昔の人は、夏に、何を感じていたのだろう。 「去年より暑い」......|エッセイ企画「#Z世代の目線から」キーワード:夏のある日
エッセイキーワード:夏のある日
エッセイタイトル:『思いを馳せる』/著者:なこ さん

560文字/2分かからないくらいで読み終わります。
昔の人は、夏に、何を感じていたのだろう。
「去年より暑い」「例年より猛暑日が増える」とテレビは言う。
「去年より電気代が高い」「アイスを食べる量が増える」と人は言う。
暑さでやられちまっている。昨日今日、明日のことくらいしか考えられない。
「温暖化の危機迫る」とは口先だけ。何か行動を起こす人の少ないこと。
クーラーは際限なく使う。温暖化に繋がるから節電を。いや「今が暑いので無理です」。
やけに正直じゃないか。
帰宅して、クーラーで涼みながら食べたアイスの味。夏の思い出になる。
ニュースはやれ酷暑だ、水遊びをして涼む子どもらだ。毎年のお決まりだ。
家の食事で素麺はもう飽きたと叫ぶ。やだ一昨日食べたから昨日はざるそばにしたじゃないの。
いつから山葵をつけ汁に溶かして食べるようになったか。
昔の人は夏に何を楽しむ。花火、海水浴、スイカ。うちわと蚊取り線香の風景に添えられたものは何か。思いを馳せる。
「閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声」。蝉は泣く。「鳴いて煩い」と言われるから。
「菜の花や 月は東に 日は西に」とはよく言ったものだ。日差しを詠みこむ心の余裕。
七夕なんて催しも楽しめそうだ。ああ、あれは秋のもの。
昔の夏に思いを馳せる。昔の人の趣に心を寄せる。
私のアイスは溶けている。
著者:なこ さん |
学校・学年:慶應義塾大学 3年 |
Instagram:@neko_neko_starbucks |
著者コメント:あっという間に9月ですね。皆さんはアイスを美味しいうちに味わいきれましたか? |
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