけは何だったのでしょうか?
桑水流さん 大学生である間も、大会に挑戦するなどして自分の唄を向上させたいという気持ちがありました。そのため、今年になって「郷土民謡協会」に入り、まず南九州の郷土民謡民舞大会のジュニアの部に出場しました。そこで優勝し、全国大会に出場しました。
――全国大会でもジュニアの部で見事に優勝されましたが、そのときの感想は?
桑水流さん 優勝したときは、とても驚きましたが、それと同時にとてもうれしかったです。この賞を頂くことができたのは、私一人の力ではなく、応援してくれる家族や友達、周りの方々など支えてくれる存在があったこと、また民謡を練習するために協力してくださった大学の支えのおかげであり、とても感謝しています。いろいろなことが重なって取ることができた賞だと思いました。
――高い向上心を持って全国大会に挑まれましたが、大会に参加してあらためて勉強になったことはありましたか?
桑水流さん 本番はとても緊張していましたが、大きなミスをすることなく、優勝することができました。しかし、この大会で一番レベルの高い「グランプリの部」に出場している方々の唄を聴くと、私の唄は強弱や表現力など見直すべき課題があり、まだまだ未熟であることを感じました。
――今後の展望を教えてください。
桑水流さん これからも、聴いている人に唄の歌詞の風景や歌詞に込められた思いを伝えられる唄を歌えるように、大学の勉強と両立しながら、自分を磨き、精進していきたいです。そして、今回はジュニアの部でしたが、いつかグランプリの部に出場して優勝することができたらいいなと思います。卒業後は全国の民謡をたくさん歌えるようになって、日本の伝統文化である民謡を多くの人たちに聴いていただいて、民謡の良さを広めていきたいです。
――最後に同じ大学生や、これから進学する世代に向けてメッセージをお願いします。
桑水流さん 今回の記事を見て、民謡について少しでも興味を持っていただけたらうれしいです。みなさんそれぞれ目指すものは違うと思いますが、お互い目標に向かって頑張っていきましょう!
――ありがとうございました。
なかなかなじみのない民謡ですが、そこには日本各地の伝統や風習、また郷土の魅力などがたくさん詰まっています。「民謡を聴いたことがない」という人は、ぜひ一度聴いてみてください。きっと心を揺さぶられるはずですよ!
(中田ボンベ@dcp)