『プラダを着た悪魔2』で変わったもの、変わらないもの――大学生3人が受け取った「今の自分に効く気づき」

学生の窓口編集部

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彼女たちが帰ってきた――前作『プラダを着た悪魔』は、一流ファッション誌「Runway(ランウェイ)」を舞台に、新米アシスタントのアンディが“鬼編集長”ミランダのもとで揉まれながら、働き方や価値観を揺さぶられていく物語。ファッションの高揚感と、仕事の厳しさが同居する“働く女性のバイブル”として、今なお愛され続けています。
今回、前作の公開当時を知らない大学生3人が、『プラダを着た悪魔2』について熱く語る鼎談を実施しました。中学・高校時代に前作と出会い、作品のファンになったという3人。続編を観た今、心が動いたシーンや刺さったセリフ、キャラクターの変化を手がかりに、「働くこと」「大人になること」への見え方がどう変わったのか、そして明日から取り入れたい姿勢までを率直に語ってもらいました。

大学生3人が観た『プラダを着た悪魔2』

『プラダを着た悪魔2』あらすじ
トップファッション誌「ランウェイ」の“悪魔”のような編集長ミランダと、彼女の元アシスタント・アンディ。別々の道で成長を重ねたふたりが、雑誌存続の危機に再びタッグを組むとき、ファッション業界に大旋風が巻き起こる──。

前作『プラダを着た悪魔』への思い

――まず、みなさんにとって1作目の『プラダを着た悪魔』は、どんな映画でしたか?

私が『プラダを着た悪魔』を観たのは、中学1年生の夏休みでした。そこははっきり覚えています。中学に入って英語の授業が始まった時期でもあり、ちょうど「英語にもっと慣れたい」と思っていたタイミングでした。そこで洋画を観てみようと思い、当時から有名だった『プラダを着た悪魔』を選びました。
ただ、中学1年生の頃は映画が長いと途中で飽きてしまうかも、と思っていて、物語を深く考えるというより「まずは楽しむ」気持ちで観ていました。ところが、あの有名なオープニングから一気に引き込まれたんです。音楽が流れて、ニューヨークの街並みを俯瞰で映す導入のシーンで気持ちがぐっと高まり、そのまま物語の世界に入り込めて、最後まで楽しく観られました。

私が『プラダを着た悪魔』に出会ったのも、中学生になって洋画を見始めた頃だったと思います。観ていて強く惹かれたのは、ミランダの圧倒的なカリスマ性でした。まだ男性社会の色が濃い世界の中で、強い光を放ちながら第一線に立ち続けるミランダの姿に魅了されました。同時に、新しい世界へ飛び込むアンディの姿からは、社会の中で前へ進もうとする女性のリアルも感じられたように思います。社会に入っていくアンディと、輝き続けるミランダ。その対比が面白く、自然と物語に引き込まれました。
ファッションにも興味があったので、劇中の装いを観るのも楽しみのひとつでした。また、おしゃれが好きな祖母と一緒に観たのも忘れられません。衣装の場面では一時停止して話しながら見返したりして、作品の魅力と一緒に、その時間も思い出として残っています。

私が『プラダを着た悪魔』を観たのは、高校1年生の夏休みでした。映画好きの姉に勧められたのですが、最初は「ファッション中心の映画かな」と思っていて、なかなか観るきっかけがありませんでした。けれど観てみたら、想像以上に惹き込まれました。画面がとにかく華やかで、観ているだけで気持ちが高揚したのを覚えています。アンディが仕事を通して少しずつ洗練されていく変化も印象的で、こちらまで心が躍るようでした。
また、人生についても考えさせられました。前に進むには何かを手放し、大切なものを選ぶには決断が必要になる——そのことを、この作品から学んだ気がします。華やかさに惹かれつつ、観終わったあとも余韻が残る映画で、今の自分の考え方にも少なからず影響していると思います。

続編、正直どう思った?

――続編があると知ったとき、最初にどう思いましたか?

