町内会費・自治会費とは?払わないとどうなる?会費の支払いについて解説
「回覧板」に代表される地域のつながりが「町内会」や「自治体」です。
アパートやマンション・市営住宅などで町内会費や自治会費の支払いを求められ、「何に使うの?」と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。
実は、あなたが町内会や自治会の活動に賛同していなかったり、支払いたくないという気持ちがあるのであれば、町内会や自治会に加入しなくてもいいのです。
今回は、知らないと損する町内会費・自治会費の扱いについて、活動内容も交えながらご紹介します。
▼目次
1.町内会費・自治会費とは
2.アパートの一人暮らしで町内会費は支払うべき?
3.町内会費の支払いは強要できない
4.町内会費を集金する側の事情も考えよう
5.町内会費・自治会費の支払いや行事への正しい断り方
6.まとめ
町内会費・自治会費とは
そもそも町内会や自治会とは、町単位あるいは集落などの地域単位で、地域生活をより良いものにするため住民たちによって組織された任意の団体です。
「町内会」「自治会」など呼び方はいくつかありますが、明確な違いがあるわけではなく、基本的には同義と考えて差し支えありません。発足した時期や地域によって、複数の呼び方が存在しています。
そして、町内会や自治会の活動に必要な費用を町内会費・自治会費として住民たちから集めているのです。会費は年会費の場合もあれば月会費の場合もあり、地域によってまちまちです。
集められた会費は、一般的には以下のような目的で使われています。
・ゴミ集積場の管理(掃除用具の購入など)
・防災訓練
・広報誌の作成
・町や地区の外灯や防災外灯の管理
・子ども会や老人会などの運営費用 など
特に誰しもが関係してくる使用例としては、ゴミ集積場の管理が挙げられます。
ゴミ集積場を持ち回りで掃除するなどといった「当番」はよく見られる光景ですが、掃除用具を購入したり、集積場を整備したりするのにも会費が使われているのです。
町内会費(自治会費)の一般的な費用相場
町内会費(自治会費)は町ごと・組織ごとに異なります。
月々で換算すると200円〜2,000円前後が一般的と言われていますが、中には毎月8,000円程度といった高額な費用の支払いを求められることもあるようです。
町内会の役割とメリット・デメリット
町内会や自治会の役割は、先ほどお伝えしたようなお祭りなどの行事運営から、生活に欠かせないゴミ置き場の管理、そして地域の防災対策・治安維持など多岐にわたります。
つまり、その地域に暮らす人々にとってより良い環境を整えていく役割を担っているのです。
地域の人々が老若男女問わず繋がりを保ちながら、時には楽しく、困った時には助け合って生活していくための組織が町内会、というわけです。
では、町内会や自治会に入るメリットとデメリットをみてみましょう。
・地域行事に参加できる
・新しい出会いがある
・近所の人と知り合いになるきっかけがある
・自然災害など万一の時に助け合いしやすい
・近所で起きた事故や事件など情報共有が早くできる
・行政への意見の申し入れが行える
・会費がかかる
・町内会や自治会の集まりに行かないといけない
・当番があると何かと面倒
・役員になると負担がかかる
町内会は会費がかかる上、地域活動への参加が求められるため、そもそも加入しないという人も増えているようです。
アパートの一人暮らしで町内会費は支払うべき?
「戸建てならわかるけど、ひとり暮らしの学生だし、賃貸では必要ないんじゃないか?」と思う人もいるかもしれません。
町内会(自治会)に入ることで地域生活を豊かにできるため、できれば入ることを推奨している大学も少なからず存在します。
ですが、町内会への加入や町内会費の支払いは、法律的な義務ではありません。
したがって、「みんな入っているから」と勧誘されたとしても、実際は個々の判断で断ることができるのです。
アパートの契約で加入必須となっている場合
法律的な義務ではないとはいえ、アパートやマンションの賃貸借契約の際に、「町内会への加入が必須」となっているケースも見受けられます。
なんらかの理由で、その地域では町内会に入ってもらわないと困る事情があるのでしょう。
賃貸借契約で、町内会加入を必須とする項目を作ることは法律的に問題ありませんので、どうしてもその物件に入居したい場合には、町内会にも加入することになるでしょう。
ですが、入居後になって「町内会費の使い道に賛同できない」といったことがあれば、実は脱退することも可能です。
なぜなら町内会とはそもそも任意の団体であり、強制力はないためです。脱退すれば、もちろん会費の支払いも無くなります。
とはいえ、もともと加入必須とされていたものを脱退するわけですから、何かしら不利益を被る可能性も(大切なお知らせが来なくなる、など)。
本当に脱退したい場合には、こうした不利益についてよく確認し納得すること、そして町内会(あるいは不動産会社)には誠実な姿勢で脱退したい旨を申し出ることが大切です。
いずれにしても、近隣住民との関係が悪化するような対応は避けるべきでしょう。
町内会費の支払いは強要できない
前項のアパート一人暮らしのところでも述べましたが、町内会への加入および町内会費の支払いは、強要できるものではありません。
「そこに住んでいるから」を理由に町内会費を強要してはいけないというのは、憲法上の幸福の追求権に基づく「人格権」で定められています。
ひとりひとりが追求する幸せな暮らしを侵害するような「強要」は精神的な自由を奪ったと解釈されます。
任意の団体である町内会や自治会に「加入する・しない」は本人の自由なのです。
行事関係も強要できない
自分も利用しているゴミ集積場の掃除や防犯パトロールなら参加すべきかもしれませんが、町内の「行事」はどうなるのでしょうか?
