年金もらえるの? いくら貯めるべき? 今だからこそ! 大学生のうちに知っておくべきお金の知識
「大学時代は、時間があるがお金はない」なんていわれます。でもお金がないからといって、「お金に関する知識」がなくていいわけではありません。卒業したらすぐに働く人は、お金に関する知識を大学時代に持っていた方がいいのです。そこで! 今回は「大学時代に知っておくべきお金に関する知識」についてです。
『フィデリティ退職・投資教育研究所』所長の野尻哲史さんにお話を伺いました。
■考えたくないかもしれないが……
――現在大学生の皆さんに必要なお金の知識について伺いたいのですが。
野尻所長 現在大学生の皆さんは厳しい世代ですね。
――どういう意味でしょうか?
野尻所長 私の専門は「老後のお金」をいかに用意するかということなのですが、現在大学生の皆さんにとってもこれは切実な問題です。というのは、現在大学生の皆さんがリタリアする年齢を迎えるころには、日本の生産人口は今より3,000万人以上も減っていると予測されています。
つまり、年金制度がどうなっているのか、果たして当てになるのかということは大きな疑問です。老後の生活設計について今よりさらに深刻な事態になっているでしょう。現在大学生の皆さんは、想像しにくいでしょうし、また考えたくないかもしれませんが「自分の資産形成」について今から真剣に考えておくべきだと思います。
――ということは、現在の大学生はお金に対する知識を持っていた方がいいわけですね?
野尻所長 そうですね。自分の資産形成を行うために何が必要か、どうすればいいかという知識は持っていた方が良いでしょう。
■お金に対する距離感を身に付けよう!
――大学時代に身に付けておくべき「お金の知識」には、どのようなものがあるでしょうか?
野尻所長 まずお金に対する「距離感」を持った方がいいのではないでしょうか。例えば、私は大学で講義を行うこともあるのですが、その際には学生の皆さんに必ず、
●大学の学費はいくらか
●お父さんの年収はいくらか
を聞くことにしています。大学の学費は知っている学生は7・8割ほどいますが、父親の年収がいくらか知っている学生は2割に満たないぐらいです。
ここで学生の皆さんに、お父さんの年収の何割があなたの学費に使われているのかを計算してみてほしいのですけれども、2割未満しか年収が分からないので、課題としてはなかなか一般化できないのです。
――確かに、父親の年収って知らない人が多いでしょうね。聞きにくいという理由もあるでしょうが。
野尻所長 そうですね。でも、父親の年収を知っていると、そのお金を稼ぐのに父親がどんなに一生懸命働いているかという金額の重みを知ることができます。これが「お金との距離感」になると思います。
例えば父親の年収が1,000万円だとすると、1,000万円を稼ぐのにどのくらいの労働が必要で、それだけあればどのような生活ができるのか、といったことが肌感覚で理解できますね。この感覚を持っていることはとても重要だと思います。
投資のノウハウといった知識よりも、むしろお金との距離感を知ること、知っていることが重要だと思います。お金との距離感があると、自分の生活にいくらあればいいのか、年収はどのくらい必要かといったことも判断しやすいでしょう。
――なるほど。
野尻所長 あとは「税金」に関する知識ですね。学生の場合は税金が身近な話題になったりすることは少ないかもしれませんが、卒業して就職するとすぐに税金が身近になります。
「税金」「年金支払」「健康保険」の仕組み・支払金額についての知識は持っておいた方が良いように思います。
■厳しい時代になるからこそ!
――現在大学生の人にアドバイスをお願いします。
野尻所長 先ほど申し上げたように、現在大学生の皆さんは老後について今より深刻に考えなければならない厳しい世代です。ですから、
●ゆっくりでいいので自分の資産形成をどのようにすればいいのか
を考えてください。そして、
●資産形成のための基礎作りを早くスタートすること
●世界中を対象に投資できるようになること
を実現してください。私は「逆算の資産準備」といっていますが、人生の終焉(えん)を迎える時に資産が0円になるところから逆算します。そこから皆さんがリタイアする年齢に達したときに「いくら資産がないといけないか」を推計し、どのような資産形成、投資を行うかをよく考え、そして実行することです。
――ありがとうございました。
「お金との距離感」「税金に対する知識」また「逆算の資産形成の準備をし、早くスタートすること」が大事というお話でした。野尻所長のお話によれば、20歳代で1000万円以上の資産を持っている人は、お金・投資に関する知識を「父親などの親族」から得ていることが多いそうです。前述の「年収」についてもそうですが、家族でお金についてもっと話し合うことこそ将来にとって重要なのかもしれませんね。
⇒『貯蓄ゼロから始める 安心投資で安定生活』野尻哲史(刊:明治書院)
http://u999u.info/mZMa
(高橋モータース@dcp)