「自分自身がワクワクし続けられないと続けていけない」Novel Core連載 vol.8

猪口貴裕

お気に入り!

あとで読む

「クオリティファーストで、お客さんに届くときに一番いい形であることが正しい」Novel Core連載vol.7

新世代のラッパー、シンガーソングライターとして多彩な活動を続ける、Novel Coreさんのキャリアや表現者としてのこだわりに迫る連載企画。第8回目は、前回に続いてメジャーデビュー以降のライブを振り返ってもらい、2024年1月17日の日本武道館公演への意気込みも語っていただきました。

「iCoN TOUR 2023」を通して個人技能が上がり、メンタルも強くなった

――前回は2023年1月21日に豊洲PITで開催した「Novel Core ONEMAN LIVE -Untitled-」まで振り返っていただきました。今回は2023年4月から6月にかけて、全国11都市を巡った「iCoN TOUR 2023」から振り返っていただきます。

“バック・トゥ・ザ・ベーシック”と言いますか、たくさんバンドでライブをやってきて、豊洲PITで日本武道館公演の発表もして、さあここからどうしようかと。さらなる規模の拡大を選ぶのか。もう一度Zepp規模のツアーをバンドでやるのか。もしくは大きい会場でのライブになると、ライブスキルが落ちるというのも感じていたので、あえて今までやってこなかった小さめのライブハウスをバンドで回るのか。この三択を考えたんですが、実は豊洲PITで自分自身のライブ能力の足りなさを感じていたんです。

――どういう部分で感じたのでしょうか。

豊洲PITはMCを意図的になくして、すべて楽曲だけで進行していく構成にしていたんですが、一切休める時間がないってなったときに体力が足りていないなと。大きな動きをした後に、どうしてもマイクに息が入ってしまうとか、頭が回らなくなって歌詞が飛びそうになるとか。正直、武道館公演を1年後に控えているアーティストのレベルとしては、根本的なライブ技術が足りていないなと判断しました。それでチームの皆さんに相談をして、バンドではなくDJ編成にして、「AGFツアー(2022年4月から5月にかけて全国7都市を巡った『A GREAT FOOL TOUR 2022』)と同じようなことをやりたいと伝えました。ちょうどライブでお客さんも声を出せる状態になっていたので、お客さんがワーッと来たときに、冷静でいながら、さらにお客さんのテンションを上げるライブを作らなきゃいけない。凝った演出がなくても、良いライブができるアーティストになるためのツアーを組みたいというところから中小規模の会場を回る「iCoN TOUR 2023」に繋がっていきました。初日はテンションが上がりすぎて、声が裏返ることもありましたし、初めて喉を壊したのも、このツアー中でした。11公演中6公演目ぐらい、折り返しのタイミングで喉を完全に壊してしまって。

――そういえばNovel Core & THE WILL RABBITS(ノベルコア アンド ザ・ウィルラビッツ)の初シングル『BYE BYE』のレコーディング中は、喉を壊していたと仰っていましたね。

レコーディングも全部リスケになったんですが、本当に声が出なくて、初めて専門の病院にも行きましたし、治療をしながらツアーを回るみたいな。そういうトラブルが起きたことによって、喉の使い方などをコントロールし切れてないからこうなるんだという課題も見つかって。このツアーを通して個人技能がめちゃくちゃ上がりました。ツアーファイナルのときは、日高さん(日高光啓/SKY-HI)から、「ライブの体力がめちゃくちゃついたね。著しく成長していると思います」というフィードバックをいただいて、すごくうれしかったです。

――具体的にどんな体力作りをしていたのでしょうか。

体幹トレーニングと走り込みをずっとしていましたし、ツアー中は食事制限もしました。体力作りとは別に、鍛えたことが一つあって。「iCoN TOUR 2023」で回ったライブハウスの距離感だと、お客さん一人ひとりの表情が鮮明に見えるんです。もともと僕は人の表情の変化に敏感なので、すっと表情が変わったときに、無意識に「この人は今、何を考えているのか」って考えちゃう。そうすると頭がパンクして、歌詞が出てこなくなることが多くて、ツアー中も歌詞が飛んでしまった曲が結構あったんです。それを直したくて、スタジオで本を読みながら曲を歌うという練習をしました。

――独自で考えた練習法なんですか?