地域独自の運動会や親睦会など「あまり興味がない」と思うならば、やはり断ることができます。
親睦会などの行事を例に挙げてみましょう。
あなたが親睦会に参加したくないにもかかわらず、町内会や自治会の人から「みんな参加するから」「この地域では昔から決まっているから」と言われたらどうでしょうか。
誘い方によっては強制に感じるかもしれませんが、あくまで参加はあなたの自由。本人の意思に反して参加を強要することはできません。
地域のお祭りは特に注意!
参加を強要どころか開催にまつわる費用を求めるだけでも「NG行為」とされます。
お祭り=季節の行事的なイメージが定着しているものの、ルーツをたどれば宗教上の行事以外のなにものでもありません。
対して、なにを信仰するかは憲法・20条で「自由」とされているので、その地域に住んでいることを理由に、
・準備の手伝い
・費用の負担
を強要すると、公序良俗(こうじょりょうぞく)に反する行為となります。
寄付の強要は裁判になったケースも
寄付金も同様です。
町内会費を使って寄付することにしたから増額という内容が、裁判で無効とされた例もあります。
町内会や自治会へ寄付するかどうかは各々が判断すべきであり、それを会費として一律いくらのかたちで要求すれば、会員の自由を侵害したことになるからです。
町内会費を集金する側の事情も考えよう
町内会費を集金する側に立ってみると、町内会費はその地域の人々に広く負担してもらいたいという事情があります。
会費は地域行事のほかにも側溝の掃除や防災倉庫の管理、街灯メンテナンスなどにも使われます。そして地域の人々は、多かれ少なかれその恩恵を受けているからです。
ですが、町内会費を支払わない人への対処法は基本的に「ない」というのも現実です。
会費を支払わないからといって「会費を払わないならこの街から出ていって欲しい」などと発言してしまうのは当然NG。町内会を通して地域の結びつきをより良くしたいにも関わらず、強く加入をすすめられないのが町内会・自治会側の実情です。
集金に悩む担当者の心身の負担を知る
町内会費の集金を担当する会計係は、実は大きな心身の負担を強いられています。
集金に来たものの、集金の旨を伝えたとたん「お金泥棒」などと泥棒扱いされたり、態度を変えられたり……。
周囲に相談できず、インターネット上の掲示板で思いを吐露する人もいるなど、せっかく地域のためにと活動に取り組んでいるのに悩みも大きくなっているのです。
あなたが町内会・自治会の会費を払う・払わないは自由ですが、断るなら町内会・自治会側の事情や気持ちも考慮して、丁重にお断りするのが正しいと言えます。
町内会費・自治会費の支払いや行事への正しい断り方
町内会費・自治会費はあなたが賛同できなければ断っても構いません。
相手も人間ですので、断る際は「私は学生で活動などに参加する時間もないので、このたびは入会を差し控えたく思います」のように、担当の近隣住民の方に丁重にお断りをしましょう。
町内会・自治会への加入を断ったとしても、あなたがその地域に住む限りは近所で顔を合わせることもありますよね。
近隣住民との無用なトラブルを避けるためにも、できるだけ礼儀正しい言動を心がけるようにしましょう。
町内会費・自治会費を払わない人はどうなるの?
町内会費を払わなかった場合「地域のお知らせが来なくなる」「浮いた存在になる」などの影響が考えられますが、急に大きな問題が生じることはあまりないでしょう。
ただし、町内会費を払わないことで「ゴミ置き場がどうなるか」だけは必ず確認されることをお勧めします。
アパートやマンションの場合は専用のゴミ置き場があることも多く、この場合は管理人さんや管理会社が清掃に入ってくれますので問題ありません。
また、町内会には大家さんが代表で加入していて、アパート入居者も一緒にゴミ置き場を使えるというケースも。このようにゴミ置き場の扱いはケースバイケースなので、問題がないかどうか確認してみましょう。
それから、地震や豪雨など災害時にどうなるかも気になるところ。
災害は起きないに越したことはありませんが、もしもに備えて町内会では防災倉庫を管理しているケースも多いです。災害時の住民同士の助け合いから外れてしまうのは不安材料の1つです。
このように、地域で孤立するデメリットも考えると、特別な理由がない限りは会費を支払ってしまう方が安心かもしれません。
まとめ
町内会や自治会は任意の団体であるため、あなたが意義を感じなかったり、活動への参加が難しい場合は、理由を述べたうえで丁重にお断りすれば大丈夫です。
一方で「ここに住んでいるから」を理由に会費を強制的に徴収することはできないため、町内会や自治会の人たちは集金に苦労されていることも頭に置いておきましょう。
基本的に会費だけでなく、町内会行事や寄付も納得ができなければ応じる必要はありません。
全てに目くじらを立てて拒む必要はありませんが「みんなしているかどうか」ではなく「あなたが賛同できるか」「あなたが町内会・自治会の活動に協力したいか」など自分の意志で決めるのがベストなのです。
【監修】橋本 徹(FP Office株式会社)
大手企業に就職するも、自身の目で世界を見たいと思い22か国を歴訪。世界のお金の常識と日本の常識のギャップを肌で感じ、日本の金融教育の遅れを痛感。帰国後、自身のスキルアップと日本の金融常識を変えるためにFPに転身。海外での経験を活かし外資系金融機関でも活躍した経験を持つ。現在では年間30回以上のセミナー講師、年間個別面談500件以上の相談を受けている。