続編の制作決定を知ったときは、キャストも含めて「純粋に楽しみ!」という気持ちがいちばん大きかったです。『プラダを着た悪魔』の世界って、ドキュメンタリーみたいに「この地球のどこかに本当にありそう」なリアルさがあるじゃないですか。ブランド名も実在しますし、その延長線上の物語がまた観られると思うとワクワクしました。だからこそ、続編も「現実の続き」を覗きに行くような感覚で楽しみにしていました。

予告が出たときは、「え、今の時代にこの続編が?」と驚きました。続投するキャスト陣のビジュアルが良く、画面が綺麗すぎて、まずその時点でテンションが上がりました。純粋に楽しみなのと同時に、アンディたちがその後どういう仕事をして、どんなふうに成長しているのかがすごく気になっていました。

私は楽しみな気持ちもありつつ、最初は少しだけ不安もありました。前作の終わり方がすごく綺麗だったので、「アンディはジャーナリストの道を進んだはずなのに、またファッション業界に戻ってくるの?」と。でも実際に観てみると、「こうやって繋げていくのか」と納得できました。観る前は情報が少なかった分、余計に「綺麗に終わっていたのに」という気持ちがあったのかもしれません。

『プラダを着た悪魔2』で刺さった“瞬間”

作品のネタバレを含みます。

――では、ここからは続編の話へ。実際に『プラダを着た悪魔2』を観て、いちばん「心が動いた」と感じたシーン/瞬間はどこでしたか?

私がいちばん心を動かされたのは終盤、ミラノでのランウェイショーでのワンシーンです。最後の挨拶をミランダ自身がするのではなくナイジェルに託した場面が、とても印象に残りました。前作では、結果的にナイジェルを裏切るような形になってしまった部分があったと思います。それでもナイジェルはずっとミランダを支え続けてきた。だからこそ、あの場で挨拶を託すという選択は、信頼の証であり、関係性の変化を感じさせました。編集長を支える部下という関係から、同じ現場で戦ってきた“戦友”のような、対等な関係になったのではないかと感じて、胸が熱くなりました。

私の場合、「心が動いた」というより、大学で視覚イメージ論を学んでいる立場から印象に残った場面があります。終盤、ミランダがミラノの通りで涙を見せる流れから続くシーンです。ミランダが一人で歩く引きの画で、まずプラダ、そしてイブ・サン・ローランの看板が目に入ってきます。中央にミランダがいて、通りの奥へ歩いていく。構図がとても美しくて、強く印象に残りました。
あのシーンは、『プラダを着た悪魔』というタイトルを回収しているようにも感じました。単にプラダを着ているというより、ハイファッションの世界そのものを背負う“権威”としてミランダがそこに存在している――そんな解釈ができて、胸が高鳴った場面です。感情というより、映像の力で惹きつけられた瞬間でした。

私がいちばん心に残ったのは、ミラノから帰ってきたあと、カフェでアンディとエミリーが話すシーンです。エミリーが「友達になりたい」と素直に言って、何でも話せる関係になろうとする場面がすごく素敵だなと思いました。いろいろな出来事の中で、自分のプライドや大切にしていたものを失いながらも、最後に「いちばん大切なもの」に気づけたことが伝わってきて、ぐっときました。そのあとに続くアンディの「あなたがアイコンだから」というセリフも印象的で、本当にその通りだなと思いました。2作目で2人の友情を改めて見られたことが、いちばん心に残っています。

――印象に残っているセリフなどはありましたか?

「あなたがアイコンだから」というセリフと同じシーンだったと思いますが、私が覚えているセリフでいちばん刺さったのは、「男に頼る必要なんてないのよ」みたいな言葉です。今作って、現在のジェンダー意識を反映させた描写がさりげなく入っている気がして、そこもすごくいいなと思いました。この場面以外にも、「ランウェイ」を発行するイライアス・クラーク社の新社長が「guys」を「people」に言い換える場面もあって、「今っぽいな」と感じるところはいろいろとあるんですけど、最終的にあのセリフが、女性を“誰かに肯定してもらう”というより、女性自身をまっすぐ肯定して背中を押してくれる言葉として響いて、ぐっときました。

20年後の彼女たち―推しは変わった?

――では、登場人物に目を向けるとどうでしょう。今作で「好きになった/見え方が変わった」キャラクターはいましたか?

私はエミリーにいちばん親近感を覚えました。性格が身近というか、私たちも「わかる……」って思えるタイプだなって。高いアクセサリーを買ってもらう場面もありますが、ブランドが好きということがすごく伝わるキャラクターがエミリーだと思います。
また、みんなに羨まれる存在になりたい、という気持ちもすごく感じました。でも、そういうキラキラした部分だけじゃなくて、20年の間に離婚経験があったり、子どもがいるという点には人間らしさが出ています。なので、エミリーはいちばん馴染みのあるキャラクターじゃないかなと思いました。