そうです。なぜ歌詞が飛んでしまうのか、それを克服するためにどういう能力が必要なのか、どういう筋肉を鍛えれば良くなるのか……。おそらく二つ以上のことを考えたときに頭がパンクして歌詞が出なくなっているんだと。だったら別の情報を入れながら歌う練習をしなきゃいけないということで、本を読みながら歌う練習をしたら、だいぶ変わって、歌詞も飛びにくくなりましたし。「ライブをやるために毎日体力作りしてます」とか、「ライブをやるために本を読みながら歌い込んいます」っていう自負があるだけでライブ中のメンタルがすごく安定するんですよね。そういう風にステージ上での緊張をコントロールできるようになったのも「iCoN TOUR 2023」の成果でした。

ロックフェスで感じたチームとしてのヒップホップ軸への回帰

――2023年10月には初の対バンツアー「WHAT’S THE ROCK TOUR vol.1」を開催します。

「iCoN TOUR 2023」中に自分のハウスバンドに「THE WILL RABBITS」という名前を付けて、武道館に向けて本格的に「俺たちは一つのバンドだ」という言い訳ができない状況を作りました。僕も名前を手渡した分、責任感もあるし、バンドメンバーもそれぞれいろいろ考えなきゃいけないこともあって。バンドメンバーをジョインしてから1年ちょっとで武道館に立つってタームは、普通に考えたらめちゃくちゃバグってるし、経験値的にも本来は絶対足りていない。みんなが10年かけてやることを3年でやろうとしている時点で、ギャップを埋めないといけないよねってことで、武道館公演を成功させてアリーナクラスのライブをやっている人たちと対バンしようと。

――それで11日はZepp NagoyaでNovelbright、12日はZepp Nambaでビッケブランカ、18日はZepp DiverCityでyamaと多彩なアーティストを迎えたんですね。

武道館の前に新しい層の方に知ってもらうチャンスを作るっていう意味合いもあったし、音楽業界をもっと活性化させて盛り上げたいっていう気持ちもあったし。その裏には自分たちのスキルが足りてないっていうのを考慮した上で、アリーナクラスのアーティストってこれぐらいのレベルなんだよねっていうのを生で感じたいのがありました。だって初日からNovelbrightというライブモンスターと対バンですよ(笑)。ライブ体力もえげつないし、さっき言った冷静さも持ってる人たちだし、バンドの音もクリアで、ステージングも学ぶことだらけ。すごい人たちとぶつかり合うことで課題も見えた一方で、1年間で予想以上に俺たちもクリアできていることが多かったなというのも実感できて。「iCoN TOUR 2023」が僕にとっての成長ポイントだとしたら、「WHAT’S THE ROCK TOUR」はTHE WILL RABBITSにとっての成長ポイント。本格的に武道館に挑む準備ができました。

――それまでバンド内の状況はどんな感じだったんですか?

8月18日にバンドで「SONICMANIA」に出演させてもらったときに、初歩的なトラブルがあったんですが、それ以外にもライブに臨む意識みたいなのが弱くなっていて、チーム内で足並みが揃っていない感じがあったんです。それは舞台監督の方や音響チームも感じていて、軌道修正しておかないと危ないぞっていうことで、メンバーと個々で話をして。お互いに言いたいことをちゃんと言って、ぶつかり合って迎えたツアーでもあったので、足並みが揃った状態でやることができました。

――メンバーの中に迷いみたいなのがあったと。

ありましたね。自分の気持ちを言えてないメンバーもいたし、リハーサルの時間の使い方など、細かいところでロスしてしまっている時間が多かったんです。武道館まで半年を切って、もっと焦らないといけない時期じゃないかというのもあって、その軌道修正ができた状態での「WHAT’S THE ROCK TOUR」だったので、みんなが同じ方向を向いていました。

――「SONICMANIA」以外で特に印象に残っているフェスは何でしょうか。

5月3日の「VIVA LA ROCK2023」が大きくて、バンドとしてロックフェスでの戦い方を考えなきゃいけないという課題が浮き彫りになりました。ありがたいことに僕たちが出た「CAVE STAGE」は、入場規制もかかって盛り上がりもすごかったんですけど、「iCoN TOUR 2023」を一緒に回っていなかったメンバーは対応しきれてなかったんです。お客さんのものすごいレスポンスを目の当たりにしたとき、どうしても力が入ってしまう。たとえばギターのストロークの強さとか、ドラムを叩く強さとか、せっかく整えていたバランスが崩壊するという演奏的な課題が可視化されて、もっとバンドでもテンションをコントロールしようと気づけた日でもありました。個人的には、自分が出演した日だけではなく、プライベートでも2日間、「VIVA LA ROCK2023」に遊びに行かせてもらって、いろんなアーティストのライブを見ました。それによって、こういう場所で戦っていくんだ、あと1、2年でこの人たちと対等に渡り合える状態を作らなきゃいけないんだと覚悟が決まったというか。力の差を感じたのと同時に、やるべきことも見えて、自分にとっても大きなターニングポイントになったロックフェスです。

――ロックフェスのようにホームとは違う場所でのライブでは、どんなことを意識していますか?

