小野賢章「人生についていろいろ考えるタイミングで出会う人はすごく重要だと思う」#学生の君に伝えたい3つのこと
人生の先輩である著名人の方々から、まだまだ自由に使える時間が多い大学生のみなさんに、“学生のうちにやっておいたほうがいい3つのこと”をアドバイスしてもらおうという連載「学生の君に伝えたい3つのこと」。
今回は映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』で主人公・柊を演じた小野賢章さんが登場。これまでを振り返って経験してよかったことや、やっておけばよかったと思うことなどを教えてくれました。
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学生の君に伝えたい３つのこと
小野賢章が＜学生の君に伝えたい３つのこと＞
1．人生についていろいろ考えるタイミングで出会う人はすごく重要だと思う
――学生のうちにやっておいたほうがいいと思うことはありますか？
大学に行っておけばよかった、行ってみたかったなと思います。僕は高校を卒業してそのままこの仕事をやっているので、キャンパスライフには結構憧れがあって。人によると思うんですけど、学生時代にできた友だちの中でも特に大学の友だちと今も仲良くしていると話す方がよくいますし、人生についていろいろ考えるタイミングでもあるじゃないですか。だからその時期に出会う人たちってすごく重要なんだろうなと感じるので、みなさんも友だちは大事にしてねと思います。あとリアルなことだと、学生のうちに免許を取っといてよかったなと思っていて。僕は大学に行かないと決めていたので、みんなが受験勉強を頑張っているときに取っちゃったんですけど、社会人になって働き出すと取るタイミングを失うかもしれないので、時間があるときに取っておいたほうが絶対に楽だよと言っておきたいですね。
2．学生の頃は恋愛リアリティーショーが好きだった
――学生のうちに見たり、聞いたりしたらいいと思うものは？
あんまり参考にならないかもしれないんですけど（笑）、学生時代はもう本当に『あいのり』しか見てないんじゃないかくらいの勢いで見ていて。恋愛リアリティーショーは割と好きで見ちゃいますね。
――どういったところが魅力なのでしょうか。
それぞれがどういう気持ちで相手に向かっているかが視聴者はわかるわけじゃないですか。それが見ていて面白いですよね。『あいのり』は特にそうだったと思うんですけど、ラブラブしていたのに「一緒に帰国しないんかい！」みたいな展開が結構あって最後までどうなるかわからなかったりするので、そういうドキドキを楽しんでいました。まだ学生だったからわからない部分があったのかもしれないですけどね。あとこの仕事を頑張ろうと決めてからは、ずっとアニメを観ていましたね。当時だと『コードギアス 反逆のルルーシュ』がすごく印象に残っています。それまでアニメを見て育ってこなかったんですけど、「アニメってこんなに面白いんだ」と思ったのがこの作品でした。
3．自分を追い込んで逃げられない状況を作ったのはよかった
――これまで経験した中でやっておいてよかったと思うことはありますか？
貧乏を経験したのがすごくよかったなと思います。高校を卒業してから仕事がなくてほぼ毎日休みだったんですよ。学生時代は学校という予定があることで守られていたんだなと思いましたし、お金はどんどんなくなるので親からお金を借りていたこともあったんです。バイトはちょっとやっていたんですけど、ちゃんとやると普通に生活できちゃうじゃないですか。そうすると「まあバイトをやれば生活できるし、いっか」と思っちゃいそうで、その生活に慣れるのは絶対よくないなと思って20歳で辞めたんです。それで自分を追い込んだというか、逃げられない状況を作ったというか。そのときの「とにかくなんでもやります」「絶対に売れてやる」みたいなハングリー精神は今にも活きているので、あの時期がなかったら今の自分はないなとすごく思います。
柊とツムギはお互いの足りない部分を補い合っているような関係性
――小野さんが出演された映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』が5月24日に公開されます。ストーリーについてどういうところに面白さを感じましたか？
僕がスタジオコロリド作品に参加するのは『泣きたい私は猫をかぶる』以来2作品目になるんですけど、『泣き猫』のときに感じた“日常から非日常へ”というコロリドさんが掲げているテーマみたいなものが今作もすごく表現されているなというのを第一印象で感じて。もしかしたら見えていないだけで鬼が日常に潜んでいるんじゃないかと思えるような自然な入りや、実際にありそうな設定が魅力のひとつかなと思っています。そして（富田美憂さん演じる）ツムギと柊が出会って冒険していく中で、いろんな人の生き方や考え方に触れてどんどん成長していくロードムービーというところが一番の魅力だと思います。