私も前作からずっと、いちばん好きなのはエミリーです。もちろんアンディも好きなんですけど、生き方がやや“優等生すぎる”という感じもしていて。
今作ではエミリーがヒール役を担っている面があり、終盤で、エミリーがミランダを裏切って乗っ取ろうとしていたんだと分かる場面があるじゃないですか。そこでエミリーが、私だって「ランウェイ」を離れたくなかったのに、あなたが追い出したんだ、ということをミランダに言います。このセリフによって、エミリーって「昇進したい」とか「お金のため」だけで動いていたんじゃなくて、本当は「ランウェイ」が好きで、そこで働き続けたかったんだなって見えてくるんですよね。
結果的にディオールに行って、そこで頑張って昇進したということはあるんですが、それ以上に“やりたかったこと”がちゃんとあったんだって分かって。そこがすごくよかったです。

アンディとエミリーがディオールのオフィスで久しぶりに再会するシーンは胸熱でした。でも、いちばん印象深いキャラクターはやっぱりミランダです。前作のミランダが本当に大好きで。仕事ができて、強くて、カリスマがある女性に憧れます。
前作は本当に雲の上の存在で、ミランダが出勤してくるだけで周りが一気にバタついて、「来る……!」みたいな空気になっていたじゃないですか。ナイジェルが「みんな、戦闘態勢につけ」と言うと、慌ててハイヒールに履き替える人がいたり。でも今作はそこまでミランダの“キツさ”が前面に出ていないというか、少し雰囲気が違って見えました。
今の時代のコンプラ意識の高さも取り入れられていて、アシスタントが会議中にミランダの言葉遣いに「それはだめです」と言う場面などからは、ミランダ自身が弱くなったというより、時代の変化で“絶対的”な立場が揺らいでいるということを感じました。そこにとてもリアルさがあって、こういうことはきっと現実の世界でも起きているんだろうと思います。

前作のミランダはかっこいいけれど怖いという印象でしたが、今作ではキュートに見えてきたところがあって、私もミランダの変化を感じました。

私はラストで、ミランダがアンディに「Thank you」と言うシーンがぐっときました。1作目のミランダだったら、ああいう言葉はわざわざ言わない気がしていて……。この20年でいろんな経験をして、いろんなことを受け入れて、少し柔らかく、丸くなったんだなって感じたんです。前は怖い印象が強かったんですが、アンディへの態度にもミランダの変化が現れていた気がします。

「働くこと」への見方、変わった?

――登場人物の変化を見届けたうえで、今度は自分のことを振り返るとどうでしょう。観終わったあと、「働くこと」や「大人になること」への見方が、少し変わったと感じたところはありましたか?

正直、私はまだ「これがやりたい!」っていう仕事がはっきり決まっていなくて。どちらかというと、できるだけ楽にこなせる仕事がいいな…って思っていたんです。あと「好きなことを仕事にしない方がいい」という話も聞かれますし。
でも、ミランダが「子どもの成長を見逃した」とか、いろんなものを代償にしてきたと話したうえで、それでも「仕事が大好き」って言い切るシーンがすごく印象に残りました。大切なものを犠牲にしてまで「好き」と思える仕事があるって、めちゃくちゃかっこいいなって思いました。それを見て、私も楽かどうかだけじゃなく、ちゃんとやりがいがあって、自分が誇りを持てる仕事に就きたいと考えるようになりました。いつか、自分で「この仕事が好き」って胸を張って言える大人になりたいです。

私の場合、将来を考えると「仕事で好きなことを極めたい」気持ちもあるんですけど、同じくらい、家庭を持って子どもの成長もちゃんと見たいなって思っていて。私自身、子どもがすごく好きなので、いつかは……という憧れがあります。だからミランダみたいな働き方は、たぶん私は選ばないだろうなって思うし、アンディとも働き方は違うと思うんです。
でも、今作でアンディがもう一度「ランウェイ」に戻ってこられたのは、それまで積み上げてきたキャリアが認められたからですよね。そう考えると、もし将来「一度仕事から離れて、また戻りたい」と思ったときのためにも、若いうちに自分の武器になるスキルを磨いておくのが大事なんだと感じました。新卒の1〜3年目でしっかり経験を積みつつ、家庭もおろそかにしない――それができたら理想だと思います。

私も似ているんですけど、今までは働くことを考えるとき、まずワークライフバランスがちゃんとしている会社に勤めることを第一にしていました。でもこの映画を見て、自分が好きなものや、少しでも興味があることが仕事になると、こんなに一生懸命になれる人生もあるんだということを感じました。大変なことや犠牲があったとしても、自分で選んだ道に誇りを持って働いている姿が、すごくかっこよかったです。
私自身がちょうど就活を前にした大学3年生として、人生の分岐点にいる時期なので、「何を大事にしたいのか」をもう一回ちゃんと考えてみようかなと思うようになりました。

明日から効く人生のヒント

――いまの大学生の自分に引き寄せて考えたとき、明日から取り入れてみたい「考え方」や「姿勢」はありましたか?