フェスに出るときはMCの時間をできる限り減らして、少しでも曲の時間を長くするのを心がけていますが、2023年に強く感じたのは、ラップという武器が外部のフェスだとすごく活きるなと。と言うのもロックフェスにしろ、それ以外のジャンルのフェスにしろ、ラップを生業にしている出演者は少ないので、それが強みになるんです。ロックバンドでラップをされる方もいますが、ロックバンドのボーカリストのラップと、ヒップホップ畑から出てきた人のラップって明確にスタイルが違うなと思っていて。それがフェスに来る人たちには新しく映るというか、お客さんの反応が明らかに良いんです。それまでは対ロックフェスみたいな感じでロックチューンを増やしていたんですけど、そうじゃないんだと。「DOG -freestyle-」とか「SORRY, I'M A GENIUS」みたいなラップチューンに、あえてバンドアレンジを施してやるみたいなことを試してみたら、反応が凄まじく良かったんです。それは「WHAT’S THE ROCK TOUR」のときにも強く感じて、ラップでお客さんをロックできている感覚があったので、ヒップホップ軸への回帰もチームとして考えなきゃいけないなと感じました。

自分自身がワクワクし続けられないと続けていけない

――武道館公演のチケットは、あっという間にソールドアウトしました。

もちろんソールドアウトさせるという気持ちではいたんですけど、こんな状況になるとは思っていませんでした。1月に入ってギリギリでソールドアウトするかしないかぐらいの想定だったので、「iCoN TOUR 2023」も「WHAT’S THE ROCK TOUR」も、たくさんの人に僕たちを知ってもらう期間として用意していたツアーでした。

――武道館公演で初めてやる演出などはありますか。

生カメを入れようかなと思っています。お客さんに僕たちの寄りの絵が見られる演出を組み込んでいくのがスタンダードになってくる規模感かなと。LEDなどの使い方も変わってくるでしょうし、この規模感でライブをやってる人たちの映像を見たり、実際に話を聞いたりしながら、僕の演出家としての側面を強化して作っています。バンドとしても、そもそも武道館はライブをやるために作られた会場ではないので、音の面はシビアに考えないといけないよねということで、みんなで話し合いをして、曲によってはアレンジを変えて。そういう細かい調整がちゃんとできているなと感じます。

――会場ごとの調整は常にしているんですか?

基本やっていますね。ツアーで全国のZeppを回ったときも、やっぱりZeppでも会場によって微妙な違いがあるので、かなり調整はしました。そういう面で一番勉強になったのが、9月23・24日に東京体育館、9月30日、10月1日に大阪城ホールで開催した「BMSG FES’23」です。東京体育館と大阪城ホールでは音響が全然違いますし、特に東京体育館は横使いで特殊なスピーカーの吊り方をしていたのもあって、すごく難しかったんです。Zeppクラスの規模感で用意していたデータもすべてイコライジングをやり直してもらって。そこは音響チームの方と、DJ KOTAくんが調整をいろいろかけてくれて。ブラッシュアップを重ねて大きな会場の音も対応できるようになった4日間でした。チームの方々が毎回、課題を明確にしてくれるので、自分たちはもらったフィードバックを良い方向に昇華しないといけないなと常に考えています。

――武道館公演を記念して、ご自身が愛用する「A Good Bad Influence」とのコラボニットを数量限定で販売しました。

過去に、十代の頃からお世話になっているスタイリストさん経由で、A Good Bad Influenceのデザイナー・工藤亮一さんを紹介していただいて、ずっと連絡を取り合っていて、「いつか一緒にお仕事をしたいです」っていう話をしていたんです。それで武道館のタイミングでコラボニットを作らせていただきました。僕自身、ファッションは自分を構成する大事な要素ですし、OUTER(※ファンの総称)のみんなにもファッション感度が高くなってほしい。過去にはネイルシールをツアーで出したこともありますが、武道館で販売するグッズも、ちゃんとバックグラウンドがあるもの、自分のアイデンティティに関わるものを意識しています。グッズデザインは僕自身も関わっているし、自分でグラフィックをやっているグッズもあって、気合いを入れて作っているので楽しみにしてほしいですね。

――改めて武道館公演の意気込みをお聞かせください。

武道館が決まってからの1年間は、それに向けて、いろんなことにチャレンジしつつも、各所で武道館をゴールにしないための1年間でもあるって言い続けてきて、それが実現できた自負もあります。しっかりと武道館公演を成功させて、今までにない史上最高のライブを見せた上で、その先にある次のステップになる大きな会場をみんなに想像してもらえるようなライブにしたいです。

