学ぶ全てが役に立つ! 京都造形芸術大学の「古武道 玄流 活殺術」てなに?

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京都造形芸術大学に「古武道 玄流 活殺術」というあまり聞き慣れない名前の部活動があります。名前から察するに「武道」ではあると思うのですが……。ではどういった内容の活動をしているクラブなのでしょうか。今回は、創始部長である京都造形芸術大学3回生の田中翔子さんにお話を伺いました。

■600年から伝わる武術と医術を備えた古武術

――「古武道 玄流 活殺術」とはどんなものなのでしょうか?

田中さん 600年前から宗家の家に伝わる武術と医術を備えた古武術です。人の体を治す医術「活法」と、古来から伝わる武術、すなわち人を倒す技術「殺法」を備えたものを「活殺術」と呼びます。「活=医術」「殺=武術」となります。

――二つの側面を持つ武術なのですね。

田中さん 玄流 活殺術は、600年前から宗家の家に代々伝承された家伝の武術と医術を、現宗家である、田中伸彦 宗家師範がさらに整理し、原理原則に従って発展させたものです。古来から「武芸十八般」という言葉があるように、今のスポーツ武道とは違い、古い武術は、さまざまな武術を身に付けていました。玄流に伝承する武術は剣術、居合術、抜刀術、杖術、槍(そう)術、薙刀(なぎなた)術、柔術、拳法、弓術です。戦場で、一つの武器しか使えないのが不利であることは、容易に想像できると思います。

――確かに一つだけでは臨機応変に戦えないでしょう。

田中さん 例えて言うと、遠距離では弓を使い、近づけば薙刀や槍を使い、もしそれらを損傷したりなどのトラブルで手元から失えば、太刀を使い、組み付きでは柔術を使い、敵を投げ、制して敵を倒します。そして、活法においては、戦場で傷ついた者や病気にかかった者を治すために医術が存在します。

■認知度の低さが部設立時の大きな壁に……

――「玄流 活殺術」を学ぶ部を設立しようとした理由を教えてください。

田中さん 発足した理由は、玄流を学ぶことで礼儀作法や護身術を身に付ける、また私たちは芸大生ですので、伝統文化を学ぶためでもあります。日本刀一つにおいても、刀匠をはじめとした多くの職人が関わる伝統工芸の結晶です。日本の伝統文化は、武術とも密接に関係しています。

――設立する際、苦労されたことはありますか?

田中さん サークルは、2013年に設立しました。設立当初は、学校側に理解してもらうのに苦労しました。「危険ではないのか?」というのです。また、芸術大学であっても古武道の伝統文化、精緻な身体操法など知る人はいません。「知らない人にどうやったら伝わるのか?」というのが、一番苦労したところです。

――どのような形で理解してもらえたのでしょうか。

田中さん 理解していただくために「刀」の稽古の一つである「居合」についてお話しすればと考えました。「居合」は、私たちのサークルでは古来の言い方である「居合術」と言いますが、古来の居合術は近代に古武術の流派を統合し、現代では日本剣道連盟が「居合道」としてその部門を運営していますし、各地で大会も開かれています。そこで日本刀による稽古中の事故というのは、ほとんどありません。

また、稽古はほとんどの方が実際の「日本刀」ではなく、稽古用の刃の付いていない、しかも刀匠が作ったものではない合金製の稽古用の「居合刀」というものを使います。ですから、そもそも切れないのです。

――危険ではないということをアピールされたのですね。

田中さん よく言われるのですが本物の日本刀は,銃刀法に違反するものではありま

せん。伝統美術品という扱いなので管轄は文化庁で、登録は各都道府県の教育委員会です。本物の日本刀を使うのは有段者の先生方やベテランの方がほとんどだと思います。当然、厳しい規律の下で稽古されています。近くの京都大学など、大学でも体育会として全国的に活動されています。

しかし、伝統文化都市の京都であっても逆に知らない人が多いのが普通なのかもしれません。このような現状でしたので、本当の意味で日本の伝統文化の一つである古武道をほとんどの日本人が知らないことを痛感しました。一度は、設立を諦めようかとも思いましたが、大学の活動許可も出て、なんとか設立にこぎ着けました。

――部員を集めることに関してはどうでしたか?

田中さん 最初は同級生を集め、5人からのスタートでした。そのうちの3人がやめ、初代部長である私(田中)と初代副部長(柳野)だけになりました。何度もやめようと思いましたが、田中伸彦 宗家師範に「次の新入生が入ってこなければ、やめたらどうか? それからでも遅くないのではないか」とアドバイスを頂き、新入生の勧誘やクラブ紹介イベント、また、田中伸彦 宗家師範を招いての演武会などを開催したところ、現在の2回生がたくさん入部してくれました。現在は、16人の1-3回生が所属しています。

――精力的な活動が実を結んだのですね。

田中さん また、クラブ紹介イベントや演武会では、日本語学校などの外国人の方がたくさん来場してくれたことに非常に驚きました。日本人よりも外国人の方が、日本の武士の伝統文化や日本の伝統武術にとても興味があることがよく分かりました。

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