私が「覚えておきたいな」と思ったのは、ミランダが精神的に追い詰められているときに、ミランダの夫が「寝て、窓の外を見て、朝はコーヒーを飲みなよ」って声をかけるシーンからです。そこから一晩明けて朝になると、ミランダがまたいつものミランダに戻って行動を始めるさまを見て、落ち込んだときほど、ちゃんと休んで落ち着いて、自分の気持ちを整える時間が大事なんだと思いました。社会に出てから何かつらいことがあったら、このシーンを思い出して、ミランダみたいに気持ちを切り替えようと思えるだろうなって。

あのシーンでミランダが「私にはもう何もない」みたいに弱音を吐いたときに、夫が「僕がいるよ」って寄り添うじゃないですか。あれを見て、ミランダみたいに強い人でも、身近で支えてくれる存在がいるからこそ社会で頑張れるんだなって強く感じました。自分が社会に出て仕事で嫌なことがあっても、帰ったら待ってくれる人がいる、って思えるだけで救われる気がしました。

私は終盤で、ミランダがショーの最中にずっとアンディの連絡を待っているところが印象に残りました。ただの上下関係じゃなくて、同じ現場で戦ってきたプロ同士の絆が現れていると感じたんです。ミランダの元でアンディは理不尽な思いもたくさんしてきたと思うのですが、一方、ミランダにも守るものや背負っているものがあり、悪魔の面だけじゃないのかもしれないと思えたんです。社会人になって職場に苦手な上司がいても、そうやって少し視点を変えて相手のことを考えられたらいいなと思いました。

誰かにすすめるならこの一言

――もし友達にこの映画をすすめるなら、「ここを見てほしい/ここが刺さる」と思うポイントを、どんな一言で伝えますか?

一言で言うなら「個性」だと思いました。ファッションって、その人らしさが分かりやすく出るものだと思うんですけど、この映画はファッション業界が舞台だからこそ、みんながそれぞれ好きな装いをしているのが素敵ですよね。それだけでなく、アンディのジャーナリストとしての軸、ミランダの編集長としてのカリスマ、ナイジェルの支える力、エミリーの“アイコンになりたい”気持ち――みたいに、それぞれの個性が際立っていて。いろんな個性を認め合うというメッセージを受け取りました。

私が一言で表すなら「信念」です。エミリーにも「ランウェイ」への思いがあるし、ミランダにも背負っているものがあって、アンディにもジャーナリストとして譲れない軸がある。みんなそれぞれの信念を貫いて、ときにぶつかりながらも輝いていく映画だと思いました。

私は一言で言うなら「自分は自分」です。登場人物みんな、何を大事にするかが違っていて、アンディは仕事に一直線だし、エミリーは恋愛や家庭も含めて自分の幸せを大切にしている。その違いを見て、幸せの形は人それぞれだから、他人と比べすぎずに自分の軸で選ぶのがいちばん大切なんじゃないかと感じました。

まとめ

中学・高校時代に前作と出会った3人は、続編で“変わった彼女たち”を目撃しつつ、変わらない信念にも胸を打たれたと語ります。華やかさの裏にある代償、キャリアの積み上げとやり直し、誰かに支えられながら続ける強さ――刺さったポイントは三者三様で、作品の層の厚さが浮かび上がりました。印象的だったのは、きらびやかな世界の裏にある葛藤まで、自分の言葉で受け止め直していたことです。働くことや大人になることに揺れる時期にこそ、選択の代償も抱えながら進む彼女たちの姿が、観客の背中をそっと押してくれる映画です。

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文・編集/学生の窓口編集部
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作品紹介

映画『プラダを着た悪魔2』2026年5月1日(金)より大ヒット公開中

監督:デヴィッド・フランケル
脚本:アライン・ブロッシュ・マッケンナ
キャスト:メリル・ストリープ (ミランダ・プリーストリー)、アン・ハサウェイ (アンドレア(アンディ)・サックス)、エミリー・ブラント (エミリー・チャールトン)、スタンリー・トゥッチ (ナイジェル・キプリング)
(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.


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