――2回に渡ってメジャーデビュー以降のライブを振り返ってもらって、常に厳しいタスクを課し、それを乗り越えて成長を続けているんだなと感じました。毎回すごく困難なことに挑んでいますが、どういうモチベーションでやっているんですか。

本当に僕は飽き性なので、こんなに長く続いているのは音楽だけ。音楽を始める前はテニス選手になりたいって言ってみたり、漫画家になりたいって言ってみたりと、いろんな夢があって、どれも途中で挫折してやめてっていうことの繰り返しでした。自分自身がワクワクし続けられないと続けていけないというのが正直あって、だから常に変化を求めているんです。今現在を見続けるというよりは、10歩先ぐらいを常に見ながら、そこにたどり着くためには今何するべきなのかを考えて行動をしていきたい気持ちが強くて、それがモチベーションになっているのかもしれません。

PROFILE

Novel Core

東京都出身、22歳。ラッパー、シンガーソングライター。
SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル "BMSG" に第一弾アーティストとして所属。メジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』とメジャー2ndアルバム『No Pressure』が2作連続、各チャートで日本1位を獲得。Zeppを中心とした大型のライブハウスを周遊する全国ツアーや、豊洲PITでの単独公演を全公演即ソールドアウトで成功させ、来年1月には日本武道館での単独公演が決定。
その存在感を確かなものにする一方で、FERRAGAMOやETROなど、トップメゾンのモデルに起用されるなど、ファッション業界からも注目を集める新世代アーティスト。
公式サイト:https://novelcore.jp/
Twitter:@iamnovelcore
Instagram:@iamnovelcore
TikTok:@iamnovelcore
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/novelcore

Novel Coreさんのサイン入りチェキを抽選で2名様にプレゼント!

このインタビュー記事をチェックしてくれた読者のみなさんにサイン入りチェキをプレゼント! 抽選で2名様に当たります。

▼応募方法はコチラ ーーーーーーーーーーーー

1.「マイナビ学生の窓口」公式Twitter(@m_gakumado)をフォローする
【Twitter】https://twitter.com/m_gakumado
*すでにフォローしている場合も対象になります。

2.下記の投稿をリツイート(RT)

指定のツイート

3.下記の応募ボタンから応募する!

学生の窓口会員の方▼

下の応募ボタンをクリックして、学生の窓口アカウントでログインしてください。希望のプレゼントを選択いただき、応募フォームに必要事項をご入力ください!

プレゼントに応募する

学生の窓口非会員の方▼

下の応募ボタンをクリックして、まずは「新規会員登録をする」から学生の窓口アカウントを作成してください。
※ブラウザの別タブでフォームが開きます。

新規会員登録はこちら

登録完了後、もう一度下記応募ボタンをクリックして、学生の窓口IDでログインしてください。希望のプレゼントを選択いただき、応募フォームに必要事項を入力すれば応募完了です!

プレゼントに応募する

※会員登録は無料です。応募には学生の窓口会員登録が必須となります。

注意事項

■応募期間
2024年1月12日(金)~2024年2月11日(日)23:59まで

■抽選方法 
・当選者は、ご応募いただいた方の中から抽選で決定いたします。審査経過および結果に関するお問い合わせや苦情については応じかねます。

■当選連絡  
・当選者の方には公正な抽選後、個別にご連絡を差し上げます。未当選となった方への連絡はいたしませんので、ご理解いただけますと幸いです。

■その他注意事項 
・ご応募いただいた方の個人情報が本キャンペーン以外で使用されることはありません。
・ご提供いただいた個人情報は、当選者へのご連絡のために使用させていただき、ご本人の同意なしに第三者に開示、提供することは一切ありません。

取材・文/猪口貴裕
撮影/武田敏将

関連記事

「将来を考える」カテゴリの別のテーマの記事を見る

編集部ピックアップ

学生の窓口会員になってきっかけを探そう!

  • 会員限定の
    コンテンツやイベント

  • 会員限定の
    セミナー開催

  • QUOカードPayが
    貯まる

  • 抽選で豪華賞品が
    当たる

一歩を踏み出せば世界が変わる無料会員登録

この記事に関連するタグ

あなたのきっかけを探そう

気になる #キーワード をタッチ

テーマから探そう

あなたへのきっかけが詰まった、6つのトビラ

会員登録でマイナビ学生の窓口をもっと楽しく!

閉じる
マイナビ学生の窓口に会員登録(無料)すると、
お気に入り機能などを利用してもっと便利にご活用いただけます!
  • 抽選で豪華賞品が
    当たる

  • 会員限定の
    学割でお買い物

  • 会員限定の
    セミナー開催