――今回演じた柊はどんなキャラクターだと思いましたか？
自分の思っていることをポンと言えちゃうツムギに対して、柊はちょっと大人になりすぎちゃっている部分があって、人との関係を築こうとしてやっていることが空回りしちゃうんですよね。引っ込み思案で人とのコミュニケーションが苦手というわけではなくて、社交的なんだけど、なかなかうまくいかないことを「なんでだろうな」と思っているところから始まって、いろんな人に出会って変わっていったり、自分のやりたいことや目的がはっきりしていって。その中で意外と頑固なところが見えてきたり、誰かのために何かをすることや自分が必要とされていることを柊自身が感じて、どんどん行動を起こせるようになるという変化が見えるのが魅力のひとつかなと思います。
――柊とツムギの関係性はどう見ていましたか？
お互いが正反対で、足りない部分を補い合っているような関係性だなと思いましたね。誰でも同じような考え方とか居心地がいい人と仲良くなっていくことが多いと思うんですけど、柊はツムギに振り回されるようなところから始まっていって、どんどん息が合っていく中で自分に足りない部分がわかっていくというすごくいい関係ですし、少し遠回りするような感じもかわいいなと思いました。
高校生役をちゃんと演じられるかという不安はあった
――印象的に残ったシーンやお気に入りの場面を教えてください。
僕は個人的に旅館の主人がすごく好きで、柊が家を飛び出してお父さんとの関係性が微妙な中で「親御さんも心配してると思うよ」と言ってくれるんですけど、距離を置いて考える時間ができたときに、そういう冷静な意見をもらうと確かにそうかもしれないなと思えるんですよね。強制的にじゃなくて、「電話の１本くらいしてあげたら？」くらいの深く考えすぎないテンション感がすごく好きで。ああいう人に出会えたらいいなと思いますし、実際にいそうだなと思いながら見ていたお気に入りのシーンです。旅館を出て行くときに柊が「寂しいかも」と言ったときも、「旅館だから人を見送るのは慣れてる。また遊びにおいで」という送り出し方がすごくいいなと思いました。あとツムギと柊が喧嘩するシーンがあって、そこでツムギから「私のためを思って言ってるんだろうけど、そんな言葉がほしいわけじゃない」みたいなことを言われるんですけど、これは気を遣える人であればあるほど刺さるんじゃないかなと思います。気を遣っているつもりが逆効果だったという、「じゃあどうすりゃいいんだよ！」みたいなコミュニケーションの難しさを感じましたね。
――今作では柊の成長や変化が描かれていますが、演じる上で意識されたことはありますか？
まずは高校生役をちゃんと演じられるかということを考えました（笑）。これまで演じた高校生役は3年生が多くて、割と大人に近づいているような年代だと思うんですけど、柊は高校1年生で、去年まで中学生だったと思うとまだまだ子どもだなという印象があったので、そこを演じる不安は個人的にちょっとありました。ただ台本で柊の心情や気持ちの変化がすごく丁寧に描かれていて、何かを補完するというよりは自然な流れで演じればしっかり表現できたので、そこに身を任せていましたね。
小野賢章さんから学生のみなさんに手書きのメッセージ！
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PROFILE
小野賢章
1989年10月5日生まれ。福岡県出身。4歳から子役として活動をスタート。12歳から10年間『ハリー・ポッター』シリーズの日本語吹き替え版で、主人公ハリー・ポッター役を務める。その他にも『黒子のバスケ』（黒子テツヤ）、『SPY×FAMILY』（ユーリ・ブライア）、『ジョジョの奇妙な冒険黄金の風』（ジョルノ・ジョバァーナ）など人気作に多数出演。声優としてだけでなく、ミュージカルや舞台にも出演し俳優としても活躍している。
『好きでも嫌いなあまのじゃく』5月24日(金)より、Netflix にて世界独占配信&日本劇場公開
高校1年生の柊は、“みんなに嫌われたくない”という想いから、気づけば“頼まれごとを断れない”性格に。柊は季節外れの雪が降ったある夏、泊まるあてがないというツムギを助けるが、その夜に事件が起きる。凍った自分の部屋で謎の化け物に襲われる柊を助けたツムギ。そんなツムギの正体はなんと “鬼”だった…。物心つく前に別れた母親を探しにきたという。柊はツムギの「お母さん探しを手伝って欲しい」という頼みを断り切れず、一緒に旅に出ることに。しかし、時を同じくして、ツムギの故郷・鬼が暮らす“隠の郷”でも事件が起きていて——。
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取材・文／東海林その子
撮影／三橋優美子
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