奇跡のバランス! コピー用紙を半分に切っても形が変わらないのはなぜ?
事務用品の代表格である「コピー用紙」。A4を半分に切るとA5、2枚くっつければA3になるのはご存じかと思います。では、2倍でも半分でも「形」が変わらないのはなぜでしょうか。
正方形の折り紙を半分にすれば「長方形」になってしまうのに対し、コピー用紙はルート2:1の微妙な縦横比で作られているので、長い辺を半分に切ると同じ比率の紙ができあがります。いまでもコピー機で見かけるB4は日本独自の規格だが、こちらも縦横比はルート2:1。原形は江戸時代に使われていた美濃(みの)紙で、昔から「平方根」が使われていたのです。
■切っても切っても「形」は不変
ノートやレポート用紙に使われているA4は世界共通のサイズで、もとをたどれば縦1,189ミリ、横841ミリのA0(ゼロ)が基準となる。A0の用紙を折った回数がそのまま名前となり、呼び名と縦・横の長さ(ミリ)は、
・A1 … 841 × 594
・A2 … 594 × 420
・A3 … 420 × 297
・A4 … 297 × 210
で、A4の「縦」を半分に切ればA5、「横」に2枚並べればA3になる仕組みです。
そんなの誰でも知ってる! と思うのも当然で、面積が2倍、半分の関係になるのは当たり前ですが、何回切っても「形」は同じで、拡大/縮小いずれも「縦」「横」の比率が変わらないのです。折り紙のような正方形を半分に切ると、正方形~長方形~正方形と、2回切らないと元の形に戻りませんが、コピー用紙は「縦」を半分に切る限り、形が変わらないのです。
縦横比が変わらないのはなぜでしょうか? これは縦横比がルート2:1なのが理由で、2の平方根である1.4142……が使われているからで、
・もとの大きさ … 縦1.414 : 横1
・縦を半分に切る … 縦0.707 : 横1
・縦横を入れ替える … 縦1 : 横0.707
これをわかりやすいように1.414倍すると縦1.414、横1に戻る。数学の授業では「一生使わないから!」と思えた平方根は、紙のサイズという日常的すぎる物に使われていたのです。
■江戸時代から使われていた「平方根」
B4に代表されるB判は日本独自の規格で、いまではコピー機でしか見かけなくなったが、以前は教科書や公的な書類にも使われていました。呼び名と縦横の長さ(ミリ)をあげると、
・B0 … 1,456 × 1,030
・B1 … 1,030 × 728
・B2 … 728 × 515
・B3 … 515 × 364
・B4 … 364 × 257
と、数字が同じならA判よりも少し大きいです。こちらも縦半分なら何回切っても形は変わらず、B0とB2、B2とB4のように2階級違いを比較すると、縦も横も半分になっているのがおわかりでしょう。Aサイズと同様に、ルート2:1で構成されているからです。
B判のルーツは江戸時代に使われていた美濃(みの)紙で、「美濃版」と呼ばれる紙の大きさをベースに作られています。言い換えれば、江戸時代から「平方根」が用いられ、半分にしても同じ形になるように工夫されていたのです。
このほかにも、大きさが微妙に異なる国際規格のBやCも存在するが、いずれもルート2:1と定められているため、何回切っても同じ形が保たれます。いまでは学校の授業でも習う内容ですが、最初に気づいたひとはさぞかしフシギがられたことでしょう。
■まとめ
・コピー用紙を半分に切っても「形」が変わらない
・縦横の長さがルート2:1になっているため
・日本独自のB判は、江戸時代の「美濃紙」がルーツ
・やはり縦横比がルート2:1なので、何回切っても同じ形になる